DXはDigital Transformationの略です。つまりデジタルをベースとした「変革」ということ。今、DXが注目されるのは、「変わりたい!」「変わらニャきゃ!」と考える事業者が多いからではないでしょうか。
5年後、10年後、そしてその先まで、事業を継続していきたいと考えるならば、デジタルを取り入れながら、新しい事業のカタチを模索し続ける必要があるのは当然です。ここでは、中小企業・小規模事業者が事業の変革を考えていくにあたって、役に立つ情報を分かりやすく提供していきます。
まずその事業は、誰に、何を、どのように提供するものなのか、改めて考えてみましょう。
下の図で魚屋ネコは、飲食店向けに魚を販売していました。ただ近年は、ネコの世界でも冷凍技術や配送インフラが整ってきたので、全国の家庭ネコに、直接、魚を届けることができるのではないかと思うようになりました。そして、そのためにデジタルを前提に事業を再構築して、冷凍した魚のWeb通販を始めることにしました。
Webを活用すると、時間や距離の壁を飛び越えて、いろいろなお客様に価値を提供することができるようになります。ここでは、特にWebを前提として事業を再構築した事例を紹介します。
魚屋ネコや上で紹介した事例では、お客様との接点をデジタルをベースに考え直すことで、事業全体を再構築していました。このように変革を考える上では、お客様に価値を提供している場所となる顧客接点に注目すると良いでしょう。
感染症拡大の局面では「非対面型ビジネスへの転換」ということも盛んに言われました。これもまさに、顧客接点を変化させることで、顧客体験を変化させる方向性です。参考として、「非対面型ビジネスへの転換」をテーマにした連載記事を紹介します。
上で紹介した事例や記事では、デジタルを前提にすることで、時間と距離についての既存の概念を置き換えて、そこから事業を変革していました。
従業員の勤務時間内でしか対応できなかったことが、システム化されることで24時間いつでも自動処理できます。例えば、お客さんが深夜に何かを注文したいとき、店舗では対応が難しいですが、ネットショップであれば注文を受け付けられます。
店舗などリアルな場所でしか提供できなかったサービスが、顧客接点をWebにすることで、遠くても提供できるようになります。例えば、ヨガスタジオがオンラインレッスンを提供するようになれば、スタジオに来られない人でもヨガができます。
デジタルによって置き換えられる概念は、時間と距離だけではありません。データの扱いに関する概念も大きく変わってきます。特に、データの収集と分析に関して、デジタルのない時代にはできなかったことが、できるようになります。
人がデータを入力するとなれば、労力がかかるので大量のデータは集められません。しかし、デジタルの世界では既に多くのデジタルデータがあって、手入力なしに扱えますし、センサーやカメラで自動的にデータを収集する仕組みもあります。
もし大量のデータを集めることができても、それを人が分析するのでは、到底時間が足りないので十分な分析はできません。しかし、システムがデータ分析を支援してくれれば、大量のデータを扱うことができ、そこから新たな知見を得ることもできます。
このようにデジタルを前提にすれば大量のデータを時間や労力をかけずに扱うことができるようになります。では、それによって経営上どのように良いことがあるのでしょうか。
ひとつは、高いレベルのサービスをコストを抑えて提供できるということです。
次に示す事例では、センサーなどを使って設備から大量のデータを自動的に収集し分析することで、設備が壊れる前にその予兆を見つけて、計画的なメンテナンスを可能にしています。
もうひとつは、データをもとに事業活動を高速アップデートしていけるということです。
お客様の行動データを集計し可視化すれば、より高い価値を提供する工夫につながります。また、打った施策によりお客様に行動変化が生まれたかどうかも測定できるので、スピード感を持って顧客体験を向上していくことができます。新たな顧客体験を提供するに際しては、試行錯誤しながらサービスを磨き上げる必要があるので、改善サイクルの高速化は重要です。
蓄積されたデータをどのように分析して経営に活かしていくのか。その基本的な考え方を紹介するコンテンツを以下の特集ページでまとめて掲載しています。
まずはDXを推進する人を社内に確保しましょう。
実は、IT人材について考えるときには、経営者自身がIT人材であることも重要であり、近道になります。また、今いる従業員の中に、人材が埋もれていることもあります。IT人材といっても、必要なのはデータサイエンティストやAIの専門家ではないかもしれません。下の特集ページを参考にして、必要な人材がどのような人なのかも、改めて考え直してみてください。
デジタルをベースにして、これまでとは違う価値を提供し始めた中小企業があります。そのまま真似しようとするのではなく、考え方を参考にして、自分たちの事業を再構築してみましょう。
事業を素早く変化させていくためには、事業に関連するいろいろなものが素早く変化しなくてはいけません。そのとき、システム開発を外注していると、システムベンダーとのやりとりに問題が生じやすく、変革の要であるデジタル部分が、逆に事業変革の足を引っ張ることにもなりかねません。そのため、DXにおいては、システムを自ら開発する「内製化」が重要なポイントになります。
内製化にチャレンジする場合には、プログラムを書かなくてもシステムを構築できるノーコードツールの利用も検討しましょう。
こんな記事もあります。DXに向き合うにあたって参考にしてください。
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