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特集

中小企業のVTuber活用の可能性

  • 2023年3月27日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • DX
  • 動画
中小企業のVTuber活用の可能性のサムネイル画像

企業規模に限らず、情報発信の重要性は高まっています。その中でも、近年は特に動画の活用が急速に進んでいます。
しかし、中小企業の場合、社内の人が顔出しで情報発信を行うのが苦手なケースは多いです。そんな企業こそ、今のうちに自社のVTuberを作っていきませんか?

VTuberの動向

VTuberは、「バーチャルYouTuber」の略です。主にインターネットやメディアで活動するCGで描画されたキャラクター(アバター)やその動画投稿の配信者を指します。人間のYouTuberに限らず、最近では、アバターを用いて活躍される方も増えています。

「ユーザーローカル VTuberランキング」によると、2022年11月28日の時点で、VTuberの人数が20,000人に到達したと発表されています。
(出典:株式会社ユーザーローカル)

VTuber元年と言われた2017年当時の市場規模は、219億円でした。その後、2022年には579億円規模に拡大することが予測されていましたが、実際はそれどころではないほど、市場が大きくなっていると言えます。
(出典:CA Young Lab、2017年国内YouTuber市場調査を実施)

中小企業が動画で自社の商品やサービスを発信する際、アイドルや芸人等、「人」を起用するのは難しいかもしれません。しかしその一方、企業や自治体では、公式のVTuberを作成して活用しているところが増えています。

企業や自治体が広報を行う際、今までであれば、芸能人が起用されていた立ち位置を、近年、VTuberが占めるようになってきたのです。

中小企業のVTuber活用の可能性

それでは、中小企業でもVTuberを活用した自社の広報活動ができるのでしょうか?著者は非常に可能性があると感じています。

YouTuberやTikTokerがビジネスに貢献しているのは、既にご存知の通りかと思います。インフルエンサーマーケティングと呼ばれるものです。ただ中小企業にはコスト負担が重いことも多いですし、活用してもうまく販売促進に結びつかないケースも散見されます。

そこで、自社で動画を作ってみようとなるのですが、動画を作ればどの事業者でも成功するわけではありません。よくある失敗例としては、自社のプロモーションビデオを1本作ってみたが、ほとんど再生されなかったという場合です。

動画を見る人は増えていますが、企業のプロモーションビデオ、すなわちコマーシャルをわざわざ時間をかけて見る人はいないでしょう。

お客様に動画を見てもらうには、喜ばれたり、共感されたり、役立つコンテンツを継続して作っていく必要があります。自社の製造現場を紹介したり、自社製品の便利な使い方を紹介したり、自社のスタッフを紹介したりと、皆さん色々苦労されながら発信されています。そして、そのような苦労を経て、動画発信で集客に成功している中小企業も増えています。

しかし動画を作る際に問題になるのは、「わたしは動画に登場したくない!」と社長や社員に言われる場合です。たしかに、自分の顔を出して動画を作るのは少し気が引けるでしょう。

人手の少ない中小企業では、有効なコンテンツを作り続けるのは難しいものです。自社商品のことばかり発信していても飽きられますし、社内のことを発信しようとしても、顔出しができないと発信に行き詰まることも多いです。

そんな時こそ、VTuberが有効ではないでしょうか。アバターと言ってもいいでしょう。社内の人間が顔を出さなくても、社内のことを伝えられる自社キャラクターを作っておくと発信しやすくなります。

これからのメタバース時代に備えて、自社のVTuber作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

もちろん、キャラクターがあれば全てが解決するわけではありません。先程紹介した企業や自治体のVTuberの投稿を見ても、自社製品のコマーシャル動画ばかり発信しているところはありません。

生産現場の紹介だったり、そもそもキャラクター自身の魅力を発信する動画なども多いです。再生回数を確認しても、コマーシャル動画より、そうでない動画の方が多く再生されています。

発信したいことはたくさんあるのに、発信できていない!と悩む中小企業にこそ、VTuberに取り組むチャンスがあると言えるでしょう。

VTuberになるのに必要なもの

それでは、実際に誰でもVTuberになれるものなのでしょうか?コストが多大に掛かるようでは実現しづらいですが、今の時代、ローコストでのVTuber化が可能です。

必要なものは、配信・録画を行うYoutubeやZoomと、配信画面をデザインするOBS Studioというソフトウェアが必要になります。これらのソフトウェアは、無料で利用することができます。

肝心のVTuberになるソフトについては、様々なものがありますが、今回はVTubeStudioを使ってみました。自分の顔や目、手の動きを追跡してキャラクターを動かしてくれるソフトです。キャラクターは無料のものを使って、動作を確認してみました。

今回、著者はMacを使用しましたが、Windowsの方が動作するソフトは多いです。なお、スマホだけでVTuber化するアプリも続々と登場しています。

VTuber化するのに必要なものの例を挙げた図表
【VTuber化するのに必要なものの例】

環境を用意すると、下記のような画面で自分の目や顔の動きが追跡されてキャラクター化ができました。

キャラクター化のイメージ画面

VTuberになってみた

ここまで、ほぼコストをかけずにVTuberになることができました。ただし実際のところ、無料のキャラクターでは自社のブランドづくりにふさわしくないケースもあると思います。

そこで著者の場合は、VTuberのモデルを外注し、自分の写真を送って似ているキャラクターをデザインしてもらいました。デザイン費用はケースバイケースですが、クラウドソーシングで確認すると相場感が確認できると思います。今まで顔を出して配信していた録画配信の動画を、今後はVTuberとしても配信できるように準備が整いました。

  • 人間で配信した場合の画面イメージ
  • VTuberになって配信した場合の画面イメージ

まとめ

事業者が顧客に認知され、売上を上げていくためには、情報発信が必要です。チラシや地図、ホームページ、SNSの活用はこれからも重要になるでしょう。さらに、動画で発信できる準備もしておきたいですし、一歩進んで、今のうちから自社のアバターを用意して育てていくことも、今後求められるのではないでしょうか。