2024年のデジタルの動向はどうなるのか?
- 2024年1月12日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
- AI
- DX
毎年発表されるガートナー社のテクロノジーに関する未来予測。
今年はどのようなキーワードが提言されているのか、確認していきます。
また、10年前のキーワードがどうなったのかの答え合わせもしていきます。
ガートナー社のテクノロジートップトレンド
ガートナー社では毎年、翌年のテクノロジートレンド、つまり技術の何が流行りそうかを予想し、発表しています。
ただ、最新のテクノロジーキーワードは、正直、聞き慣れない言葉が多いので、何を指し示しているのか分かりづらいところがあります。もちろん、将来に対しての見通しなので知らない言葉があっても当然かと思いますが、中小事業者にとっては、まだまだ業務と関連しないキーワードも多い可能性があります。
そこで、まずは10年前(2015年)にキーワードとして何が発表されていたのか確認し、10年後の現在にどのように変わってきたかを読み解いていきます。
参考:Gartner、2024年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドを発表
10年前の2015年はどうだったか?
以下の表はガートナー社が2014年に発表したテクノロジートップ・トレンド予想です。下記表の黄色く塗った3つキーワードの内容を確認します。
①場所を問わないコンピューティング
総務省「令和元年 通信利用動向調査」によると、日本のスマートフォン世帯保有率は2010年には9.7%だったものが、2015年には72.0%となっており、多くの方がスマホの急速な普及を感じているときだったと思います。現在では、スマホによりどこでも情報が入手できるようになり、個人利用だけではなく、企業でもスマホを業務に取り入れて、場所を問わないコンピューティングを実現していると言えるでしょう。
②モノのインターネット
モノのインターネットは、"Internet of Things"で、IoTと略されています。昔のインターネットはコンピュータ同士がつながるものでしたが、現在では、スマホやタブレット、そして多くの家電にもつながるようになりました。遠隔地から戸締まりをしたり冷蔵庫の中の情報を確認したりするなど、何でもネットで繋がりつつあります。
企業でのIoTは、特に製造業で進んでいます。機械設備がネットに繋がり、設備の状況をモニタリングしたり製品の品質チェックをしたりするなどに使われるようになりました。GoogleトレンドでIoTの検索量を調べてみると、まさに2014年から急上昇しており、モノのインターネットが急速に普及したと言えるでしょう。
③クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングとは、インターネット環境でソフトウェアなどのコンピューティングサービスを利用することです。現在では、多くのソフトウェアがクラウドサービスを提供しています。私自身のパソコンでも、インストール型ソフトウェアを利用する割合が減り、インターネットを通じて使うものになりつつあります。
また、企業でのクラウドサービス利用も、2016年以降、着実に増加しています。レジや会計、給与計算といった多くの企業が使うソフトウェアもクラウド化が進んでいます。
さて2024年はどうなる?
ここまで3つのキーワードを確認しましたが、2015年のガートナー社のテクノロジートレンドの予想は、ある程度は当たっているように見えます。
それでは、2024年はどうなるのでしょうか?難しいキーワードが並んでいますが、特定のキーワードに偏っているとも言えます。
それは「AI」です。AIに関する3つのキーワードを確認してみます。
①AI TRiSMとは
AI TRiSMは、"AI Trust, Risk and Security Management"の頭文字をとった言葉で、ガートナー社が提唱した用語です。信頼性・リスク・セキュリティ管理の観点から、AIの活用を最適化するための枠組みを意味します。
ガートナー社の調査では、2022年では48%が「AI技術を展開済み」と回答した一方で、2023年の調査では40%はAIのセキュリティやプライバシーの問題に直面したと、報告されています。
例えばChatGPTに自分の写真をアップロードして、「もう少し若い写真にしてください」と依頼しても、「特定の人物写真の加工はプライバシーと倫理の観点からできません」と返答されます。
②AI拡張型開発
AI拡張型開発とは、システムやアプリケーションの設計、開発、テストなどのプロセスをAIにより効率化したり自動化したりすることを指します。
例えばChatGPTに「オセロゲームのプログラムを作ってください」とお願いすると、プログラムコードが作成されました。実行環境で実行してみると、○Xですが、オセロゲームを楽しむことができました。
③生成AIの民主化
「生成AIの民主化」とは、だれもが生成AIを容易に扱えるようになることを指します。以前まではAIは専門的なIT知識を持つ人でないと使いこなすことはできず、一般の人にとっては大きなハードルでした。
例えば、イラスト生成AIが登場した当初は、英語版しかなく、それも登録が一手間で使うにしてもどのように指示を出すか難しいものでした。それが、今では日本語の会話ベースで指示ができ、簡単にイラストを作ってくれるようになりました。
まとめ
10年前のテクノロジー予想は、スマホ、IoT、クラウドでしたが、この3つは大きく進展し、世の中に無くてはならないものになりました。
そして、今回の未来予想の中心はAI。この先どのように進化し、私達の事業や生活にどのような変化をもたらすか、楽しみでもあり、ちょっと心配でもあり。だからこそ、民主化や信頼性もキーワードにランクインしているのだと思います。
イラストはChatGPTに「AIロボットの女性がビバデモクラシーと大衆に向けて呼びかけている横長のイラストを描いてください」と依頼したものです。スペルが間違っているのも、ご愛嬌ということで。
もちろんこの後、スペルミスを指摘したら、修正したイラストを生成してくれました。