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ECサイトを通じて畳文化を世界へ発信

  • 2020年10月23日
  • 株式会社TATAMISER
  • 製造業
  • BtoC EC
  • 近畿
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株式会社TATAMISERは、高品質な畳をインターネットで販売している企業です。和室の減少に伴い、畳関連の職人も減少しつつある時代だからこそ、平安時代から続く日本の伝統技術が凝縮された畳の魅力を多くの人に感じていただこうと、国内に留まらず、IT活用を通じて世界へと本物の畳をお届けしています。海外への販売にあたり、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)の「販路開拓支援」を利用してサポートを受けました。


※中小機構の販路開拓支援とは・・・?
展示会や商談会などのリアルな支援とICTを活用した支援を組み合わせ、国内外への販路拡大や海外展開に取り組む中小企業をサポートします。事業の詳細は、下記URLよりご確認ください。

https://www.smrj.go.jp/sme/market/index.html

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代表取締役:淡路 光彦さん

弊社はインターネットを通じて、畳に関する商品を日本と世界のお客様に販売しています。具体的には、自社開発したデータベースでお客様の部屋や用途に合わせたサイズオーダーを承り、配送後はお客様自身が敷き込むというかたちをとっています。畳というのは、い草の質や長さによっても値段が異なり、一般のお客様からしてみれば、その価格設定は実に不透明な商品です。畳屋に採寸してもらい、見積を作成してオーダーするという流れが一般的ですが、当社の場合は、お客様自身が畳を敷きたい部分を採寸し、ウェブサイトのお問い合わせフォームからお送りいただいています。そしてその値をもとに、パソコンで見積を作成してメールで送っています。そのスピーディーな対応が評判を呼び、安定した受注量をいただくようになりました。

【課題】国内の和室減少に伴い業界は衰退しつつあった

もともと私は、父が営む畳材料の卸問屋を20年ほど手伝っていました。当時は1日6枚畳が売れれば生活が成り立つ時代でしたが、国内のライフスタイルは徐々に欧米化が進み、戸建て住宅の間取りにも畳がないフローリング中心の物件が増加しています。加えて、高層マンションのニーズが拡大したことで、更に和室が少なくなりました。その結果、畳の使用量も減少し、私たちのお客様にあたる畳屋も、次第に活気を失ってしまいました。新たな人材を採用するにも人件費がかかりますし、そもそも仕事量が増えないことには人を雇うこともできません。そのため、畳業界全体の高齢化が進み、後継者問題も浮き彫りになっていました。
このままだと父の畳材料問屋も経営が難しいという危機感を持った私は、販路拡大の突破口としてインターネットを通した販売網である通販に着目しました。最初はい草の座布団や花ござと呼ばれる敷物などを販売しようと試みましたが、インターネット販売の知見は全くありませんでした。そのため、まずは通販の基礎知識や販売方法を学ぶために、大阪市が運営する大阪産業創造館のネットショップ運営に関するセミナーに参加することに決めました。

【導入】畳のサイズオーダーに対応するECサイトを導入

大阪産業創造館が主催したネットショップ運営のセミナーでECサイトの構造や運用を学び、見様見まねでウェブサイトを作成しました。はじめは全く売れずに苦戦する日々が続き、そもそも、畳はインターネット販売には向いていないのかもしれないと考えることが何度もありました。それでも試行錯誤を繰り返し、半畳サイズにしたり、お客様の用途に応じたサイズで提供したりと、サービス内容を変化させていったところ、少しずつ注文が入ってくるようになりました。受注によって顧客情報や畳屋への発注業務の管理が必要となりましたが、ここでもネットショップの運営セミナーに参加したことが弊社の救いとなりました。同時期にセミナーに参加していた方がECサイトを運用しており、顧客情報や発注業務に苦戦する私にデータベースの管理ソフトである「FileMaker(ファイルメーカー)」を紹介してくれたのです。このソフトによって、弊社でも顧客管理や畳の受発注業務が円滑に行えるようになりました。

【効果】国内に留まらず海外への販路拡大に繋がった

ECサイトを導入したことで、国内外問わず幅広いお客様層への販路を拡大することができました。国内のお客様に関しては、首都圏の子育て世代を中心に、ハイハイやつかまり立ちをするようになったお子さんが転倒してしまった際に、フローリングよりも畳の方が柔らかくクッション性があることからお求めいただくことや、部屋の一部を畳コーナーにしたいといったニーズに対応することができています。
また、ECサイトを導入していなければ実現できなかった海外とのお取引も順調に増加しています。海外への販路拡大に伴い、中小機構主催のニューヨークやシンガポールを対象として日本の商品を販売する補助事業に参加し、ウェブサイトを立ち上げたところ、3ヶ月もしないうちに注文が来ました。海外における顧客ニーズの多くは、日本に旅行に来た際に、和室で過ごすという体験を通じて畳の魅力に触れた方たちが、帰国した後に畳を注文するというものです。また、海外に移住した日本人や茶道を趣味としている方からのオーダーも少なくありません。現在では、日本国内が7割で海外が3割という売上比率になるまでの成長を遂げています。

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【展望】ITを取り入れ業界を牽引する

ECサイトの運営を通じて、販路の拡大だけではなく人脈を広げられたことも大きな収穫です。自社の商品を愛し、その良さや魅力を多くのお客様に届けたいという情熱は、業界に関係なく経営者の方たちがもつ共通点だと思います。その想いと共に、ECサイトの運営ノウハウを学ぶ場に積極的に参加することで、かけがえのない繋がりを得ることができました。グローバル化が進む社会において、ECサイトなどのインターネットを介した販路は必須といえますが、世界中で感染が拡大しているコロナのような予測できない危機的状況下においても、対面販売だけでは商売が成り立たっていなかったと思います。これからも、最新のテクノロジーに対してアンテナを立てつつ、積極的に導入していくことで社会の状況に柔軟に対応しながら、畳業界にイノベーションを起こしていきたいと考えています。

社名:株式会社TATAMISER
HP:https://tatamiser.co.jp/

代表取締役:淡路光彦
主な事業:畳のECショップの運営、インターネット関連のITサービス
所在地:大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル ITM棟10F D-1-76
創業:2015年7月

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