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特集

デジタル活用はじめの一歩 6 〜ハンコをやめよう!?

  • 2022年12月12日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • DX
  • 初めてのIT
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書類にハンコを押すのは面倒なものです。ハンコを押すだけでなく、先方から書類が郵送で送付され、その書類にハンコを押して、返送するという手間もかかることになります。

近年、行政を始め急速にハンコをやめようと言う機運が高まっています。この機を逃さず、書類への押印を廃止し、業務の効率化を図りましょう。

ハンコを押すのはつらい

著者は独立して会社を作り、その際に社印をつくりました。ハンコができると、いよいよ会社もスタートだなあと身が引き締まる思いだったことを思い出します。

あれから十年近くが経ち、印鑑ケースを開いてハンコを取り出し、ハンコを押すのは苦痛になりました。

ハンコを押すのくらい大した作業ではないかもしれません。しかし実際は、先方から郵便物が届き、開封し、内容を確認して押印します。そのあと返信用の封筒に宛名を書いて、封入して、切手を貼って送付します。

一つ一つの作業は簡単でも、積み重なると非効率を生み出しています。押印作業さえなければ、郵送作業も必要なくなるのではないでしょうか。

時代は変わってきた

著者は執筆の仕事で出版社とやり取りすることが多いです。出版社と記事の内容や報酬について相談して合意すると契約を締結することになります。

十数年前であれば、契約書すら無いことも多く、口頭やメールだけでのやり取りになることが多かったです。しかし最近は契約書をきちんと締結することも多くなりました。

ところが、そうなるとかえって面倒になりました。2通の契約書が先方から送付され、こちらで確認・捺印し、1通を自社保管して、1通を返送します。高額な契約書ならまだしも、少額であれば契約の負荷をより一層高く感じてしまいます。

そんな時、出版社からの案内で時代が変わったのを感じました。いつものように執筆内容や金額をメールで打ち合わせた後、「では、契約書を送りますので、契約システムで確認してください」と言われました。
はじめて、オンライン上で出版社と契約を結ぶことができた瞬間です。

オンライン契約システムの例

上記の例のようにクラウドで契約を結ぶことができるサービスが増えています。以下の図でオンライン契約システムを紹介しています。

契約書類をアップロードして、書類上に印影を表示し、相手先のメールアドレスを指定して送付します。
契約書を受け取った企業では、メールで受信をして、確認ボタンをクリックすると、当社側の印影も表示され契約締結となります。

有料版で利用すると、複数の検索条件で契約書を検索でき、契約書の承認を多段階にも行えます。契約締結件数が多い企業ではこういったオンラインの契約管理システムを活用すると、業務を効率的に行えそうです。

 

日本は取引先との電子化が遅れている

日本はよくデジタル化が遅れていると言われます。しかし全ての分野が遅れているわけではありません。以下のデータを見ると、社内の決裁処理などのデジタル化は諸外国と比べて遅れているわけではありません。

一方、取引先との手続きにおけるデジタル化、例えば契約処理のデジタル化については、日本は大きく遅れていると言えます。

 

DXの最大の目的は、顧客に対してデジタルで価値を創出していくことです。自社内だけで完結するデジタル化をめざすのではなく、お客様も巻き込んで相互に効率化が図れるような取り組みを目指すべきでしょう。

そのためには自社も、そして取引先も含めて、ハンコを使うのをなるべくやめていきませんか?

まとめ

ハンコを押すことが習慣になってしまい、書類のやり取りにはハンコを無条件で押す時代が長く続きました。しかし、押印、郵送といった文化が、日本の効率化を阻んできたとも言えます。

今後は、何も考えずに押印欄を書類に設けることはやめて、デジタルでやり取りすることを目指していきましょう。

なお、取引先との電子化の実現については、以前の記事「デジタル活用はじめの一歩 5 ~FAXを止めると!?」もご確認ください。

解説動画(10分程度)

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