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特集

モバイルオーダーは急速に普及する~QRコードを読み取って注文

  • 2023年2月7日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • DX
  • POS
モバイルオーダーは給食に普及するのサムネイル画像

最近、小さな飲食店でもスマホを使って自分で注文するお店が増えています。
飲食店では人手不足が深刻です。ホールにスタッフがいない!注文を取るのが遅くなる!お店の回転率が低くなる!といった悪循環に陥っているケースも見られる背景もあり、お客様自身の端末を使って注文してもらうモバイルオーダーが急速に普及していることが考えられます。

モバイルオーダーで店舗運営の効率化を図り、調理や接客といった付加価値の高い作業時間を増やしていきましょう。

テイクアウトのモバイルオーダー使っていますか?

皆さんは、スマホで注文をするモバイルオーダーを使っているでしょうか。著者自身のスマホには、いくつかのアプリが入っています。ハンバーガーチェーンやコーヒーショップ、お弁当屋や牛丼チェーンのアプリなどです。

昼食時にお弁当屋に行くと、注文から調理までの待ち時間がかかります。空いている時は5分くらいですが、混雑時は15分ほど待たされることもあります。そこで予めスマホアプリで注文していけば、待ち時間ゼロで受け取ることができます。

ファストフード店なども、空いていればすぐに注文・受け取りができますが、ランチ時などは行列ができているケースも多いです。そんなときも、スマホで注文すれば行列に並ばずに商品を受け取ることができるため、とても便利です。

このように、テイクアウトではモバイルオーダーがかなり普及してきていると言えます。また自宅への配達(デリバリ)も、地域によりますが浸透しつつあります。

これだけモバイルオーダーが普及してきた今、イートイン(店内)の注文においても、自分のスマホで注文するニーズが高まっているのではないでしょうか?中小企業のお店の場合、大企業のように自社専用のアプリを作ることはコスト面から難しいでしょう。しかしQRコードからの注文機能などは比較的安価なため、導入は可能だと考えられます。

モバイルオーダーの分類

ここで、モバイルオーダーについて分類してみます。モバイルオーダーはスマホで注文することですから、(1)イートイン(店内)注文アプリ、(2)テイクアウト注文アプリ、(3)デリバリ注文アプリに分かれます。

モバイルオーダーアプリ(注文アプリ)の3つの分類を表した図表

そして、今回のテーマである店内注文、つまりイートインアプリにはいくつかのパターンがあります。

①店員がスマホで注文を取るウェイター機能
②お客様が店舗で用意したタブレットで注文する機能
③お客様が自分のスマホでQRコードから注文する機能

①のウェイター機能はかなり導入が進んできました。店員さんがスマホで注文を取るシーンをよく見かけます。

②のタブレットをテーブルに用意して注文する形式も、大手のフランチャイズ系のお店ではよく見かけるようになりました。ただ、これはテーブルの数だけタブレットが必要になるため、それなりに導入コストが掛かります。

そういった意味では、③のお客様がテーブルに貼り付けられたQRコードを自分のスマホで読み取り、メニューから注文する形式が、コストも安価で導入しやすいのではないでしょうか?

モバイルオーダーは現実的に小規模店でも導入できるのか?

モバイルオーダーを導入するなんて、「うちの店では無理だ!」と思う経営者も多いでしょう。一方で、今でも注文用の券売機が導入されている小規模飲食店、例えばラーメン屋さんなどは多いです。

なぜ券売機を導入しているかと言うと、注文を取るのが面倒だからです。混雑していて注文を取るのが遅れると、お店の回転率自体が下がってしまい、結果として売上の低下を招きます。特にランチ時に混雑していて、注文できないお客様が店内でイライラしているお店などを見ると、もったいなあと感じてしまいます。

ラーメン屋さんの券売機とアプリでオーダーするスマホ画面を比較した画像

効率化のために券売機を導入するのは悪くないでしょう。しかし、今後は注意が必要です。
券売機は、電子マネー対応できていない場合も多いです。フランチャイズの牛丼屋やラーメン屋さんは対応していますが、中小企業のお店だと現金のみのところが多いのが現状です。ハードウェアである券売機は、一度購入すると簡単に買い換えもできないため、やむを得ず、キャッシュレス非対応を継続していることが推測できます。

さらに2023年は、インボイス対応も求められます(インボイス制度に対応するお店の場合)。

小規模店舗の場合は、レジや券売機を専用のハードウェアで対応すると、制度や時代の変化に対応できなくなりがちです。レジの場合、タブレットやキャッシュドロワー、プリンターといったハードウェアは必要ですが、今後のことを考えると、ソフト型のレジにしていくことが望ましいでしょう。

さらに、ソフト型のレジになれば、モバイルオーダーの導入も手軽になるのではないでしょうか?

飲食店のデジタル化はどこまで?

この数年でキャッシュレス化がかなり進みました。それに連動して、POSレジを導入しているところも増えています。そうすると、次はモバイルオーダーの普及が進むことが考えられますが、飲食店では働き手が不足しているのが現状です。お客様自らが注文するモバイルオーダーが導入されると、店舗スタッフの負担は大幅に下がるでしょう。

モバイルオーダーで、注文だけではなく厨房との連携、そして当然POSレジへの連携までできれば、飲食店の効率化は劇的に進みます。今年はインボイス対応、電帳法対応もありますので、これを機会として、モバイルオーダー普及元年になるといいなと思います。

飲食店のデジタル化の拡大を表した図表