金融機関のIT支援特集ページ
- 2023年2月13日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 吉田明弘
- 金融機関のIT支援
地域の金融機関が顧客企業にIT支援をするなんて、まだまだ遠い世界のことと考える人もいるかもしれません。しかし、一歩引いて本業支援として見ると、経営とITは一体でありIT支援も重要です。
本ページでは、金融機関が顧客企業のIT活用を支援するために役立つ情報をピックアップして紹介します。
本業支援とIT支援
今、多くの地域金融機関が、顧客である事業者の「本業支援」を進めていくことを打ち出していると思います。地域密着型の金融機関は、地域とともに生きる組織であり、地域のCFOのような存在でしょう。そうであれば、地域経済の実体である、地域の事業者の経営を支援するのは自然な流れです。それが金融機関のビジネスを維持拡大することにも直結します。
それでは「IT支援」についてはどうでしょうか。もしかしたら、地域の事業者自身も、ITの必要性が腹落ちしておらず、金融機関へ何もリクエストが届いていないかもしれません。しかし今は、経営とITを一体的に考えなければならない時代です。10年先も続いてほしい事業なのであれば、ITを取り入れないという選択肢はありません。
そこで、金融機関として何ができるか、ということを考えてみましょう。
ステップに分けて考える
一口に「IT支援」と言っても、さまざまな支援の形があります。ですから、さあ今日からIT支援を始めよう!という掛け声とともに、いきなり全面的な支援ができるわけではありません。ステップに分けて、一つずつ着実に前に進んでいくことも大切です。どのようなステップに分けるかは、いろいろな考え方があると思いますが、ここでは以下の3ステップで考えてみましょう。
- まずは顔の広さを活かした支援
- ホームページ活用を支援する
-
DXへの道筋を支援する
それぞれを、以下で説明します。
ステップ1:まずは顔の広さを活かした支援
金融機関が事業者の本業支援をする際に、真っ先に考えられるのが、ビジネスマッチングではないでしょうか。金融機関はその性質上、多くの事業者との接点を持ちます。そうした顔の広さを活かした支援から、確実に進めていきましょう。
マッチングとしては、事業者同士をマッチングすることもできますし、各方面の専門家につなぐこともできます。そして、他の金融機関などと連携することで、地域内外の事業者の連携を仲立ちすることも、実際に行われています。
ただし、どのような支援をするにあたっても、いつも気をつけておきたいのは、事業者の課題を把握するということです。日頃から、事業者が携わる事業に興味を持って、関係を深めていくようなコミュニケーションの中で、事業上の課題を共有してもらえるようにしましょう。
まずは事業を理解しよう!
経営課題やITの話をするきっかけになるツール
支援事例
【参考】税理士事務所から見た金融機関との連携
ステップ2:ホームページ活用を支援する
小規模事業者が、経営課題を解決するためにITを活用するという場合、AIやIoTを活用するような話ではないことが多いと思います。特に地域の金融機関の顧客は、ホームページを持っていなかったり、上手く運用できなかったりして、ホームページ作成が課題解決の第一歩になることも多いのではないでしょうか。
事業者の販路拡大という経営課題に向き合ってホームページを提案した結果、最終的には融資にもつながっていくような支援ストーリーを紹介する動画がありますので、参考にしてください。
ここで、金融機関の渉外担当者が事業者にホームページ作成を提案する際に、注意すべきことを一つだけ挙げると、それはやはり「目的」です。
すべては目的から始まる
支援事例
ステップ3:DXへの道筋を支援する
どの地域であっても事業環境が大きく変化してきており、これまでそれに追随できていなかった事業者が、いよいよ岐路に立たされているというケースも身近に見受けられるのではないでしょうか。5年後、10年後も持続可能な事業のカタチを考えるならば、デジタルという要素は不可欠ですから、事業変革の一つの手段としてITを活用し、いわゆる「DX」を実現する事業者も多く出てきています。
金融機関としても、地域の事業者の変化をデジタルの面からも支援できると、地域の活性化につながっていくのではないでしょうか。ここでは、事業者がDXに向かっていくにあたり、支援者にできることを3つ挙げます。