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特集

テレワークの課題「質問しづらい」を解消しよう!~Slack・Zoomの活用事例紹介~

  • 2022年9月15日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 大塚麻織
  • テレワーク
  • ビジネスチャット

新型コロナウィルス感染症の感染防止対策として、多くの企業でテレワークの導入が浸透しつつあります。
テレワーク導入後の課題の1つとして、「質問しづらい」が挙げられます。

今回の記事では、「質問しづらい」を解消した”ある職場のSlack・Zoomの活用事例”を紹介したのち、そのベースとなる”他の職場・他の課題解決にも役立つ考え方”を取り入れてみることを提案します。

ある企業の課題

ある企業では、緊急事態宣言解除後もテレワークを継続し、オフィスに全く出社しないことを前提とした採用が進められていました。
オンライン会議もカメラOFFで行われていたため、同僚の顔と名前を知らない状態で、社内SNSで利用していたSlackのやりとりも停滞しているように見えました。

関係者全員から意見収集をしたところ、まさに「質問しづらい」という課題が浮き彫りになったのです。

なぜ「質問しづらい」の?

質問しづらい要因は、

  • 誰に質問していいのかがわらない
  • 質問相手の状況がわからない
  • 相手の状況を確認し、回答を得るまでのアクションが多い

に分類されました。

関係者のリアルな声

また、具体的には以下のような意見が挙げられました。

  • まず、自分の質問に答えられそうな人が、誰だかわからない。
  • わかったとしても、相手がすぐに答えられる状況にあるのか。
  • 解を持つ人を探し出す、メッセージを送って相手状況を確認する、スケジュールを調整する、オンライン会議の準備をするといった多くのアクションが必要になるため、自分も相手も手間がかかり、気が引ける。

同じスペースにさえいられれば・・・

出社して同じスペースにいれば、気軽に声をかけ「誰か○○について知らない?」で済むことかもしれないのに、質問の機会がなければ、ただでさえ少ないコミュニケーションがさらに少なくなります。

一方で、多くのアクションを乗り越えて質問の機会を得られたとしても、ほしい回答が得られなかったり、実は個人で解決できる問題だったとあとから気付いたり、お互いに申し訳なく感じてしまいます。

これでは、更に質問しづらくなり、ひいては作業効率も低下していくばかりです。

みんなで考えた「4つのローカルルール」!

そこで、その企業では、質問しづらい要因解消のため、職場の関係者で集まって意見交換をする場を設けました。
そして、Slack・Zoomを有効活用するための最低限のルールを4つ作りました。

  • 問合せ・呼び出しの判断基準
  • 挙手と検知の仕組み
  • 集合方法
  • 問合せ先の絞り込み

各ルールの詳細と効果を説明します。

1. 問合せ・呼び出しの判断基準

ルール

Slackで「ヤバい集まれ」「ちょっと相談」というチャンネルを作成し、「今すぐ回答がほしい/回答期限がある/回答がなくても困らない」といった緊急度によって、チャンネルを使い分ける

効果

「今すぐ声をかけたいのに、会話するまでに時間がかかる」「わざわざ呼び出すのも大袈裟かな?」といった心理的ハードルを解消

2. 挙手と検知の仕組み

ルール

「ヤバい集まれ」「ちょっと相談」チャンネルの参加者を必要な関係者だけに絞り、問合せ先不明の場合は@channnelで全員に通知する。チャンネル参加者は、全員通知を「自分宛」と思って見る。

効果

「問合せ先不明」「複数人を宛先に指定する手間」の解消、「全員通知の読み飛ばし」の防止

3. 集合方法

ルール

用途別のZoom固定会議室を複数作成(全員集合・○○チーム・△チーム・個別相談室など)し、「ヤバい集まれ」「ちょっと相談」チャンネルから直接アクセスできるようピン止めする。
質問者は「問合せ先・用件・会議室名」を投稿し、問合せ先となった人は指定されたZoom会議室にアクセスする。

効果

Web会議設定までのアクション減少による時間短縮

4. 問合せ先の絞り込み

ルール

Web会議室に集合したら、質問者が用件を伝え、回答できそうな人だけ会議室に残ってもらう。回答が得られたら、解散。

効果

質問から回答までの時間短縮により、「欲しい回答が得られない」「呼び出すまでもなかった」といった申し訳なさを解消

みんなのお困りごと、みんなで解消!

4つのローカルルール導入後、Slackの投稿数は約3倍に増加し、Zoom固定会議室は利用者増加によって新たな会議室が2つ追加されました。

再び、関係者のリアルな声

関係者からは「呼び出し方や集まり方がルールとして決まっているから、呼び出す際の心理的ハードルがなくなった」「迷ったら、すぐZoomで集まれる環境なのがいい」といった意見が出てくるようになりました。

  • 集まりやすくなったことで、意見交換の機会が増える
  • 意見を元に、より良いルールを作るようになる
  • より良いルールを導入することで、更に集まりやすくなる

そういった好循環が生まれることで、「質問しづらい」という声は、いつしか聞こえなくなっていきました。

最近では「会議室で対面」+「オンラインでの接続」のハイブリッド形式で、オフィスへ出社しているメンバーとテレワーク勤務のメンバーとで会議を設けることもあります。
これは「対面で会うことで、オンラインでも話しやすくなった」という意見から生まれた、新たな取り組みです。

本日の提案:「みんなで考え、やってみる!」から始めよう

ここまで、テレワークの課題の1つ「質問しづらい」の解決事例を説明してきました。

職場の課題を1番知っているのは?

「質問しづらい」と一口に言っても、その要因や解決策は、全社的なルール・メンバー構成・各人の価値観・時期など、職場の事情によって異なります。

全ての職場のテレワークの課題が「質問しづらい」であるとは限りませんし、”4つのローカルルール”を設ければ、必ずしも効果が出るという訳でもありません。

つまり、テレワークの課題は職場により異なり、あなたの職場の課題と解決策は、あなた自身・あなたの職場の人にしかわからないものなのです。

職場の課題、職場のみんなで解決!

だからこそ、この記事を読んで下さったあなたに提案!

職場で意見交換の場を設け、「みんなで考え、やってみる!」ことから始めてみませんか?

事例紹介した企業のように、

  • 課題に繋がる要因を洗い出す
  • みんなで解決策を考える
  • ある程度、解決策が出てきたら、取り入れてみる

これらをあなたの職場で、試してみませんか?

解決への第一歩!

もともと、解決できなくて困っていたこと。だから、最初から解決できなくてもいい。
同じ職場で困っている者同士、みんなで考えて、やってみて、そこで困ったことがあれば、またみんなで考えればいいのです。

「質問しづらい」で悩み、手が止まっているのであれば、まずは職場で「質問しづらい理由を質問する」場を設けてみませんか?
あなたの質問の答え、そして、あなたの職場の課題の解決策を見つける第一歩になるはずです!

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