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特集

チャットを活用して、社内外のコミュニケーションを活性化させよう【中小企業のためのクラウドサービス/アプリ分野紹介 ビジネスチャット】

  • 2020年4月27日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • アプリ分野紹介

 情報通信白書によると日本は各国に比べて、ビジネスでICTツールを使っている割合が低いです。つまり、デジタルで、コミュニケーションをとる習慣はまだまだできていないと言えるでしょう。

○コミュニケーションはアナログかデジタルではない

 情報通信白書によると日本は各国に比べて、ビジネスでICTツールを使っている割合が低いです。つまり、デジタルで、コミュニケーションをとる習慣はまだまだできていないと言えるでしょう。しかし、以下のアンケート結果によると、日本でもビジネスICTツールを使っている会社の方が、社内のコミュニケーションは取れているという結果になっています。

 デジタルのツールを使ったほうがコミュニケーションは深まるのに、使わない企業が多いのはなぜでしょうか。そこには、「コミュニケーションは顔をつきあわせて」といったアナログ思考がまだまだ強いからだと考えられます。しかし、社内のコミュニケーションが上手く取れている企業をみてみると、アナログオンリーでも、デジタルオンリーでもなく、状況によってうまく、アナログとデジタルを使い分けています。

 例えば初回の打合せや、重要な打合せはアナログで行って、報告ベースの定常的な打合せはデジタルで行います。アナログで5回打合せするより、アナログで2回、デジタルで10回打合せできたほうが、時間が節約できて、かつコミュニケーションが深まるでしょう。

 このように社内のコミュニケーションを取るのに、積極的にICTツールを使ってほしいと思います。

◯メールとチャットの違い

 ICTの代表的ツールとしては、メールとチャットになるでしょう。以下の2018年の小規模企業白書によると、40代以下の経営者は8割以上がメールを使っています。70代以上でも半分以上がメールを使っており、社会的インフラとしてメールは定着していると言えます。

 メールがこれだけ普及している中、新しくチャットを使うことに意味があるでしょうか。ここでは、メールとチャットの違いを確認していきます。

① 文章
 メールでは宛先や挨拶文、結びの言葉をつけて丁寧に文章を書くことが多いです。送信先も社外が多いため、文章を書くときに、時間をかけがちです。また、一度送ってしまうと基本的に修正はできませんので、どうしても確認作業が求められます。

 チャットでは、気軽に普段の話し言葉で会話することが多いです。送信先も社内やパートナーなどが多いため、考えたことをどんどん発信できるのではないでしょうか。また、誤字などは後から修正もできるものが多く、確認してから送信するより、リアルタイムにどんどん文章を書いてコミュニケーションをとれます。

② 対応人数
 メールは、宛先にToやCC、BCCなどがあり、多人数に一斉に送ることができます。ただし多くの場合は、1:1で内容をやり取りすることが多くなります。多くの人数が一斉にメールで返信し合うと、コミュニケーション内容が混乱してしまうためです。

 チャットは、1:1でも実施しますが、複数人で同時にコミュニケーションをとることができます。さすがに、何十人が一斉に会話するのは難しいですが、数人がディスカッションしながら会話をまとめ上げていくことは、メールよりチャットのほうが適合していると言えるでしょう。

③ タイミング
 メールは送ってから、返信が来るまでの対応時間は相手次第です。相手が開封して、内容を検討、作成して、送信するのを、いつ実施するかによって、こちらに戻ってくるまでの時間が変わります。

 チャットは、基本的に相手がチャットウィンドウを開いている状態なのか確認できます。また、送った内容が開封されたか表示されます。そのため、返信もメールに比べて早く始まりますし、一度コミュニケーションがスタートしたら、要件がすむまで、チャットを続けることが多く、結論を出すまでが、メールより早いです。

④ 過去の内容確認
 今までのやり取りを振り返る場合、メールの場合は、1通ずつ過去メールを振り返る必要があり、やり取り回数が多いと、過去のやり取りを把握するのに時間がかかります。

 チャットでは、基本的に、そのテーマで話し合った内容は連続でやり取りされることが多く、短時間で振り返ることができます。ただし、長時間にわたってコミュニケーションした場合に、やりとりが膨大になって確認するのが大変なこともあります。

⑤ 主な用途
 ①から④までを振り返ると、メールは社外への連絡、依頼事項を通知するのに向いています。一方で、チャットは社内を中心にディスカッションや情報共有を行うのに向いています。

(図表)メールとチャットの違い

○社内外でビジネスチャットを使いこなすには

 このようにチャットはビジネスにおいて非常に有用なツールになっていますが、使いこなすには利用ルールを決めておくほうがスムーズです。

① 他の既存ツールとの使い分けを明確に
 メールやグループウェア、ショートメールなど既に利用しているツールがある場合は、その整理が必要です。特にメールとチャットは役割がかぶることも多いですから、例えば、「社内のコミュニケーションは全てチャットで行う」などのルールを決めておきましょう。

② チャットもある程度のマナーとルールの整備を
 メールに比べて、チャットはフランクに行えるのが特徴です。基本的には自由に活用するのがいいでしょう。ただ、社内の大多数が入っているグループチャットなどでは、1:1とは違った気遣いも必要です。メールほどではありませんが、基本的なビジネスマナーも制定しておくと良いでしょう。

③ 権限とチャットルーム
 1:1や部署内でのチャットは気軽にできますが、部署をまたいで行うときや、社外のパートナーと一緒に利用するときにはルールが必要です。誰がチャットルームを作るのか、社外のときは、どこまでのメンバを含めるべきかなど事前の権限とルール設定が求められます。

○ここからアプリ ビジネスチャット

ここからアプリで掲載している「ビジネスチャット」のコーナーを紹介します。https://ittools.smrj.go.jp/app/result.php?is_clear=&app_purpose%5B%5D=p06-a26

ここからアプリで紹介しているアプリは、無料で試行できるものが多くなっていますので、ぜひ導入に向けて試していただければと思います。

○結び

 会社の規模が大きくなると、社内外でどのようにコミュニケーションを円滑にとっていくかは、大きな課題となります。その解決の筆頭はチャットツールになるでしょう。ただし、チャットツールも万能ではありません。状況に応じて最適なコミュニケーションツールを選択するとともに、利用に際しての役割分担やルールも事前に定めておきましょう。