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特集

離れた場所とWeb会議で手軽にコミュニケーションを取ろう【中小企業のためのクラウドサービス/アプリ分野紹介 Web会議】

  • 2020年5月26日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 吉田明弘
  • アプリ分野紹介

 昨今、中小企業も含めた多くの企業にとって、テレワークへの対応が、事業運営における大きな課題となっています。テレワークに対応するときに、まず検討すべきことが、事業関係者同士のコミュニケーションをどうするか、です。自宅など離れた場所に散り散りになっている従業員同士でコミュニケーションを取るために、メールやチャットなど、さまざまな手段がありますが、やはり面と向かって話をしたい場面は多くあります。
 そこで活躍するのがWeb会議アプリです。ビデオチャットやビデオ会議、古くからある呼び方ではテレビ会議などとも言いますが、カメラとマイクを通して、映像と音声の両方でコミュニケーションをするツールです。今どきのノートパソコンには、カメラとマイクが標準装備されていることも多く、アプリケーションの使い勝手も良くなっており、以前よりも気軽に利用できるようになりました。
 本記事では、Web会議アプリについて、そのメリットと、利用する上での注意点を紹介します。

○人の移動を抑える

 Web会議アプリの最も大きなメリットとしては、会って話すために人が集まらなくてよいというところです。これまで、仕事をすることと、通勤は、ほぼセットで捉えられてきました。首都圏では通勤ラッシュが常態化し、オフィスには従業員数以上の机と椅子が用意されており、みんな集まって仕事をすることが常識になっていました。また、多くの店舗や支店を持つ企業で、各拠点のマネージャーが定期的に集まって会議を実施し、場合によっては全国から一堂に会するようなこともあったかと思います。
 集まることは必ずしも悪いわけではありませんが、人が移動するということは、それだけコストがかかります。交通費はもちろん、移動時間もロスになります。もし自然災害や感染症の拡大などが起きれば、人が集まることができなくなり、事業運営に大きな影響を及ぼすことにもなります。また、従業員の精神的な負荷になっていることもあります。

 Web会議アプリを導入することで、遠隔でのコミュニケーションが可能になれば、多くの仕事が自宅など離れた場所で行えるようになります。遠隔地に点在する関係者の間で打合せをするために、どこかに集まる必要もありません。コストを抑えたり、有事の影響を小さくしたり、といったことも可能になります。
 そして、移動時間がなくなり、会議室を押さえる必要もなくなるため、会議が開催しやすくなります。時間や場所の調整が上手くできないために、定期開催のタイミングを待っていたり、開催を何日も遅らせたりするようなこともなくなり、情報共有や意思決定のスピードアップにつながります。

○営業活動においても活用する

 事業活動の中で、対面で話をするために、普段から移動コストや時間コストをかけている活動といえば、営業活動が頭に浮かぶ方も多いかと思います。まずお客様と会えなければ話が始まらないということで、どのように見込み客との接点を作るか、どのようにアポイントメントを取るか、で苦労されている企業も多いです。そして、ようやく引き合いがあったときに、それが遠隔地のお客さまからであった場合に、出張費までかけて会いに行くべきかどうか、ということで悩まれることもあるかと思います。
 営業におけるこのような問題を解消するためにも、Web会議アプリを活用できます。「オンライン営業」という言葉がよく使われますが、昨今では、商談をWeb会議で進めていくケースが増えてきています。もちろん、すべての商談をオンラインで済ませるわけではないのですが、遠隔地にいる見込み客に対する最初のヒアリングや、逆にお得意様とのこまめなコミュニケーションなどを、Web会議に置き換えることには、大きなメリットがあります。また、オンライン営業は、商品の売り手にとってだけでなく、買い手であるお客様にとっても、日程や会議室の調整が容易になったり、話を聞きたいタイミングですぐに説明を受けられたり、という点でメリットになります。

 ZoomやMicrosoft Teamsなどのアプリを使えば、お客様側では事前準備なしに、ブラウザからその会議専用のURLにアクセスするだけでWeb会議ができるようになります。お客様の使う端末がノートPCやスマートフォンであれば、カメラとマイクを別に用意する必要もほぼないため、簡単に対応してもらうことができます。また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大があったことで、社会全体において非対面型ビジネスモデルに対する意識が高まり、オンライン営業がお客様側からも理解されやすくなっています。

○Web会議をより効果的に活用するために

 アプリを導入したとしても、実際に従業員や関係者がそれを利用しなければ意味がないのは、どのようなアプリでも同じです。Web会議はやってみると「意外とやれてしまう」ということが感じられるのですが、最初は「無理じゃないか」と思ってしまいがちです。組織の中にWeb会議の習慣を浸透させるためには、ある程度の強制をして、例えば複数拠点間での打合せを必ずWeb会議で実施するように決めてしまうなども有効です。
 そうしてWeb会議が浸透してくると、人が集まらなくなるので、大きな会議室のニーズは減ります。ただ、打合せをする人がいなくなるわけではないので、集まって打合せを行うのとは違って、小さな場所の確保が必要になります。テレワークの導入が進んでいる企業では、一人だけで使える小さなブースをいくつも作るなどして、自席ではない場所で音を気にせずにWeb会議を実施できるようにしているところもあります。
 また、参加者によって環境が異なるため、取り残されてしまう人が出やすいことにも注意が必要です。例えば、参加する場所や端末でネットワーク環境が異なるため、音や映像が一部メンバーだけ乱れることもあり、そのようなメンバーは話についていけなくなります。他にも、一部のメンバーだけがオンラインで参加している会議では、実際に会議室に集まっているメンバーだけで話が進んでしまうことが起こりがちです。ホスト(議長)は、会議中の参加者全員への気配りをしておく必要があります。
 さらに、画面を通してのコミュニケーションでは、実際に会って話をするときと比べると、視覚情報などが限定的になってしまう問題があります。人間はコミュニケーション時に言語以外の部分(ノンバーバルコミュニケーション)で情報を得ている割合がとても多いので、オンラインで画面を通して話をすると、どうしても伝わりづらいことがでてきます。普段よりも、ゆっくり、ハッキリと話したり、うなずきを多くするなどあえてオーバーにリアクションしたり、意識的に相手の様子を確認したり、通信のタイムラグを意識して落ち着いて反応したり、といったことにも気をつけましょう。

○まとめ

 Web会議を活用することで、場所にとらわれない活動を促進でき、従業員にとってもお客様にとっても、より負担の少ないコミュニケーションができるようになります。今後も、実際に会って対面で話をすることがなくなるわけではないですし、その効果や重要性は評価されるべきですが、逆に非対面でのコミュニケーションにも大きなメリットがあり、評価されるべきものです。事業活動の場面ごとに、最適なコミュニケーション手段を選ぶ中で、ぜひWeb会議という選択肢を加えてください。

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