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特集

アフターコロナを見据えたテレワーク(2) 〜まずはリモートデスクトップからいかがでしょうか〜

  • 2021年12月21日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 高見康一
  • テレワーク
テレワークのイメージ画像

新型コロナウイルスの流行が一段落しつつあり、オフィス回帰などの言葉も話題になっています。前回はテレワーク環境について知識をおさらいしました。
今回はどの技術から活用していけば良いのかを検討するヒントになるお話をしていきたいと思います。

コロナ禍をきっかけにずいぶんと企業のテレワーク環境整備が進みました。ただ、流行し始めてから2年足らず経った2021年12月現在では、国内は新型コロナウイルスの流行が一段落しつつあり、「テレワーク疲れからのオフィス回帰」などの言葉も話題になっています。このまま今後テレワークは廃れていくのでしょうか。私はある程度の企業数が今後もテレワークを継続していくのではないかと思います。
今回はテレワーク導入を実際に進めていくにあたり、どの技術から活用していけば良いのかを考えていきたいと思います。
前回の特集記事:アフターコロナを見据えたテレワーク(1)〜リモートデスクトップ、クラウドサービス、VPNってなんだっけ〜では、テレワーク環境についての知識をおさらいしました。既にテレワークを導入している企業は、正しい知識を持てばテレワーク環境の最適化を進めていけるかと思います。ただ、まだ導入していない(もしくは導入したとは言えないくらい細やかな導入しかしていない)企業はそうはいきません。「リモートデスクトップ」「クラウドサービス」「VPN」、なにもない中何から手をつけていくのか、「計画」を立てることからはじめる必要があります。(テレワーク全般についてのおさらいは特集記事:テレワークについてから)

テレワークの第一歩は「できる」の洗い出し

テレワークの第一歩は「できる」の洗い出しです。まずは「できる業務」「できる人」そして「できること」の洗い出しをしてみましょう。
事業を営む上では、営業、総務、経理、製造、開発、企画・・・様々な業務を行います。それぞれ業務ごとにテレワークの可否を検討してみてください。「できる業務」としてよく挙がるのが「開発」「企画」などです。「営業」も管理体制が整っていれば導入しやすい業務です。一方で「製造」は特殊機器などを利用することが多く「できない業務」となりがちです。「総務」などは一見導入しやすい業務にみえますが「ハンコ文化・紙文化」がネックとなり案外導入しにくい業務だと言われています。

テレワークができる業務の洗い出しをイメージした図

また、同業務を行う従業員でもテレワークの可否が異なるケースもあります。ネット環境などの設備事情や家庭事情などは個々で異なります。これらも考慮に入れる必要があります。そして、自社の経営状況についても一度確認してみてください。どれくらいの投資が可能なのか、どの時期なら比較的余裕があるのか。これらの情報も重要な検討材料となります。

同一業務を行う従業員でもテレワークの可否が異なるケースをイメージした図

「理想」を描き「徐々に」進める

「できる」の洗い出しが終わったら、次は自社の「理想」を思い描いてみましょう。一番手っ取り早いのは「VPN」で全社員がどこからでも社内ネットワークにアクセス可能な状況でしょうか。ただコスト面やセキュリティ面では最適とは言えないかもしれません。置き換えられる業務を「クラウドサービス」に置き換えつつ最小限の「VPN」利用が妥当な線かもしれません。

理想・現実・ステップを考える場合のイメージ図

「理想」が思い描けたら、そこに向けた「ステップ」を考えてみましょう。一気に「理想」を実現できればそれに越したことはありませんが、それができる企業は稀ではないでしょうか。考え方は投資と同じです。自社の状況と導入にかかるコストや実務面の影響のバランスを考え、「徐々に」理想に近づいていきましょう。

第一歩は「リモートデスクトップ」がおすすめ

テレワーク導入の第一歩として個人的におすすめなのは「リモートデスクトップ」の導入です(リモートデスクトップについては特集記事:アフターコロナを見据えたテレワーク(1)〜リモートデスクトップ、クラウドサービス、VPNってなんだっけ〜をご覧ください)。
理由は、何はともあれ導入が簡単だからです。様々な実現方法がありますが、一般的には「ツールのインストール→設定」の2ステップで利用可能になります。また、WindowsやGoogle Chromeなど日頃業務で利用されているようなツールを活用して簡単に実現する事もできます。第一歩としては最適ではないでしょうか。
一方で、「作業が重い場合がある」というデメリットもあります。通信状況やセキュリティ製品の動作などで接続時の画面描画が遅くなり、PCが「重く」感じる時があります。設定や環境整備により改善する事もありますが、個人的には通常時と同じように作業するのはまだ難しいように感じます。
上記のように「リモートデスクトップ」は導入が簡単ですぐに活用できるのが大きなメリットです。テレワーク導入の「第一歩」として活用し、徐々にクラウドサービスやVPNを活用していってはいかがでしょうか。

テレワーク導入のステップをイメージした図

今はテレワーク環境整備の絶好期

近年は新型コロナウイルスの流行によって「テレワーク=新型コロナウイルス対応」という見方が一般的でした。しかし、その少し前までは「働き方改革」の一部として期待されていたものでした。流行が一段落しつつあり、緊急性が薄れた今は、テレワーク環境を整備する絶好機です。利用できるツール・技術も本当に数多く登場しています。アフターコロナを見据え、今度は「攻め」のためにテレワーク環境を整備するのも良いかもしれません。

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