ITプラットフォームへ移動

リモートワーク環境の整備で 効率化を図り、ミスが激減! 職場の雰囲気さらに良好に

  • 2025年02月03日
  • 株式会社三京(製造業)×京都商工会議所
  • 製造業
  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • グループウェア
  • テレワーク
  • 近畿
サムネイル画像

1966年(昭和41年)創業の株式会社三京は、京都を拠点に50年以上にわたり家紋刺繍額や着物刺繍の加工販売を行っています。3代目の石田由美子代表は「ものづくりに時間をかけ、より良い作品を制作したい」という思いから刺繍工程のデジタル化を推進し、作業の効率化だけでなく、より精緻な刺繍を実現。今回はコロナ禍をきっかけにリモートワークについて京都商工会議所に相談し、担当経営支援員の西分俊晴さんのサポートを受けながら、クラウド勤怠管理・給与計算システムとグループウェアを導入しました。

【経営課題】リモートワークで、より働きやすい職場環境にしたい

西分さん「石田代表は「こうしたらもっと良くなるのでは?」と常に問いかけるなど、経営諸課題の解決に前向きに取り組まれている方です。そのうえ、まだネットショップの黎明期であった1990年代半ばに自社のネットショップを開設するなど、IT活用にも意欲的な方です。令和3年度『京都市中小企業デジタル化推進事業』を活用して、刺繍工程のデジタル化も実現されています。」

石田さん「機械刺繍でも手書きでデザイン画を描く工程がありましたが、そこにグラフィックソフトを導入しデジタル化したことで正確にデザイン変更ができるようになり、調整や修正の手間を大幅に省くことができました。職人の手仕事によるミシン刺繍も、以前は紙の図案を見ながら作業をしていましたが、タブレットに切り替えたことで図案を拡大して細部まで見極められるようになり、ほとんど失敗がなくなりました。当初は職人さんたちから少々反発もありましたが、使い始めると好評で、これなら他の作業もデジタル化できるのではないかと感じました。」

西分さん「今回は、リモートワーク環境の整備やクラウドの活用、給与計算の自動化などを実施しました。導入のきっかけは、やはりコロナ禍だったのでしょうか?」

石田さん「そうですね。大手企業が次々とリモートワークを導入しているのを見て、興味を持ちました。でも、最初は『うちは無理だな』と諦めていたんですよ。ですが、私が所用で1ヶ月ほど京都を離れることになり、リモートワークを進めてみようと考えていたときに、ちょうど京都商工会議所主催のITツール展示・相談・体験会があることを知り、参加したのです。」

西分さん「コロナ禍を「働き方を変えるチャンス」にされたことは大変有意義なことだと思います。ITツール展示・相談・体験会は、実際に最新のITツールに触れながら、ご自身の業務にITがどのように活用できるのかを気軽に体験していただきたいと考えて企画しました。ご連絡をいただいたときにちょうど来場者募集が始まったところだったので、まさにグッドタイミングでしたね。」

【導入】適切なイベントやベンダー、利用料割引制度を紹介・活用し導入をサポート
導入システム:クラウド勤怠管理・給与計算システム『ジョブカン勤怠管理・給与計算』グループウェア『Google Workspace』

石田さん「イベントには16社のベンダーさんが参加していて、説明を聞きながら当社の規模に合いそうなツールを探しました。その後、実際にシステムを触ってみて使いやすいなと感じた『ジョブカン勤怠管理・給与計算』『Google Workspace』などの導入検討にあたり、西分さんにベンダーを紹介してもらい、まずは数ヶ月間、お試しで使ってみることにしました。」

西分さん「導入後は本所が会員限定で展開しているITツール会員優待(利用料の割引)を受けていただいています。そういえば、京都市の補助制度を活用してシステム導入された際には、専門家派遣も活用されていましたね。」

石田さん「はい。派遣していただいた専門家の方に私たちの悩みを話して整理してもらい、『こういったツールを使えば解決できるのでは?』といった提案を受けました。そのアドバイスをもとに2つのシステムとタブレットを導入しました。その後、当社として専門家の方と契約して1年間の定期訪問を受けて、商品がより売れる方法やシステム運用の見直しについても支援を受けました。」

【効果】業務が効率化し、職場の雰囲気も和やかに

西分さん「新たなシステムを導入して、従業員の皆さんの反応はいかがでしたか?」

石田さん「最初は少し抵抗もありましたが、慣れてくると『効率的だ』と感じるようになっていきました。とくに『ジョブカン勤怠管理』は好評で、以前は有休の申請を紙で行っていましたが、今ではスマホから簡単にできるようになったので、すごく便利だと喜ばれています。私もスマホで確認して承認ボタンを押すだけなので楽なんですよ。
クラウド化によって、メール管理も大きく改善しました。以前は各パソコンで迷惑メールを個別に削除する必要がありましたが、今では一括で管理できるので、各従業員が本来の業務に集中できています。私も外出先から対応できるようになり、すべてが効率的になって、職場全体が働きやすい環境になったと思います。」

西分さん「その後も積極的にIT化を進めていらっしゃいますね。IT化の特徴として、一つデジタル化が進むと他の領域もデジタル化すればもっと効率よくなる、という好循環があると思っています。」

石田さん「そうなんです。他にもデジタル化できないかと考え、『Google Workspace』を活用して注文書をデジタル化しました。以前はネットでの注文も手書きで紙の注文書に書き写していたので、書き間違いや読み間違いが発生していました。今では、お客様が入力したネット注文のデータがそのままタブレットに反映されるようになったため、刺繍の際に名前の漢字間違いや日付の入力ミスがなくなりました。また、得意先ごとに異なる刺繍柄の管理も、紙からタブレットに切り替えたことで、必要なデータにすぐアクセスできます。紙をめくって探す手間がなくなり、大幅な時間の節約になりました。
人的なミスが減り、探す手間も大幅に省けたことで、職場の雰囲気もすごく良くなったんですよ。私たちのような少人数の会社では、それも大きなメリットだと感じています。デジタル化で生まれた時間や良い職場の雰囲気を活かして、今後さらなる販路拡大に向けて、新たな取り組みを展開していきたいです。」

株式会社三京
HP:https://www.shisyu.net/

所在地:京都府京都市右京区太秦森ケ西町27-17
創立:昭和41年
主な事業内容:刺繍加工・販売(着物、家紋等)、和小物雑貨販売
代表:石田 由美子

【サポートノウハウ】京都商工会議所のIT支援を立ち上げ「ITツール体験の場」を提供

西分さん「京都商工会議所の経営支援員として、またIT支援担当として3年目です。もともとは紙大好きなアナログ派で、IT支援担当になった当初は戸惑いもありましたが、京都商工会議所でのIT支援の立ち上げ初期ということで、支援先のデジタル化・IT化を進めるにはどのようなことが必要かを常に考えながら進めてきました。まずは、ITツール導入に向けて背中を押す施策として、本所会員限定のITツール会員優待(ツールの利用料の割引等)を展開し、その次に、どのようなツールがあるかを知ってもらい体験する機会が必要と考え、石田代表にも参加いただいたITツール展示・体験・相談会を開催しました。また、「ITツール体験スペース~洛西BSD-eX~」を開設し、体験することでツールの理解と導入後の効果を検討することができる場を常時提供(事前予約制)しています。今後も、どこからデジタル化を進めたら良いか分からないといった方から、このツールを試してみたいといった方など、あらゆるお悩みに応えられるようサポートしていきたいです。」

【事業者の声】『もったいない精神』がIT化のきっかけでした

石田さん「京都商工会議所さんには、展示会の出展案内や補助金の情報などをいつも親切に教えていただいています。西分さんがご自身のコメントをつけて支援先に配信されているメルマガを読んで、私から相談をすることもあります。
業務のIT化を考えたきっかけは、『もったいない精神』からです。使いかけ刺繍糸の管理不足による糸の追加購入がとても多くあったのです。無駄な購入を減らすために、まずExcelで糸の管理から始めたのが最初でした。
いきなり高価なソフトを導入するのではなく、小さな改善からスタートすることで無理なく取り組むことができ、それがうまくいけば次の挑戦をしたくなってきます。中小企業にとって、業務のIT化は本当にメリットしかないと感じています。まずは無駄になっている時間やコストを見直し、そこから身近な支援機関に相談してデジタル化を進めてみることをおすすめします。」