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配食の効率化とサービス品質向上を実現~新人さんもすぐに仕事を始められる環境に

  • 2024年12月27日
  • 都賀町商工会(栃木県)×株式会社トレンド(配食サービス)
  • 個人向けサービス
  • その他
  • 関東
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都賀町商工会は、高齢者向け配食サービス事業などを展開する株式会社トレンドを創業当初から支援し、定期的に職員が訪問して経営状況や困りごとなどをお伺いしてきました。中長期計画見直しのタイミングで、同社の大塚友義社長が商工会職員・相川将宏さんに勧められた栃木県主催の「令和3年チームイノベーション実践プログラム」へ一緒に参加したことで、「配達担当者によって配達食数にバラつきが生じている」という問題が明らかに。この課題解決のため、相川さんが伴走して適切なITツールを導入し、業務の効率化を実現。

【経営課題】 配達食数を増やし、サービス品質を向上させたい

大塚さん「当社は、私を含め社員4名と、パート社員10名で運営しています。配達を担当しているのは主に50〜60代のスタッフです。配達に関する課題意識は持っていましたが、どこから取り組めばよいのかわからない状態でした。」

相川さん「まずは私が中立的な立場から大塚社長と社員の両方にアンケートを実施し、『配達食数が適正かどうか』を確認しました。その結果、社長は『契約数に基づけば、午前中に平均30件、午後に20件ほど配達しなければならない』と考えていた一方で、配達担当の社員たちは『その配達量をこなすのは難しい』と感じていることがわかりました。
日々の配達ルートは各担当者が自身の経験に基づいて設定しており、土地勘のある社員は午前中に25件配達できましたが、土地勘がない社員は17~20件が限界でした。また、紙の地図を使っていたため、新規顧客宅への適切なルートが判断しにくく、大幅なロスタイムが生じていました。配達員の焦りから自動車事故のリスクが高まる可能性も懸念されました。」

大塚さん「社員の採用時も土地勘があるかどうかを重視していたため、採用できる人材が限られていたんです。その結果、新規顧客の開拓が思うように進まず、売上も伸び悩んでいました。」

相川さん「そうでしたね。また、大塚社長は高齢者を地域から取り残さないという信念をお持ちでしたが、配達前の朝礼に参加してみたところ、社員の皆さんは『どの道が通りやすいか』といったルート確認ばかりを気にかけており、お客様に関する情報共有が行われていませんでした。時間内に配達するのが精一杯で、高齢者の見守りにまで目が向いていないのではないかと感じました。」

【IT導入へのステップ】ベンダーとの打ち合わせに同席
導入システム:クラウド型宅配効率化システム『SweeTTo』

大塚さん「当初、チームイノベーション実践プログラム(栃木県主催)の専門家の支援を受け、無料で使えるグーグルマップなどでプロトタイプを作成してもらい、10日間ほど試用しました。このままでも十分に利用できるシステムでしたが、長期的に使えて従業員にも使いやすいものにしたいという思いから、同じようなシステムを検討することにしました。約1年にわたり当社に合うシステムを探しましたが、解決策が見つからず諦めかけていたところ、前述の栃木県の実践プログラム担当者がクラウド型宅配効率化システム『SweeTTo』を含む3つの候補を紹介してくれたのです。」

相川さん「それぞれのベンダーとの打ち合わせに私も同席し、一緒にメリット・デメリットを比較検討しました。」

大塚さん「比較検討の結果、IT導入補助金を活用して、2023年3月に『SweeTTo』を導入し、配達車両4台にタブレットを設置しました。タブレットを活用することで、ルート確認や日報記入がスムーズになっただけでなく、遠方に住むご家族へ配達完了のメール送信も可能になりました。」

【IT導入の効果】配達効率が向上し、配達食数が約2倍増加!

大塚さん「配達効率が向上し、車両1台あたりの配達食数が大幅に増えました。導入後は全担当者が午前・午後ともに35~40食を配達できるようになっています。配達ルートの無駄が減ったことで、ガソリン代が高騰しているにもかかわらず、燃料コストも導入前より下がったんですよ。」

相川さん「導入直後はタブレット操作について戸惑いの声も多かったようですね。大塚社長や幹部社員がパートさんたちのそばに付き添い、何度も操作方法を説明している場面をよく見かけました。」

大塚さん「導入してから1ヵ月ほどは大変でしたが、今では全員が便利にタブレットを使いこなしています。ルート情報や顧客情報が集約していることから、新人の配達担当者でもすぐに仕事を始められる環境になりました。」

相川さん「サービスの品質向上についてはいかがでしょうか?」

大塚さん「配達担当者がお客様と日々接する中で気づいた小さな変化をタブレットを通じて共有するようになり、より細やかな見守りサービスができるようになっています。お客様からいただく感謝の言葉も共有するようになり、社員のやる気も上がりました。」

相川さん「IT導入後、株式会社トレンドさんは栃木市、鹿沼市、壬生町における高齢者配食サービスのシェアを28%まで伸ばしました。これからもっと地域の高齢者の皆さんに喜ばれる事業を拡げていっていただけると感じています。私たちも共に支援してまいります。」

社名:株式会社トレンド
HP:https://trend-tochigi.com/

事業内容:葬祭事業・飲食事業・移動販売事業・介護福祉事業
所在地:栃木県栃木市都賀町家中5932-13
設立:2015年
代表:大塚 友義

【サポートノウハウ】現場の問題点を把握し、できることから提案

相川さん「商工会に勤務して13年目、さまざまな地元企業を支援した経験から、『まずはできそうなことから始めましょう』と声をかけるようにしています。IT導入にこだわらず、『まずは名刺に自社の商品情報を載せてみませんか?』といった簡単な提案から始めて、それならできそうだという階段を一歩ずつ上っていった結果、最終的にITも使いこなせるようになるのが理想です。
社長と従業員のやりたいことを一致させることも大切にしています。とくに従業員の声を聞くことを重視しており、朝礼や日々の業務に積極的に関わりながら問題点を把握。現場のモチベーションを下げることなく、ITの力を活用して会社全体が良い方向に向かうような支援をしていくことを心がけています。」

【事業者の声】ここまで寄り添ってくれたことに感謝

大塚さん「地域に貢献したいという強い思いから2015年に起業し、高齢者を地域から取り残さないことを目標に、配食サービスに取り組んできました。起業前から商工会の存在は知っており、創業直後から会員としてお世話になっています。
相川さんは企業のIT活用に詳しいだけでなく、詳細に検索してより深く情報を調べてくれる方で心強かったですね。また、当社の配食サービスの車にも同乗してパート社員らの本音を聞き取ってくれ、私と社員の間に立って適切なIT導入をサポートしてくれました。ここまで親身になって寄り添ってくれたことに深く感謝していますし、一緒に成長していることを感じています。」

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