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タブレットオーダーを導入し、ホールオペレーションの効率化を実現

  • 2024年08月07日
  • 株式会社フーズ・ライフ(レストランクーポール)
  • 飲食業
  • オーダーエントリーシステム
  • 関東
レストラン・クーポール

世田谷区の公共スポーツ施設内に3店舗を構える洋食店、レストランクーポールは、1974年創業の赤坂本店から50年続く洋食メニューが人気の老舗レストランだ。取締役の森岡健太さんは、生産性向上を目指して2年ほど前にタブレットオーダーを導入。現在もさらなるDX推進に取り組んでいる。

森岡さん「当店は私の祖父が1974年に赤坂で創業した洋食レストランで、今年で50周年になります。一時は関東圏で10店舗を展開していましたが、時代の流れや施設の老朽化に伴って現在は世田谷区の公共スポーツ施設内で3店舗を運営しています。地域の皆様はもとより、長年ご愛顧いただいているお客様にも多数ご来店いただいています。3年ほど前に私が後継者として会社経営に参画し、経営戦略の一貫として飲食店運営におけるDX化に力を注いでいます」

【課題】繁忙期の人手不足へ向けて、ホール業務の省力化が課題

森岡さん「2021年当時、3店舗ともハンディタイプのオーダー端末とPOSレジを使っていました。バックオフィス業務や店舗運営の効率化など解決すべき課題はいくつかありましたが、中でも喫緊の課題だったのが店頭オペレーションの効率化でした。公共スポーツ施設という特殊な立地柄、特に屋外プールが開放される夏季は年間売上の3分の1を占めるほどの集客がある繁忙期です。スタッフが手薄になるこの時期はアルバイトも集まりにくく、ホール業務を省力化できるテーブルオーダーシステムの運用が急がれていました。そこで、生産性向上を図るDX化の第一歩として2022年の夏に導入したのが『タブレットオーダー』だったのです」

【導入】店頭オペレーションを効率化できる「タブレットオーダー」システムを導入

森岡さん「テーブルオーダーシステムのITツールを導入するにあたっては、2つの候補がありました。従来から使っていたPOSレジに追加する形で専用タブレットを導入する案と、iPadを端末として使うクラウド型のPOSレジを新たに導入する案です。当店は店舗も広くて席数も多いため、いかに導入コストを抑えながら最適なツールを選ぶかがポイントでした。また、ツール選択の最大のポイントとなったのは、お客様の客数を入力する入店処理です。当時、検討していたクラウド型のPOSレジには端末で入店処理できる機能がなく、ホールスタッフが客数を画面入力してお客様を席まで案内しなければなりません。ホール業務の省力化が目的でしたので、クラウド型という選択肢はなくなりました。一方で従来のPOSレジは、スタッフがレジ操作に慣れていたことと、飲食店専門のタブレットだったこともあり、耐久性の面でも信頼できることが決め手となりました。コスト面ではクラウド型よりも高額でしたが、導入に際して東京都の助成金を活用して、決定から2週間ほどでスピーディに導入することができました」

  • タブレット①
  • タブレット②

【効果】繁忙期前にスピーディに導入し、ホールスタッフの省力化を実現!

森岡さん「導入して一番の効果は、お客様の入店後にホールスタッフがオーダーをとりに行く必要がなくなったため、大幅な省力化につながったことです。このシステムがなければ、もう1人ホールスタッフが必要だったのではないでしょうか。当店の客層はご年配の方も多いですが、操作画面はシンプルなため、一度ご説明すれば操作には慣れていただけています。オーダーミスに関しては、ホールスタッフの入力ミスは当然なくなりました。また、求人時にも『メニューやハンディ端末の複雑な操作を覚える必要がない』ということは大きなメリットとなっています」

森岡さん「一方で大変だったのは、導入したのが飲食店専門のシステムで、管理画面の設定やメニュー入力に専門的なスキルが必要だったことです。私は比較的パソコン操作に慣れていますので、なんとか設定することができましたが、不慣れな方には難しい部分も多いと思います。そしてまだまだ課題も残っています。現状のPOSレジシステムは店舗ごとの売上集計はできるものの、各店舗の売上データを経理システムと連携できていません。売上の集計方法も店舗ごとに異なり、エクセルに入力したり、日報に手書きで記入したりとさまざま。各店舗の集計データを本社で改めて入力してから会計事務所へ渡すため、全社的な経理の試算表を確認できるのは数カ月先となり、経営戦略に活かすことができていないのです。売上データと経理システムをリアルタイムに連携させることを目指して、引き続きITツールの導入・運用については検討を重ねているところです」

店内の様子

【展望】売上データと経理システムの連携を目指し、新たなシステムの導入を積極的に検討

森岡さん「タブレットオーダーを導入しているのは2店舗ですが、現在、残る1店舗には、クラウド型のテーブルオーダーシステムの導入を検討しています。実は、2年前に現システムを導入した後、元々導入を検討していたクラウド型POSレジにも入店処理機能が追加されました。近年、さまざまなITツールは日々新たな機能が更新されていますから、その時々で店舗の状況やITツールの現状をしっかり検討しながら新たなシステムの導入も積極的に検討するべきだと考えています」

森岡さん「また当社では、レストラン運営以外にも福祉施設や学校の給食事業も手掛けており、バックオフィス業務のDX化も大きな課題として同時に取り組んでいます。今検討しているのは、献立ソフトから発注システムへの連携と同時に、発注・請求業務を電子化したり、会計ソフトのオプション機能を使って直接銀行に自動入金したりする仕組みなどです。現在は外部の専門家に相談しながら、RPAツールの導入を進めているところで、今後はそれを活用して業務の自動化を進めていく予定です」

【メッセージ】事業規模に合わせたツール選定と、導入時期を慎重に見極めることが大事!

森岡さん「ITツールの導入によって様々な効率化ができるのは確かですが、その導入時期は慎重に見極めるべきだと感じています。実際、当店ではテーブルオーダーシステム導入後に、料金プランの値上げや、希望していた機能が別のツールにプラスされるなど、『もう少し導入を待つべきだったかもしれない』と思う出来事がいくつか重なりました。とはいえ、繁忙期までに導入するという当時の決断が間違っていたとは思いません。ただ、店舗ごとの状況や事業規模に合った要望、費用対効果を慎重に検討しながら考える時間を持つことも大切だと思います」

代表

株式会社フーズ・ライフ(レストランクーポール)
HP:https://www.foods-life1974.com/

事業内容:レストラン(デリバリーを含む) / 弁当製造、販売 / 高齢者福祉施設給食、学校給食
所在地:東京都杉並区高井戸東1-31-5
従業員数:82名
設立:1974年3月
代表:森岡 明美

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