飲食店の課題対応②~繁盛店を見習おう!~
- 2023年6月28日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 清水康裕
- 飲食店
今も昔も飲食店は熾烈な競争を行っています。
お店のオリジナリティはもちろん重要ですが、繁盛店がなぜ繁盛しているのかを分析し、良いところを取り入れることも重要です。
目標店舗の存在
飲食店といっても大衆食堂から高級飲食店まで様々な種類があります。どのようなサービスを提供するのかによって、オリジナリティが発揮されるのですが、事業が軌道に乗るまでは試行錯誤が続きます。そんな時に参考になるのが、目標とする店舗の経営方法やメニュー、客層等です。目標とする店舗の状況と自店舗を比較、分析することで自社の弱みを補完するための具体的な対応を確認できる可能性があります。
目標店舗分析1 現地調査
目標とする店舗の状況を把握するために、実際に目標とする店舗に行って、サービスを受けるというのは大変有効な調査方法です。オーナー自らが目標店舗を視察し、受けた刺激を店舗経営、店舗運営に活かすことができます。ご自身の判断だけでは不安で、さらに客観的な評価を求める場合、覆面調査を利用するというやり方もあります。覆面調査は、自社の状況を調査員が顧客を装って調査し、問題を抽出するというものです。
通常、調査会社は様々な飲食店情報を持っている場合が多く、調査した店舗が他の店舗と比べて何が強く、何が弱いのかを伝えてくれます。この評価対象は、一般的な同業者となります。特定の店舗と自店舗を比較したい場合は、自店舗だけでなく、目標とする店舗も覆面調査の対象とすることで、より具体的な検証ができるため、今後の対応を詳細化することが可能です。
覆面調査を2店舗で実施することになるため、調査、評価にコストと時間がかかりますが、具体的な対応をイメージしやすいので、即効性の高い対策となります。
目標店舗分析2 商圏分析
目標店舗の情報を収集して分析するためには、コストがかかりますが、2次データ(webや書籍等から入手できる情報)を活用して簡易的に店舗間を評価し、大まかな仮説を立てることも可能です。たとえば、地域経済分析システム「RESAS:リーサス」を活用すると、地域ごとの産業状況や人口動態を確認することができます。
また、地理情報システム「jSTAT MAP」を利用すると、地域の人口動態や事業状況をヒートマップとして活用できるため、商圏分析の仮説立案に役立てることができます。
地理情報システム「jSTAT MAP」を活用した商圏分析については、こちらの記事をご覧ください。
jSTAT MAPを使いこなして商圏の分析をしよう!
目標店舗分析3 ベンチマーク
ベンチマークとは、もともとは測量用語ですが、昨今は経営指標の比較分析用語として流通しています。自社の財務諸表と目標店舗の財務諸表を経営指標ごとに分析することで、収益性やFLR比率の状況、R&Dや投資の状況を確認することができます。
経営指標は各比率を比較対象とするため、店舗の規模が異なっていても評価できることがメリットです。目標とする店舗が上場していれば財務情報は公開されているので、無料で情報を入手して比較することができます。
目標とする店舗が非上場企業の場合、財務情報を取得する必要があります。財務情報は調査会社や飲食コンサルティング企業が知見を持っている場合があります。利用にあたっては有償対応となる場合が多いのですが、客観的な情報分析を行えます。昨今では様々な飲食店の情報をデータベース化し、自社のポジショニングをレポートしてくれるサービスもあります。様々な情報源がありますので、段階的に情報の精度を上げて戦略を練ることも可能です。
さいごに
自店舗のみで戦略を立案すると、客観的な判断が下せず、効果的な打ち手を出せない場合があります。目標とする店舗の良いところを分析し、自社向けに活用することで、自店舗の弱みを対策し、強みを活かす対応を打ち出すことも可能です。必要に応じて目標店舗を分析し、戦略を練っていきましょう。