【経営課題】パプリカの認知度が低く、売上げが伸びない
髙橋さん「はなわふれあい農園はパプリカを主力に、現在は休耕地を開墾して花卉のほか、レタス、キャベツ、ネギなど多品目の栽培に挑戦しています。従業員は8名と小規模ですが、品質にこだわり、地域に根ざした農業を目指しています。」
菊池さん「はなわふれあい農園さんの親会社が所属する安積町商工会から塙町商工会へ連絡があり、事務・経理作業のサポートを始めたのがお付き合いのきっかけです。巡回相談を続ける中で、『こだわって育てているパプリカが売れない』というご相談を受けました。」
髙橋さん「パプリカは知名度があまり高くないため、まず商品の認知を広げたいという思いがありました。また、生産作物を道の駅やスーパーマーケットに卸していましたが、中間マージンが高いことから、オンラインストアなど消費者と直接繋がれる販路を模索していました。」
菊池さん「はなわふれあい農園さんのパプリカは色ツヤがよくて、とてもおいしいんです。まだまだ伸びると感じていたため、ロジックツリー(※)を使って現状を整理したところ、光熱費の高騰・需要不足・販路の少なさなど、経営課題が多岐にわたっていることが明らかになりました。そこで、優先して取り組むべき経営課題を整理するために専門家の意見を聞いたほうが良いと考え、『IT経営サポートセンター』を紹介。経営課題解決に役立つITツールの導入や運用方法に関する助言を受けることにしました。」
(※)分析対象の要素や、問題点、解決策を論理的に分解して分析するためのフレームワーク


【IT導入】経営課題を集約し、事業規模に応じたITツール導入を提案
運用支援したツール:SNS『Instagram』、HP作成ツール『Goope』、ネットショップ作成サービス『BASE』
髙橋さん「IT経営サポートセンターの専門家と3回のオンライン面談で“売れない原因”を整理した結果、『パプリカの認知度向上』と『販売チャネルの拡大』に課題を絞って取り組むことになりました。専門家と菊池さんからご提案いただいたのは、①SNS『Instagram』の運用改善 ② ホームページ(HP)の開設 ③ ECサイト『BASE』導入の3つです。いずれも当農園の規模感に合った提案でした。」
菊池さん「Instagramはすでに開設されていましたが、投稿内容が単調となってしまい、フォロワー数も伸び悩んでいました。そこで当商工会の専門家派遣制度を使い、半年ほどInstagram投稿の運用代行をおすすめしました。」
長瀬さん「その結果、フォロワー数が約500名増え、東京の飲食店との新たな取引につながりました。現在は専門家から運用ノウハウを伝授してもらい、私自身が更新することができています。」
髙橋さん「HPに関しては、以前、外部業者に作成を依頼したのですが、農園風景や商品の撮影後に費用が高額であることが判明して断念していました。」
菊池さん「しかし、せっかく撮影した写真があるのなら活かさない手はないということで、HP作成ツール『Goope』の活用を提案しました。.comドメインのHPを無料で制作、運営することができるんです。さらにHPとInstagramを連携し、販路の導線をつくることを提案しました。」
髙橋さん「販売チャネルの拡大に関しては、それなりに投資をしてオンラインストアを開設しようと考えていたんです。ところが、送料負担が大きく導入コストに見合わないことや、販売先(個人客)を広げすぎると社内対応が難しいことを理由に、IT経営サポートセンターの専門家からは『おすすめしない』とのご意見をいただきました。」
菊池さん「そこで、ここからアプリにも掲載されているネットショップ作成サービス『BASE』を導入しました。無料で簡単なので、まずは小さくネットショップをはじめられる点が安心です。」


【成果】認知度アップし、新規注文を獲得! 今後の事業拡大にも意欲
長瀬さん「HPにInstagramをリンクしたことで、DMからの注文が増えました。一人ひとりのお客様と直接つながるのがもっとも利益率が高いですし、ミシュラン3つ星レストランからもご注文をいただくなど、思った以上にチャンスが広がっています。」
菊池さん「品質と安定供給力が伝わった結果ですね。これだけの規模でパプリカを生産している農園は少ないと思います。」
髙橋さん「SNSを通じて飲食店との相互PRもできるようになりました。『うちのパプリカは、はなわふれあい農園のものです』と紹介していただくことで、認知がさらに広がっています。」
長瀬さん「公式HPがあることで、商談でも信頼感が増したと感じます。」
菊池さん「今は商談前にHPを確認するのが当たり前になっていますから、大きな一歩だと思います。」
髙橋さん「今後は規格外のパプリカの加工販売まで行う“六次化”に着手したいと考えています。パプリカを使ったジェラートやピクルス等の加工商品を開発して都市部へ卸したり、ふるさと納税にも活かしたいですね。その際は新たなITツールの活用が必要となると思うので、IT経営サポートセンターの専門家にアドバイスをお願いしたいです。」
菊池さん「情報発信力の強化は、今後のブランディングに欠かせません。引き続きサポートしてまいります。」
【サポートノウハウ】“苦手意識”をなくす、わかりやすいIT支援を
菊池さん「ITが苦手な事業者さんにとって、自社の力だけでIT導入に取り組むことは困難です。私たちはその不安を取り除きながら、ITの利点や活用法をかみ砕いて説明・解説する役割を果たしていきたいと考えています。とくに農業分野では、効果的にITを取り入れて商品価値を高めていかなければ将来的に厳しいと感じます。SNS等を活用して事業者さん自身が情報発信力を身につけられるよう、引き続きサポートしてまいります。事業者さんのITに関する課題へ的確に対応できるよう、福島県の商工会職員同士で解決策を共有・検討する『IT経営サポートセンターを使い倒す研究会』(※)を定期的に開催しています。研究会では経営支援の諸先輩から貴重なアドバイスを受けることができるので、今回のはなわふれあい農園さんの支援を進めるうえでも大変参考になりました。」
※福島よろず支援拠点、中小機構東北本部、福島県内の商工会職員の有志で結成されている。
【事業者の声】『IT経営サポートセンター』の専門家は、いちばん身近な先生です
髙橋さん「『IT経営サポートセンター』の専門家は、俯瞰的に事業を見て良し悪しを進言してくれるのがありがたかったですね。親身に寄り添ってサポートしてくれた菊池さんと、商工会が派遣してくれた専門家にも感謝しています。ITに詳しくない私たちのような業種にとって、『IT経営サポートセンター』の専門家は“いちばん身近な先生”だと感じました。ぜひ多くの方に活用してほしいです。」

有限会社はなわふれあい農園
HP:https://r.goope.jp/fureainouen/
代表:髙橋 健二
