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自社に最適化した生産管理システムを導入
生産効率の向上とコスト削減を実現

  • 2025年12月23日
  • 有限会社共和テクノス(製造)×大平町商工会
  • 製造業
  • 生産管理
  • 関東
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栃木市大平町で金型プレス加工業を営む有限会社共和テクノスは、昭和45年の創業以来、自動車用の燃料・ブレーキ配管関連部品を中心に、エアコンや冷蔵庫などの家電製品等多品種の部品を製造してきました。しかし、事業拡大に伴い、田中統代表取締役は既存の在庫管理に課題を感じるように。相談を受けた大平町商工会経営指導員・鈴木正宜主任は丁寧にヒアリングを行い、補助金も活用して受発注や在庫の管理をITの力で最適化することを提案。同社業務に適合した独自の生産管理システムを構築・導入した結果、業務効率化やコスト面の改善につながり、生産性も継続的に向上しています。

【経営課題】適切な生産管理ができる仕組みを整えたい

田中さん「当社は金型プレス加工業として、自動車用の燃料・ブレーキ配管部品を中心に、冷蔵庫やエアコンなどの家電部品なども製造しています。現在は自動車関連部品の製造が総生産数の約8割を占めています。」

鈴木さん「先代の頃からお付き合いがあり、大平町商工会として経営相談や補助金・助成金の申請支援を行ってきました。」

田中さん「金属プレスは特徴として、ある程度のロットで製造を行なうことで生産効率が上がる加工方法と言えます。一方、自動車部品の製造では、“必要なものを必要なときに必要なだけ”生産・供給するジャストインタイム方式に対応する必要があるため、適正な在庫管理が欠かせません。約200種の部品を過不足なく管理し、急な注文にも対応する必要があります。そのため、Microsoft Accessを使って在庫や受注情報を管理してきましたが、OSのアップデートのたびに動作しなくなる、複数端末での使用に向かないといった課題がありました。」

鈴木さん「現場スタッフが工場内で情報を確認できず、作業を止めて事務所まで足を運ぶ必要があるため、業務のムダや非効率が生じているというお悩みもありましたね。」

田中さん「そうなんです。顧客からの注文や内示の情報を基に、在庫状況も把握した上で、最適な生産計画・生産管理を行う必要があるのですが、そのためにはシステムでリアルタイムに正しい情報を確認できることがとても重要です。事業拡大に伴い、家族中心の事業運営から社員主体の業務体制へ移行したこともあり、担当者のスキルに依存せず、社員誰もが運用できるシステム導入、仕組みづくりを進めることにしました。」

【IT導入】丁寧なヒアリングで最適な補助金を提案
運用支援したITツール:自社に最適化した独自の生産管理システム

鈴木さん「田中社長からご相談を受け、まず在庫管理及び受発注業務の現状と課題を整理し、新しくシステムを導入することで何が改善されるのかを明確にしました。補助金申請もご希望されていましたので、テーマとの適合性やスケジュール管理など、採択に向けた準備を田中社長と一緒に進めることにしました。」

田中さん「本来は自社で申請書を作成するのが理想ですが、今まで補助金申請の経験がなかったため難しく、鈴木さんに相談しました。今回活用した栃木県の『スマートファクトリー実証モデル事業補助金』は鈴木さんにご提案いただきました。このような補助金があることを知らなかったため、大変助かりました。」

鈴木さん「『ものづくり補助金』も選択肢のひとつでしたが、業務プロセス改革や生産性向上、DXにつながるシステム導入であることをふまえ、栃木県の補助金が最適と判断しました。申請に際しては、技術的な部分は自身でも調べて理解したうえで支援を行いました。」

田中さん「生産管理システムの導入にあたってはベンダー数社へ声をおかけし、現在抱えている課題や実現したいことを説明したうえで、より意図を理解してくれたベンダーに開発を依頼しました。鈴木さんにも相談しながら使いやすい形を検討し、ベンダーとも何度も調整を重ね、今年初めに納得できる形で自社オリジナルのシステム導入が完了しました。現在も開発ベンダーのサポートを受けながら運用しています。」

鈴木さん「無事システム導入に至ってよかったです。支援の際には、事業者の方に合う補助金制度など把握に努め、丁寧なヒアリングを大切にしています。ヒアリングを通じ、“事業者さんの頭の中にあることを言語化する”ことが重要だと考えています。」

【成果】生産効率の向上とコスト削減を実現

田中さん「とくにコスト面で効果が明確でした。部品の作りすぎによるムダがなくなり、事務作業も削減されました。生産計画も立てやすくなり、管理が格段に楽になりました。」

鈴木さん「事務所と現場が双方向で情報共有できるようになり、生産効率も向上しましたよね。スマートファクトリー化への第一歩だと思います。」

田中さん「過剰な在庫や社員の残業が確実に減り、お客様からの在庫に関するお問い合わせにも即答できるようになりました。」

鈴木さん「生産管理への投資はコスト面から敬遠されがちですが、生産性向上で得られる効果など長期的に考えた時のメリットは大きいですよね。また、従業員の仕事への意欲や定着にもつながると思っています。」

田中さん「まさに実感しています。システム導入後、ISO審査員から生産管理を評価されたことも自信になりました。今後、需要予測などの新たな機能の活用も検討していきたいと考えています。」

鈴木さん「リードタイムの圧縮まで含めたスマートファクトリー化に向けて、目指す経営について傾聴しながら引き続き田中社長をサポートしてまいります。」

【サポートノウハウ】事業者の可能性が広がる提案をスピーディに

落合さん「事業者さんに悩みを打ち明けてもらうには信頼関係が必要です。事業者さんの興味・関心があることに自分も関心をもち、自然に話してもらえるよう寄り添うことを意識しています。事業者さんの可能性を広げるには、ITに限らず多くの情報の引き出しをもつことが重要です。日頃から同僚や専門家とコミュニケーションを取りアンテナを高くし、有益な情報が集まってくるように心がけています。また、支援のスピード感も重視しています。」

【サポートノウハウ】事業者さんの話を傾聴し、支援の質の向上を

鈴木さん「日頃から支援事業者さんの声に耳を傾けておくことが何より大切と考えています。事業者さんが何に困り、どこを目指しているのか、そして『こんな仕組みがあれば助かる』という声まで把握しておくと、支援に必ず活きてきます。また、支援機関にいる以上、自ら積極的に挑戦する姿勢も欠かせません。難しい案件に成功すれば大きな自信になりますし、突然の相談にも前向きに取り組めるようになります。挑戦を重ねることが支援の質を高め、新たな企業支援への一歩にもつながります。」

【事業者の声】支援のプロに相談し、生産管理システム導入を検討してみては

田中さん「生産設備に投資はしても、システムにお金をかけることに二の足を踏む企業も多いと思います。しかし、管理の仕組みを整えることで会社全体の効率化が進みます。在庫の状況を見える化したことによって計画の精度が上がり、確実にムダが減り、生産効率が向上しました。生産管理システムに一定の投資をする価値は十分にあると思います。そこに補助金を活用できれば、中小企業にとって大きな後押しになりますよね。鈴木さんのような企業支援のプロに相談し、生産管理の改善に踏み出すことをおすすめします。」

有限会社共和テクノス

所在地:栃木県栃木市大平町横堀1403
代表:田中 統

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