【経営課題】信頼と実績の裏で顕在化したホームページの課題
中山さん「私どもは旅行代理店を営んでおり、お客様のご要望に応じて、宿泊や交通を含めた旅行全体のプランを組み立て、ご提供しています。創業は昭和31年で、私は3代目になります。69年にわたり地元のお客様に寄り添い、今日まで事業を続けることができています。」
米谷さん「私も子ども会の行事や習い事の遠征などを通じて、いすゞ旅行さんのことは以前から存じ上げていました。地域の中で、バス旅行や団体旅行といえばいすゞ旅行さんは必ず名前が挙がる存在です。」
中山さん「現在の従業員は10名で、平均年齢は46歳です。経験豊富なベテラン社員が多い一方で、課題となっていたのがホームページの改修でした。必要性は理解していましたが、まず私自身がITに疎く、少しパソコンを触れる社員がなんとか形にしてくれたものの、お客様からたびたび使いにくいという声をいただいていました。そんな中、同業者が集まるIT講習会に参加したところ、なんと『改善が必要なホームページの例』として、当社のサイトが取り上げられていたのです! 講師からセキュリティ面の課題も指摘され、正直ショックを受けました。」
岩世さん「セキュリティ面で問題があると、これまで積み上げてこられた事業の信頼にも影響しかねませんよね。」
中山さん「まさにその通りで、『このままではあかん!』と強く感じました。ただ、制作会社に相談すると費用が高額だったり、修正のたびに追加料金がかかったりと、継続的な運用を考えると現実的ではありませんでした。そんなとき、北大阪商工会議所情報センターが会員向けにホームページ作成セミナーを開催していると知り、受講してみたところ、これなら自分たちでも続けていけそうだと感じました。」
岩世さん「北大阪商工会議所の情報センターでは、小規模事業者の方にも無理なく導入できるツールやクラウドサービスを活用し、業務効率化や負担軽減の支援を行っています。情報センターを設置している商工会議所は全国でも5カ所しかなく、中でも私たち北大阪商工会議所の情報センターは、IT相談から開発、運用、保守まで内部で一貫して対応できるのが大きな特徴です。企業の課題を丁寧に整理するところから、導入後の運用まで見据えた継続的な支援を重視しています。」




【IT導入】“誰に、どんな価値を伝えるのか”を明確に
運用支援したツール:ホームページ総合サービス「Pokecan2」
米谷さん「セミナーでは、1日目に自社の強みやターゲットを整理し、“誰に向けて、どんな価値を伝えるのか”を明確にします。2日目はグループ発表とフィードバックを通じて内容を磨き上げ、3日目・4日目に北大阪商工会議所が提供するCMS*『Pokecan2』を使って、実際のホームページに落とし込んでいきます。」
中山さん「“誰に、何を伝えるのか”がはっきりしたことで、どのようなホームページをつくるべきかが見えてきました。」
米谷さん「旅行代理店の場合、最終的なターゲットが個人のお客様になるケースが多いため、とくに“見た目のわかりやすさ”を重視するようアドバイスしました。ホームページの制作は情報センター側で行い、導入後も更新しやすい仕組みで納品しています。」
中山さん「導入はコロナ禍の2022年2月でした。旅行業にとって本当に厳しい時期ではありましたが、そのぶん時間をかけてホームページ整備に取り組むことができました。」
米谷さん「2021年にセミナーへご参加いただき、その後、約1年かけて話し合いながら、中身をじっくり検討しましたね。見た目だけでなく、“何を伝えるか”を一つひとつ整理できたことで、納得感のあるホームページになったと思います。」
中山さん「普段は後回しになりがちな情報発信の重要性を改めて実感しました。セミナーには私が参加しましたが、実際の運用は別のスタッフが担当しています。最初は社内に戸惑いがありましたが、わからないことがあればすぐに米谷さんやヘルプデスクに相談して、少しずつ定着させていきました。」
米谷さん「操作マニュアルの提供や納品時のレクチャーに加え、運用中の不明点についても月額費用内でサポートしています。ヘルプデスクは4名体制で、制作から操作面まで、可能な限り対面でお話を伺いながら、現場に寄り添った支援を行うことを大切にしています。」
中山さん「何度聞いても丁寧に対応してもらえるサポート体制が本当に心強かったです。」
*CMS:「Content Management System(コンテンツ管理システム)」。Webサイトのテキストや画像などのコンテンツを、プログラミングの専門知識なしで作成・管理・公開できるシステムのこと。
【成果】国内外から問い合わせが増加し、事務作業も効率化
中山さん「ホームページをリニューアルしてから、これまでになかった地域からのお問い合わせが明らかに増えました。国内だけでなく、海外の方からの問い合わせも入るようになり、電話申し込みでも『ホームページを見て連絡しました』というケースが確実に増えています。こちらが伝えたかった内容や意図が、お客様にきちんと届いていると感じています。」
米谷さん「アクセス解析ツールも設置しましたが、アクセス数はいかがですか?」
中山さん「順調です。やはり数字で確認できると説得力がありますし、社内でIT活用を進めやすくなりました。現在は、季節やテーマに合わせた募集型ツアーもホームページで告知するようになり、海外のエージェントから『このような内容で日本旅行のツアーを組めないか』といった具体的な相談をいただくことも増えてきました。」
米谷さん「目に見える成果が出てきていますね。」
中山さん「もう一つ大きな変化は、事務作業の軽減です。以前は、お客様から電話で『この資料を送ってほしい』と依頼があるたびに、コピーを取り、ファクスで送っていましたが、資料をホームページからダウンロードできるようにしました。今では『ホームページのこちらをご覧ください』と案内するだけで済むので、事務作業の手間が大幅に減りました。」
米谷さん「業務の効率化につながっていますね。」
中山さん「そうですね。この業界はまだアナログな部分が多く、紙の書類も少なくありませんが、当社では最近、生成AIにも関心を持つようになりました。書類作成や報告書作成はもちろん、行き先の提案やツアー日程の作成などにも活用できそうだと感じています。」
米谷さん「当センターでは、生成AIをテーマにしたセミナーも実施しています。情報の更新スピードが非常に速い分野ですので、できるだけ最新の情報を反映した内容になるよう工夫しています。今後もマーケティングや業務効率化の面で事業者の皆さんの負担を減らし、成果につながる支援を続けていきたいと考えています。」
中山さん「ホームページと同様に、新しいツールも上手に取り入れながら、業務の質を高めていければと思います。ITが苦手だった私自身が、意識を変えるきっかけになったことも、今回の成果のひとつかもしれませんね。」
【サポートノウハウ】導入後も現場で無理なく使い続けられるように
米谷さん「IT導入は、単なるツール選定ではなく、企業の成長を支えるための手段です。特定のツールを前提にするのではなく、まずは相談者の悩みや課題を丁寧に伺い、社内体制や業務フロー、担当者のITリテラシー、運用に割ける時間などを踏まえたうえで、本当に必要なツールや仕組みを見極めることが重要です。とくに導入後も現場で無理なく使い続けられるかどうかは大きなポイントで、操作の難易度が高いなど担当者の負担が大きいと、どれほど優れたツールでも業務には定着しません。そのような視点を大切にしながら、サポートを行うことを心がけています。」
【事業者の声】「最初の一歩」を越えたら、世界が広がりました
中山さん「正直なところ、最初は『難しそう』と気が重かったのですが、やってみると思っていたより簡単で、『この程度でできるんやな』というのが率直な感想です。米谷さんをはじめ、情報センターの皆さんのサポートは本当に心強いものでした。今後はホームページとインスタグラムやXなどのSNSを連携させ、情報発信をさらに強化していく予定です。添乗業務の合間に撮影した各地の写真や、季節ごとの風景なども活かしながら、日々の業務と情報発信を結びつけ、少しずつ集客につなげていきたいと考えています。」

北大阪商工会議所
HP:https://www.kocci.or.jp/