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IT導入補助金を活用した勤怠管理システムの導入で、事務負担を軽減 
作業時間を短縮し、生まれた余力をケアの現場へ

  • 2025年11月26日
  • 有限会社ケアつかさ(介護)×佐伯市番匠商工会
  • その他
  • 勤怠管理
  • 九州
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大分県佐伯市で介護施設を3施設運営し、地域になくてはならない存在として信頼を集める有限会社ケアつかさ。商工会の筆頭理事も務める橋迫智之取締役社長(施設長)から、「手書きによる勤怠管理が早瀬昇専務取締役(事務長)の大きな負担になっている」と相談を受けた佐伯市番匠商工会経営指導員の平川淳一郎さんは、スピーディに専門家派遣を実施し、最適な勤怠管理システムの導入を実現しました。現場の課題をどう乗り越えたのか、その舞台裏を有限会社ケアつかさの橋迫施設長、早瀬事務長、平川経営指導員に語っていただきました。

【経営課題】事務負担を軽減し、人の力をもっと現場で生かしたい

橋迫さん「会社設立は2004年9月です。当社は現在、介護施設を3施設運営しており、入居者の定員は合計で75名です。職員数はパート20名、外国人技能実習生7名を含む計70名で、平均年齢は58歳とやや高めの構成です。」

平川さん「橋迫施設長は商工会の筆頭理事を務めていらっしゃることもあり、以前からよくお話をさせていただいていました。今回の支援のきっかけは、同社の早瀬事務長の事務負担が非常に重かったことです。その様子を見かねた橋迫施設長から、『何か良い策はないか』『勤怠システムの導入のほかに、AIを用いた勤務シフトの作成も検討している』『記録業務は機械に任せて、人の力を別の仕事に活かしたい』といったご相談をいただいたことが始まりでした。」

橋迫さん「もともと勤怠管理は手書きで管理しており、職員によって資格や夜勤、土日出勤などの手当が異なるため、特に早瀬事務長の事務負担がかなり重くなっていました。勤怠システムを導入することで早瀬事務長の負担を軽減することはもとより、介護職員の事務作業も減らし、現場に携わる時間をより捻出したいと考えていました。」

平川さん「そこで、佐伯市番匠商工会の専門家派遣制度を活用し、勤怠管理の専門家とIT分野の専門家を派遣することをご提案しました。」

【IT導入】スピーディな専門家派遣により経営課題を適切に解決
運用支援したツール:勤怠管理システム『クロノスPerformance』

平川さん「最初に、勤怠管理に詳しい専門家に来てもらい、抱えていた課題を一つひとつ整理していきました。続いて、ITに強い経営コンサルタントを派遣し、デジタル化の進め方を一緒に考えてくれました。検討を重ねる中で、AIによる勤務シフト作成は今のシステムを改良する程度では難しいと分かり、思い切って新しい勤怠管理システムを導入する方針となりました。」

橋迫さん「面談では、勤怠管理システムを導入するなら、IT導入補助金を使うと負担が軽くなるとアドバイスをいただきました。」

平川さん「専門家からは、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の『クロノスPerformance』が現場に合うのではないか、と具体的な提案をいただきました。橋迫施設長がすぐに同社へ連絡を取り、話を進めた結果、導入が正式に決まりました。補助金の申請も富士フイルムさんが丁寧にサポートしていただき、とてもスムーズに手続きが進みました。」

早瀬さん「システム導入にかかる具体的な手続きや運用サポートは、大分県内のIT企業が担当してくれました。丁寧にご対応いただいたので、特別困ることはなかったですね。部署ごとの就業パターン約50種類の情報をExcelで作成して、前もって先方にお送りしたんです。すると、それをシステムに反映して設定してくださって。あらかじめ整理しておいたおかげで、導入がスムーズに進んだと思います。あとは実際に運用しながら、『この部分はこうしたほうがいいかもしれない』といった相談を重ね、微調整をしていきました。」

橋迫さん「勤怠管理システムは今年の4月から導入し、この10月で半年が経過しました。最初は戸惑うところもありましたが、皆きちんと取り組んでくれました。」

早瀬さん「導入初期の数ヶ月は入力を忘れるスタッフが多かったですね。『自分が入力したかどうか分からない』という声もあり、確認しながら1件ずつ再入力する手間はありました。でも、『手書きしなくていいから楽になった』という声も多く、慣れるにつれて大きな問題なく運用できています。」

【成果】事務作業が軽減され、他の業務に時間を使えるように

橋迫さん「早瀬事務長の事務負担が軽減されたことが、やはり一番のメリットですね。『クロノスPerformance』の導入以外にも、介護記録をタブレットで記入するようにしたところ、当初は職員から戸惑いの声もありましたが、慣れてくると記入時間が減り、定時退勤できるようになったと喜んでいます。」

早瀬さん「70名分の勤怠を手書きで管理していた頃は本当に大変でした。システム管理になってからは事務作業がぐっと楽になり、他業務に時間を使えるようになりました。」

橋迫さん「介護業界は人手不足が深刻ですから、ITの導入は避けて通れません。今回の取り組みは平川さんの支援がなければ実現しなかったと思います。」

平川さん「地域にとって介護事業は大切ですので、少しでもお力になれたならうれしいです。橋迫施設長が課題をしっかり認識し、早瀬事務長が必要な資料を迅速にまとめてくださったことが、スムーズに導入を進められた要因だと思います。」

橋迫さん「今後の課題は、勤怠管理システムと給与計算ソフトの連携です。現在、使用している会計ソフトと『クロノスPerformance』とのデータ連携がうまくいかない部分があるので、改善していきたいと考えています。」

平川さん「勤怠管理と給与計算が連動すれば、事務作業の効率化はさらに進むはずです。今後も引き続きサポートしてまいります。」

【サポートノウハウ】IT導入支援で“人手不足”がもたらす経営課題を解決する

平川さん「これからの時代、とくに地方では過疎化や少子高齢化により、働き手の不足がますます顕著になっていきます。IT導入は間違いなく必要になってきますので、地域の事業者様と信頼関係を築きながら、IT化の重要性をしっかりお伝えしていくことが、私たちの使命だと感じています。今回の専門家派遣によるシステム導入支援で得たノウハウを活かし、今後も前向きに地域のIT化支援に取り組んでまいります。」

【事業者の声】IT化を進め、人の力を現場で活かす

橋迫さん「IT導入によって、事務長の業務負担を大幅に軽減でき、他の業務に時間を充てられるようになったことは大きな成果です。どの介護施設でも人手不足は深刻な経営課題ですから、人の力で行うべきことと機械に任せることをきちんと分け、効率的にIT化を進めていくことが大切だと思います。省ける業務は省き、その分をケアの現場に充てることで、入居者様にとってもより良い環境が生まれます。そのためにも補助金を上手に活用し、専門家のサポートを受けながら、職場環境の改善を進めていくことをおすすめします。」

有限会社ケアつかさ
HP:https://www.caretsukasa.jp/

所在地:大分県佐伯市直川大字横川508番地
代表:曽宮美紀

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