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特集

ブロックチェーンを使うと全てが明らかに。 〜 デジタル学習はじめの一歩 4

  • 2023年2月24日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 高見康一
  • はじめてのIT
  • ブロックチェーン
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ビットコインという言葉、一時期世間を賑わせていたので多くの方がご存知だと思います。そのビットコインを支えている技術が「ブロックチェーン」です。最近はネガティブな報道が多いので、もしかしたら「ブロックチェーン」にもネガティブなイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし本来「ブロックチェーン」は公明正大を目指して開発されたものです。
今回は「ブロックチェーン」の概要と基本的な仕組みをお伝えしていこうと思います。

「ブロックチェーン」には「サトシ・ナカモト」の夢が詰まっています。

ブロックチェーン技術は「サトシ・ナカモト」によって産み出されました。なぜ産み出されたのか。ビットコインを作り出すためです。ビットコインは簡単に言うと「第三者を挟まず当人同士で取引できる電子キャッシュシステム」です。銀行などの金融機関や政府などの承認や保証がなくても、安全に確実に取引できる通貨です。一時期投機の対象になってしまったので怪しいイメージがついているかもしれませんが、本来の姿は異なります。

利用者にとっての一番のメリットは「送金手数料」です。金融機関を通した一般的な送金は、金融機関間の承認や保証のための手数料が利用者の負担になります。一方で、ビットコイン送金はそのような第三者が不要の為、理論上、送金手数料が安くなります。

「サトシ・ナカモト」は個人間で気軽に送金し合える通貨の発行を目指し、それを支える技術としてブロックチェーンを生み出しました。

「透明さ」が価値となる分野に活用されています。

通貨発行のために産み出されたブロックチェーンですが、その特性を活かして、今では他の分野でも活用されています。

例えば食品業界。昨今、食の安全性が重要視されています。産地偽装のニュースも後を絶ちません。その安全性や透明性を担保するために、ブロックチェーン技術を用いる取り組みが現在進行しています。ブロックチェーン技術を用いて記録した情報は「すべて公開される」「改ざんがほぼできない」という特徴を持ちます。食材が消費者に届くまでにどのような行程を経てきたかという情報を、公の場に改ざんできない形で格納し、消費者に安心を提供しようという取り組みが、まだ大企業中心ですが、進められています。このように、ブロックチェーンは物品の流通情報の記録には適性がありそうです。

もちろん決済や契約情報の記録にも有用です。エストニアという欧州の国では、政府が主導し、ありとあらゆる取引データをブロックチェーンで記録するという取り組みをしています。選挙情報に活用しようという動きもあるそうです。

記録を分散。検証も分散。皆で信頼性を担保する仕組みです。

では、ブロックチェーンはどのような仕組みで「透明さ」を実現しているのでしょうか。ベースにあるのは情報を「ブロック」にして「分散保持」するという仕組みです。その上に様々な仕組みを盛り込んでいるのですが、ここでは主要な4つの仕組み「P2Pネットワーク」「暗号化」「偽造防止」「コンセンサスアルゴリズム」を紹介します。

まず「P2Pネットワーク」とは、簡単にいうとPC同士が直接通信を行う仕組みです。これにより「動き続ける・システムダウンしない」仕組みを実現しています。「暗号化」は「ハッシュ」という技術を用いています。これにより「データ改ざんがほぼできない」仕組みを実現しています。「偽造防止」には「電子署名」という技術を用いています。「コンセンサスアルゴリズム」というのは簡単にいうと「取引の検証」です。これには様々な技術が用いられますが、例えばビットコインでは、採掘(マイニング)という方法を使う技術を用いています。

人は「管理者がいない世界」を願っているのでしょうか。

ブロックチェーンは「透明さ」を実現する技術です。なぜなら「すべて公開される」「改ざんがほぼできない」からです。また、これらは「第三者・管理者なし」に「仕組みだけ」で実現されます。この「第三者・管理者なし」という特徴は「透明さ」をさらに強化します。

一般的な方法で管理されているデータは、データに管理者の意図を反映することが理論上可能です。データを都合の良いように改ざんしたり、都合の悪い部分は非公開にしたり、決済などの処理を止めたりできます。ポリシーという制約を課して行動を制限していますが、やろうと思えばできてしまいます。一方で、ブロックチェーンで記録したデータには、そのような事はできません。

いま「第三者・管理者」への信頼が揺らいでいるからでしょうか。ビットコインやWeb3.0という「第三者・管理者なし」のサービス普及に期待が寄せられています。似たようなサービスであるマッチングサービスは既に大いに普及していますね。私もそれらに期待していますし活用しています。

ただ同じくらい「不安」もあります。なぜならすべてが「自己責任」になるからです。ビットコインではすでに「投機による大幅な相場変動」や「盗難」などの問題も起きています。

これらによる損害は全て「自己責任」になります。「第三者・管理者」の多くは、物事が進む過程で「必要性があって」登場したものではないでしょうか。時代は「波」で動きます。しばらくは「第三者・管理者なし」への期待が膨らむかもしれませんが、いつかは反動が起きると私は考えています。ただ、その先にきっと「サトシ・ナカモト」の夢が実現した世界が広がっているとも、思います。

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