AIの進化〜性能以外の使いやすさがどんどん向上しています
- 2024年12月11日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
- 生成AI
AIの研究は日々続けられており、AIの性能が競い合われています。それとともに、使いやすさの面でも多くの機能が改善され、より業務の中でスムーズにAIを活用できるようになってきました。
今回の記事では、ChatGPTとGemini、Copilotといったメジャーな生成AIの進化した機能をお伝えします。
ChatGPTなどのメジャーな生成AIも続々と進化している
前回の記事(https://ittools.smrj.go.jp/info/feature/rigle90000001204uev.php)では、図表作成やマインドマップ作成といった分野に特化した生成AIの紹介をしました。一方で、ChatGPTも引き続き進化を遂げています。GoogleのGemini、MicrosoftのCopilotを加えた三大生成AIの最近の状況を本記事ではお伝えします。
特にChatGPTでは、無料版でも音声の対応や、イラストの作成ができるようになりました。さらに有料版ではcanvas機能が追加されています。生成した文章をその場で修正や加筆ができるようになりましたし、部分的に再生成も可能です。
canvas機能 【ChatGPT】〜生成だけではなく編集も!
canvas機能は、これまでの生成AIと異なり、生成した一部分を指定して深堀したり、自分で追記したりできるようになりました。そのため、この機能の中で記事を完成させていくことも可能になりました。チャットボットであった生成AIがエディターに進化した印象を受けます。試しに記事を書いてみます。
ここでは3つのことを実施してみました。
1.自分で追記できる
生成された文章は、canvas上で追記、変更が可能です。まさにエディターになっています。
2.部分的に選択して追加で質問
特定の部分を選択して、その範囲について追加で質問をして、深堀していくことができます。
3.チャット機能を使って、追加で指示ができる
左側のチャット機能で文章に対して指示ができます。最初に出力された文章には小見出しが入ってなかったので、「小見出しを入れて」と、お願いすると、段落ごとに小見出しを追加することができました。
このように、一旦生成して、別エディターで編集作業をしていたものが、同じ画面でそのまま編集できるようになり、記事の素案を完成させるまではChatGPT内で完結させることが可能になってきました。
ただし、素案と書いたように、実際に記事を作成する上では図表をいれたり、イラストを追加したりもする可能性があります。そうすると、通常のワープロソフトを使うシーンもまだ必要になりそうです。
検索機能が登場 【ChatGPT】〜Googleに取って代わる!?
検索に特化したAI(Perplexity)を前回記事では紹介しましたが、ChatGPTでも検索機能が追加されました。(2024/11月時点では有料版のみ)
プロンプトを入力する画面に「検索する」のボタンが表示されており、クリックして、「中小機構の提供するデジタル化施策について教えて下さい」と検索してみました。
そうすると以下のように出力され、まず右側に、出典元が表示されています。中小機構の施策の元のページが表示されているわけです。また、小さい表記になっていますが、各生成文章には脚注がついています。脚注をクリックすると、生成された内容の元ページが表示されます。
なお、検索機能を使わず、通常の生成AIで同じ質問をすると、出力内容が変わりました。ChatGPTでは、通常は事前に学習された内容しか答えることができません。記事執筆時点では、2023年12月までの学習データで生成されているため、最新の施策などは提示されていません。(なおモデルによって学習期間は異なります。)
このように調べ物においては、検索と生成AIが融合した形式が使いやすく、今後の標準スタイルになっていくのではないかと考えます。今までの生成AIの出力だけでは、正確性を確認できず、改めて出典を調べる必要がありました。今後は、出典も含めて提示される「検索+生成AI」への期待が高まるでしょう。
イラスト修正機能 【ChatGPT】〜部分的に修正できる
無料版でもイラストが生成できるようになりました(1日あたりの制限あり)。
簡単な指示でイラストを描いてくれるのはありがたいのですが、微調整が大変でした。イラストを描いた後に、「髪の毛の色を変更して」とお願いすると、髪だけでなく、キャラクターの顔や、背景も含めて変更されてしまいます。
しかし、部分的に範囲を指定して変更をお願いすることで、髪の毛の色だけの変更ができるようになりました。このようなちょっとした機能が増えていくと、生成AIの使い勝手は上がります。
プレゼン資料の作成 【Copilot】〜事業計画書を作成
ChatGPTでもプレゼン資料の作成をお願いすると、目次案を考えて、パワーポイントファイルを作ってくれますが、デザインやフォントなどがシンプルなままで少し物足りなく感じます。
一方で、Copilotは、MicrosoftのAIだけあって、パワーポイントのソフトの中でAIを動かすことができ、デザインも含めて生成してくれます。
試しに、焼鳥屋さんの事業計画書の作成をお願いしました。焼き鳥をイメージした表紙を含めて、事業計画書が26ページ作成されました。目次案としても必要な項目が大まか含まれています。
事業計画書に何を書いて良いかわからない場合、ここまで作成してくれるのは素晴らしいのではないでしょうか。一方で、やはり自分が作りたい順番や内容がある場合には、この後の作業がやりにくいな、と感じました。
Gmailを検索、要約 【Gemini】〜メールの要約、集計が可能に
1.メールの要約
GoogleのWorkspace内のGmailでは、Gemini Advancedを同一画面で呼び出すことができます。到着したメールを要約して、とお願いすると要約してくれました。メールの本文をコピーして生成AIに貼り付ける作業がないため、随分スムーズに利用できるようになりました。
だた、個人的にはメールの要約をお願いする機会はそれほどないと思う一方で、複数回のやり取りを重ねたメールをまとめて要約できる機能であれば、利用機会も増加すると考えます。
2.メールの内容を集計
2024年にメールで受信したAPPLEからの領収書の件数と金額を数えてもらいました。件数は正解していますし、金額の中身も正確です。ただし、日付を1件間違えていました。
概要を知るにはこれでいいかもしれませんが、やはり数字に関するところが間違っていると、日常的には利用しづらいと感じます。
まとめ
既存の生成AIも日々変わっていき、続々と新しい機能が追加されています。有料機能でしか体験できないものも多いですが、積極的に新しいものに触れていくことが大事になるでしょう。
一方で、有料版を活用するとなると、それなりのコストが発生します。今回紹介したアプリはどれも月20ドル程度です。複数使いこなすには、少し高いと感じてしまいます。
利用する我々も、無料試用の中で検証を行い、果たして自分の業務にとってコスパが合うのかを確認してから、導入を決定していくことが必要です。