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特集

いろいろな分野に特化した生成AIが増えています〜業務に応じてAIを使い分ける

  • 2024年12月4日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • 生成AI

イラスト生成AIは、以前より精度が上がり注目されています。初期の頃は、指示の出し方や英語での指示など、活用していくにはハードルがありました。

2023年10月からは、ChatGPTと生成イラストAIとの連携が実現し、簡単な指示だけでイラストの生成ができるようになりました。今回は、このイラスト生成AIを紹介します。

ChatGPTも進化しているが、さまざまな生成AIも登場している

ChatGPTは引き続き進化を遂げています。無料版でも音声の対応や、イラストの作成ができるようになりました。さらに有料版ではcanvas機能が追加されています。生成した文章をその場で修正や加筆ができるようになりましたし、部分的に再生成をお願いすることもできるようになりました。

今まではChatGPTで生成して、その内容をコピーした上で別のエディタで修正していたわけですが、同一アプリ内で作業ができるというのは便利なものです。

このようにChatGPTも進化をしていますが、それ以外にも特化型の生成AIアプリがたくさん登場しています。今回は筆者が実際に使用しているAIをいくつか紹介します。

検索に特化したAI 〜Perplexity

ただ、徐々に使いやすい生成AIも登場しています。私はプレゼン資料を作成するのにCanvaを使っていますが、プレゼン資料内にイラストを追加したいなと思ったら、Canva内のイラスト生成AIを活用しています。

以下の図では、セミナー資料にイラストを入れてみました。

「オフィスで人間と会話するロボットのイラスト」をお願いした例です。

この検索AIの役立つポイントを4つ挙げます。

1.出典を表示

生成結果の前に、ソースとして出典が表示されます。どういった他サイトを参考にして文章を生成したのかが事前に把握することができます。

2.脚注で出典を表示

さらに、文章内にも脚注がついています。脚注をクリックすると、この文章部分はどこのサイトを参考にしたのかが把握できます。この場合は、経済産業省の価格交渉に関する調査結果が出典になっていました。

3.図表検索も一緒に

関連する図表を一緒に表示してくれます。他にも、観光地について質問した際には、地図も一緒に表示してくれました。

4.関連検索を提案

他にもこんなことを調べたらどうですか?と提案してくれます。今回の内容であれば、価格転嫁について、「転嫁率が高い業界は?」「価格転嫁が進展している企業の特徴は?」といった、追加で調べてみたい内容が提示されています。

検索AIを活用することで、調査業務はかなり効率化できるのではないでしょうか。

図表作成に特化したAI ~Napkin AI

図表を作成すると言っても色んなタイプがありますが、今回は、文章から図表を生成してくれるNapkin AI(https://app.napkin.ai/)を紹介します。

こちらにも①と同様に「価格転嫁」について聞いてみました。価格転嫁に関する文章が生成されたところまでは通常の生成AIと変わりません。ただ、②文章の一部と選択して図表化をお願いすると、③おすすめの図表候補が出てきます。

最終的に、④図表を選択すると、選択した文章をもとにした図表が生成されました。価格転嫁についてまとめられた1つの図表が仕上がりました。

また、数値データからのグラフも作成してくれます。「スマートフォンの市場シェアを円グラフにしてください」とお願いすると、以下の図表となりました。(※シェアの数値は調査によってばらつきがあったため、検証が必要と思われます。以下に掲載した図表のシェア数値については未検証です。)

ChatGPTでも同じような指示をすれば図表は描いてくれますが、デザイン面では、Napkin AIの方が優れています。一方で、数値関連の図表は作成後に、色々と表示を調整したいこともあり、その場合は表計算ソフトで作ってもよいのではないか、とも感じました。

マインドマップ作成に特化したAI 〜Mapify

今回、紹介するアプリの中で、特に支援機関のみなさまにおすすめしたいのは、マインドマップが作れる、Mapify(https://mapify.so/)です。筆者は普段からセミナーの目次案を考える時や、色々とアイデア出しをしたい時などにマインドマップツールを活用していました。そこにAIも入ってくるということが画期的でした。

「価格転嫁を実現するためのポイントを整理して」と聞きました。そうすると、「市場調査の重要性」「コスト構造の見直し」「顧客へのコミュニケーション」「価格戦略の策定」「効果測定と調整」といった項目が提示されて、それぞれのポイントが配下に表示されています。

これで終わりではなく、もっと具体的にしてほしい部分を選択してAIにお願いするとさらに具体的に提言してくれます。
また、ツリー内に自分で項目を追記していくことも可能です。

実際にこのツールを使ってみると、会議において皆で集まってホワイトボードに意見を出しながら相談しているような感覚になります。つまりアイデア出しを体系的に行っていくには最適なツールではないかと感じています。

他にも、動画のURLを伝えると、動画の内容を分解してポイントを抜き出してくれます。例として、ここからアプリの経営支援力アップミニ講座「セキュリティ診断の重要性」について分解してもらいました。動画を見なくても動画概要が詳細に把握でき、動画内容の把握に役立ちます。実際に動画を見ながら、このツリーに自分のメモを追記していくとさらに理解が深まるのではないでしょうか。

ホームページ等の作成に特化したAI 〜Gamma

これまでも、AIを搭載してホームページが作成できるサービスは多数ありました。ある程度の質問に答えるとホームページを自動生成してくれるものです。ただ、実際にはイメージを作ってくれるだけで、中身までは作ってくれないサービスが多かった印象です。

そんな中、登場したのがGamma(https://gamma.app/)です。試しに「セミナーの申込サイトを作って」と依頼しました。すると、ホームページの項目が提示され、その内容に従って、写真やデザインも提示されました。

一部分ですが作成されたホームページを以下に示します。作成された後、文字や写真を自分で入れ替えていくことができますので、スムーズにホームページを作成することができました。イベントを開催するときに一枚ランディングページを作りたい時などに向いているサービスだと言えるでしょう。インターネット上への公開は、ボタン一つで完了しました。

課題はコスパ!?

このようにさまざまな分野で使えるAIが登場しています。今回紹介したサービスはどれも無料でできるのですが、回数制限などもあり、本格的に活用するには有料化を求められることになります。

無料で使えているうちは「すごい!」と実感できたとしても、有料になるとコストが掛かり、コストパフォーマンスが良くないと感じることになるかもしれません。また、複数のAIを使うとなれば、その分コストも上昇します。

Gartner社の2024年のリポートによると、2025年末までに生成AIプロジェクトの30%がPoC(概念実証)以降に中止されるだろうと発表しました。これは、データ品質の低さや、ビジネス価値の不明確さなども原因とされていますが、「コストの増大」も大きな要因となっています。

利用する我々としても、果たしてコスパが合うのか、検証してから導入を決定していく必要がありそうです。

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