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特集

電子帳簿保存法の対応とあわせて経費精算システムを検討してみませんか

  • 2022年9月6日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 坂本ゆみか
  • 経費精算
  • 電子帳簿保存法
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コロナ禍で在宅勤務やモバイルワークを導入した企業が増えた一方で、経費精算や経理業務のために出社せざるを得ない従業員や部署も多かったと聞きます。
紙書類が行き交う職場では、業務フローの見直しやペーパーレス化の必要性を実感したという方もいたのではないでしょうか。
そこで今回の特集は、改正電子帳簿保存法の対応も見据えた経費精算システムについてご紹介します。

経費精算システムの主な機能と効果

経費精算システムとは、交通費の支払いや備品の立替購入など、さまざまな経費に係る申請・承認手続きを電子化し、精算業務の効率化を図るシステムです。具体的な効果として次のようなことが期待できます。

・申請作業を省力化

まず、申請者がパソコンやスマートフォンから申請できるようになるため、移動中の空き時間やテレワーク中でも作業可能です。書類作成や提出手続きのためにわざわざオフィスに出社したり外出先から帰社したりすることが不要になるため時間の有効活用に役立ちます。交通費の精算では、ICカードと連携して利用履歴を取り込むことができるため、入力作業の簡略化や入力ミスの防止ができます。電子帳簿保存法のスキャナ保存制度では、国税関係書類を電磁的記録に変換する入力装置としてスマートフォンやデジタルカメラ等も認められています。領収書やレシートを撮影した画像データが有効になるため、溜まりがちな領収書の整理に費やす手間も軽減できるでしょう(スキャナには一定水準以上の解像度およびカラー画像で読み取れることが条件です)。

・承認作業を効率化

申請者の情報入力精度が高まることで承認時のチェック負担軽減や不備による差戻しもシステム上でスムーズに行えます。電子帳簿保存法では国税関係書類の作成または受領後にタイムスタンプを付すことが定められていますが、自動付与される機能が搭載されている製品であればこの作業負担もなくなります。
また、OCRで読み取った領収書の日付や文字、数字から仕訳データを作成したり、銀行への振込データを出力し、EBサービスと連携することで指定口座への振込業務を完結できたりするため、経理業務の生産性向上も期待できます。

現在、主流となっているクラウド型の経費精算システムの多くは電子帳簿保存法に対応した機能を備えています。新たに導入する際やシステム更改予定がある場合には、申請・承認の運用フローを再度整備しながら検討してみましょう。

参考:どうすればいいの?「電子帳簿保存法」(出典:中小企業庁「ミラサポplus」)

経費精算システムの選定

製品選定に際しては、どのような経費精算手続きを短縮化・簡素化したいかを検討し、必要な機能を備えた製品を選ぶようにしましょう。
例えば、外出や移動が多い営業担当者の交通費精算を省力化したいときには、交通系ICカードとの連携や定期代区間の指定ができる機能を有する製品がおすすめです。小口現金処理が多い場合には、法人クレジットカードとの連携機能がある製品を導入することで現金の受け渡しを減らし、クレジットカードの利用履歴をシステムに取り込むことで精算処理を自動化することができます。
OCR機能も製品によっては、オプション対応となったり、読み取りの精度・スピードに差が生じたりします。無料のお試し期間などを利用して、運用がスムーズにできそうか事前の確認を行いましょう。

特に確認しておきたい点は、既存の会計システム(会計ソフト)との連携機能です。経費申請の内容から勘定科目や税区分が自動的に紐づけられる自動仕訳機能を備えている製品を選択することで会計システムへの入力作業が大幅に削減できます。連携の方法には、会計システムの形式に合わせたデータの出力を行い、そのデータを取り込む方法やAPI連携で同期させる方法などがあります。製品によって連携対応できる会計システムが異なるため、導入選定時に自社の環境と連携可能かを確認しておきましょう。一方、連携を前提に提供されている製品もあるため、ほかのバックオフィス業務と合わせてシリーズ化されている製品の導入を検討することも一つの選択肢です。

経費精算システムの料金体系

経費精算システムの料金体系について調べてみると、1ユーザーあたり月額数百円で利用でき製品が多く、利用人数に応じて変動する料金体系になっています。ただ、月額の最低利用金額や契約単位期間が定められているケースがありますので、自社の規模に合うような製品を探してみましょう。導入サポート体制の有無や初期設定やカスタマイズの相談ができるかも合わせて検討するとよいでしょう。

 

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