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特集

ポータルサイトを使い倒すデータ活用 美容サロン編

  • 2021年8月17日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援)  眞本崇之
  • データ分析

ネット集客にかかせないツールの1つであるポータルサイト。
たくさんの店舗が掲載されているため、利用者にとって探しやすいメリットがありますが、当然、ポータルサイト内で比較され、思ったより集客ができない店舗もあることでしょう。

この記事では、ポータルサイトに掲載している美容業(理美容室やエステサロン等)が、ポータルサイト内のデータを活用する視点を解説していきます。

美容業ではポータルサイト利用店が多い

美容業で有名なポータルサイトをいくつかピックアップしてみると、ホットペッパービューティー、BeautyPark、楽天ビューティー等のようなサイトが挙げられます。(以下、ポータルサイトと表記します)
美容室・理容室だけでなく、エステ、ネイル、痩身、脱毛のように掲載される店舗の種類も豊富になっていて、いずれのサイトも、サロン検索、口コミ、クーポン、ポイント付与のようなサービスも充実しています。

美容業では、独自のホームページを持たずに、圧倒的な知名度を持つポータルサイトに掲載された自店ページをホームページ代わりとしているお店も多くあります。
そして、圧倒的な集客力を持つポータルサイトからの新規集客の他に、掲載による信用力を得る、予約管理や顧客管理、シフト管理といった充実した機能を使う、といったこともポータルサイト活用の目的となっています。

ここからは、ポータルサイトにある集客データをどのように活用していけばいいか、その見方を説明していきます。

データ活用① 新規集客数を把握する

贔屓にしていただいている既存のお客様も、いつかは何らかの理由で離れていってしまいます。
そのため、ポータルサイトでは圧倒的な集客力を活かした新規集客を行うことが基本となります。
(もちろん、既存のお客様が使うこと自体はなんら問題ありません。)
必要な新規集客数はお店によって異なりますが、例えば、月◯人といった絶対数目標や、来店者数の◯%といった相対的な目標をもって把握してみましょう。

データ活用② リピート率、新規再来率を把握する

新規再来率とは、初めてご来店されたお客様が、2回目に継続して来店していただいた割合です。
美容業全体として、50%以上を目指すことがよいとされています。

サービス自体に不満がないのに再来されず、この新規再来率が低くなってしまうことがあります。
原因の1つには、ポータルサイトを利用しているお店で発行する割引クーポンが考えられます。
割引クーポンは、新規集客のために、新規利用客限定で格安な価格を提供していますが、クーポンハンター(安いクーポンを探して、お店を次から次へと渡り歩く人の総称)が多いのも事実です。
こうした割引クーポンの提供により、ポータルサイトに掲載している内容や本来狙いたいターゲットと相違してしまっている可能性があります。
つまり、新規再来率が低いお店は、ポータルサイト掲載の内容と、お店の意図とがずれており、狙っている客層が取れていない、ということです。

新規再来率やリピート率を上げるには、帰り際に次回予約を取ってしまうことが有効です。
人気店の傾向として、「帰り際に次回予約をしなければ予約が取れない。」という状態になっていて、「予約が埋まる⇒直前の予約が取れない⇒人気店になる⇒次回予約が増える」というような好循環が生み出されています。

データ活用③ PV数と予約率を把握する

美容業は、一般的に季節の繁閑の差がある業種です。
例えば、年の節目となる年末(12月)や年度末(3月)に忙しくなるお店が多くなります。
当然、繁忙期にはPV数(※ここではお店のページを見てくれる人の数とします)は増えますし、閑散期の月はPV数が減ります。
したがって、月別のPV数で一喜一憂する必要はなく、競合他店、同一プランとの比較をして、自店が見られているかどうかを把握することが必要になります。

予約率とは、ページを見てくれた人のうち、実際に予約に至った人の割合です。
既存のお客様の場合は、お店に行くことを決めてページに来るため、既存のお客様が多いお店の予約率は高くなる傾向にあります。
反面、どこのお店を選ぼうか迷っている最中であることが多い新規客が多いお店の場合は、予約率が低くなる傾向があります。

予約率が低いお店の場合は、メニューやクーポンの改善が必要なケースが多いです。
改善のポイントは、「専門用語」の多用や、わかりにくさをなくすことです。
多くのお店は、使用する薬剤(カラー剤やパーマ剤など)で料金の違いを出しています。
例えば、ハイグレードトリートメント、プレミアムトリートメントのようなランクをつけているメニュや、使用する薬剤をメニュー名にしているお店をよく見かけます。
この場合、一般のお客様にとっては、ハイグレードとプレミアムではなにがどう違うのか、使用する薬剤がどんなものなのか、自分が何を選んでいいか、がわかりません。
このように、お客様目線でわかりにくい内容になっていないか、確認してみてください。

このようにデータを活用することで、自社店舗の現在地がよくわかるようになります。
そして、データ1つ1つには意味があり、現在地がわかれば、改善の方向性も見えてくることになります。
ポータルサイトではデータが集められ、使用できるようになっていますので、積極的に活用してみましょう。

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