電子帳簿保存法への対応は「電子取引」からはじめる!!
- 2022年9月20日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 原田 将充
- 電子帳簿保存法
- 電子取引
電子取引への対応は、義務化が猶予されているだけ!!
各会社準備は必須です。
電子取引に係るデータの保存は義務であることに変わりはない
電子帳簿保存法については、(1)電子帳簿等保存(2)スキャナ保存(3)電子取引の大きく3つの区分で分かれています。
このうち、(1)電子帳簿等保存(2)スキャナ保存については任意で取り組むことができますが、(3)電子取引については全ての会社で対応が必須となっています。
当初、電子取引に係るデータ保存については、令和4年1月1日から制度が開始となる予定でしたが、令和6年1月1日からの適用に変更となりました。
国税庁では宥恕という表現を用いており、多くの事業者の方が制度の適用が見送りとなったと勘違いしておりますが、適用時期が先延ばしになっただけで、義務化が免除されたわけではございません。
電子取引とは何かを認識する
国税庁ホームページの電子帳簿保存法Q&A(一問一答)/電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問1では、電子取引を下記のように定義しています。
『取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)を電磁的方式により授受する取引』
わかりやすく言い換えると、「紙を介在しない取引」と言えるでしょう。
代表的な例としては、メールに添付しているPDFファイルや、ホームページからダウンロードした請求書、ホームページ上に表示される請求書のスクリーンショットが挙げられます。また、紙に出力されないFAX複合機の受信データも電子取引に該当します。
従来は、上記のような電子取引に関する資料でもプリントアウトして、証憑として保存しておくことが認められましたが、令和6年1月1日からはプリントアウトしての保存は認められなくなります。
対応策を検討する
電子取引の義務化への対応について、具体的な方法をご案内します。
大きく別けると2つの方法があります。
1つは、電子取引の保存要件を満たしたソフトウエアを活用する方法です。
ソフトウエアを活用する場合は、タイムスタンプの付与や履歴が残るシステムであることが要件となりますが、要件を満たしているソフトウエアには、公益社団法人日本⽂書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証マークが付されています。ソフトウエア選びの際に参考にするのも良いでしょう。
もう1つは、改ざん防止のための事務処理規程を整備し、かつ、「⽇付・⾦額・取引先」で検索できるように索引簿を作成し、ファイル名を一定の規則を持たせて、保存する方法です。
改ざん防止のための事務処理規程や索引簿については、国税庁のホームページからサンプルをダウンロードできます。
出典:制度の案内用パンフレット(国税庁ホームページ/【令和4年1月以降用】電子取引データの保存方法をご確認ください)より一部転載
まずは、ご自身の会社でどれくらい電子取引があるのかを認識し、大量にある場合はソフトウエアの利用を検討し、少量である場合はエクセルでの索引簿での管理を検討しましょう。
いずれにしましても、全ての事業者で対応が必要であることは忘れずに準備をしましょう。