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特集

クラウドの会計サービスを活用しよう——業務効率化を図るためには【中小企業のためのクラウドサービス/アプリ分野紹介 第1弾 会計分野】

  • 2019年8月9日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
  • アプリ分野紹介
 

 2018年の㈱MM総研の「業務ソフトウェアの利用動向調査」によると、中小企業における業務ソフトウェア利用率は、「財務・会計」が34%となっています。他の業務分野に比べるとシステム化が進んでいるとは言えますが、まだまだ、手書きやエクセルで計算・作成している小規模事業者も多数存在します。
 一方で、自社では会計を行わず、外部に委託している事業者もいるでしょう。会計の業務処理は手間がかかっていたため、外部に委託するのも選択肢の一つだったと思います。しかし、外部に全て丸投げで委託してしまうと、社内で会計数値の把握が遅れがちになります。今月の売上や費用等の数値を、2ヶ月後に見ているようでは、変化に柔軟に対応する経営を行うのは難しいでしょう。
 とはいえ会計数値を迅速に把握するために自社内で会計業務をやるのは大変でしたが、この数年で急速に会計サービスは進化しています。以下のように、ネットバンクや会計サービスが連動することで、会計業務を行うことは劇的に簡単になっています。

◯会計サービスを活用しよう

 2018年の㈱MM総研の「業務ソフトウェアの利用動向調査」によると、中小企業における業務ソフトウェア利用率は、「財務・会計」が34%となっています。他の業務分野に比べるとシステム化が進んでいるとは言えますが、まだまだ、手書きやエクセルで計算・作成している小規模事業者も多数存在します。
 一方で、自社では会計を行わず、外部に委託している事業者もいるでしょう。会計の業務処理は手間がかかっていたため、外部に委託するのも選択肢の一つだったと思います。しかし、外部に全て丸投げで委託してしまうと、社内で会計数値の把握が遅れがちになります。今月の売上や費用等の数値を、2ヶ月後に見ているようでは、変化に柔軟に対応する経営を行うのは難しいでしょう。
 とはいえ会計数値を迅速に把握するために自社内で会計業務をやるのは大変でしたが、この数年で急速に会計サービスは進化しています。以下のように、ネットバンクや会計サービスが連動することで、会計業務を行うことは劇的に簡単になっています。

具体的にどのように簡単になったのか、順に見ていきたいと思います。

◯会計サービスはAIで進化した

 銀行で記帳をしていませんか?銀行のATMで記帳をすると、銀行がデータで持っていた数字を紙にプリントアウトすることになります。そしてその紙の通帳を持ち帰って、社内で会計システムに登録しているとしたら、二重入力であり無駄な手間をかけていると言えるでしょう。
 今ではほとんどの会計サービスは銀行のネットバンクと連携可能です。会計サービスからネットバンクの数字を取りに行き、自動で日付や金額や取引先が登録されます。それだけでなく取引の内容から勘定科目も推測してくれます。以下の例では、ソフトバンクMとの取引ですから、勘定科目「通信費」、品目「電話代」と推測してくれています。ばっちり正解です。

AIで勘定科目推測精度は向上する

 とはいえ、AIは万能ではありません。勘定科目の推測のできない取引も多数あります。以下の例だと、APPEAR.INと表示されても、何の取引か推測できませんでした。しかしAIは教育できます。前月に私がAPPERAR.INは勘定科目「通信費」で、品目は「インターネット関連費」と登録しました。そうすると、翌月からは、教えたとおり推測してくれるわけです。
 なお、APPEAR.INは月額利用制のブラウザだけで利用できるTV会議システムのことです。

◯面倒な領収書類の管理も簡単に

 ネットバンクと連動する取引だけではなく、紙の領収書の取扱も簡単になってきています。領収書の写真を撮って登録すると、日付や金額を読み取って、勘定科目も推測されます。以下の写真では、タクシーの領収書を撮影すると、旅費交通費と推測されています。
 もちろん手書きの領収書や、しわくちゃになったレシートを正確に読み取れないことはあります。しかし、読み取って登録しておくことで、会計取引と領収書が紐付くので、あとで確認する際にも便利になります。ノートに領収書を勘定科目ごとに貼り付けるなど原始的な作業はこれでなくなっていくわけです。さらに写真を1枚ずつ撮影するのは手間なので、スキャナーを使えば複数枚を一度に取り込むことが可能になります。
 なお、帳簿書類については、紙に印刷したものを保存しておくことが原則で、スキャナーによる保存を行う場合は電子帳簿保存の申請が必要になり、会計サービスにも電子帳簿保存機能が必要になりますのでご留意ください。

領収書は写真を撮ることで勘定科目が推測される

◯請求書管理も連動できる

 日々の仕訳登録だけではなく、請求書の作成も会計サービスと連動していると、作業の効率化が図れます。請求書をエクセルなどのソフトで作成していないでしょうか?エクセルで請求書データを作ると、別途会計システムに売掛金登録が必要になります。せっかくエクセルでデータ化しているのに、これでは二重登録で、非効率です。会計サービスで請求書機能を活用すると、請求書を作成すると自動で売掛金が登録されて効率化が図れます。
 また、入金も先程の記帳の内容と同じですね。通帳で入金を確認して、会計で消込をするわけですが、連動していれば、AIが取引先や入金額を確認して、この請求情報とこの入金情報のことだと付き合わせてくれます。もちろんこれも複雑な入金の場合は人間の力が必要ですが、大抵の取引がほぼ自動で処理されていきます。

請求書の管理も会計サービスと連動すれば楽ちん

さらに、見積書、請求書、領収書の郵送機能を備えているものも増えています。自分でやるとエクセルと請求書を作って、プリントアウトして、捺印して、封入して、投函するわけですが、この作業が、郵送ボタン一つで完了してしまいます。料金は切手代+80円前後のものが多いです。

◯会計サービスを活用するメリットのまとめ

 以上のように、ネットバンクや請求書管理と連携することで、日々の会計の登録は劇的に効率化が図れます。ネットバンク以外にもキャッシュレスやレジの仕組みと連動することでさらに効率は高まります。
特に少人数の会社で、外出がちな経営者にとっては、スマホやノートパソコンを使って、社外で作業ができれば、わざわざ会社に戻らず効率的に働くことができます。
 会計サービスを利用することで、面倒な会計業務を効率的に行い、会計数値を自社で分析することで、より付加価値の高い作業にあてる時間を増やすことができるのではないでしょうか。