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特集

2024年版中小企業白書・小規模企業白書概要(案)が発表されました 〜デジタル化で取りあげられたこと

  • 2024年5月15日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • 中小企業白書
  • デジタル化
中小企業白書2024

2024年の中小企業白書・小規模企業白書 概要(案)が発表されています。
今年の白書は例年と異なり、18ものテーマで細分化されての発表です。

このうち、第2部のテーマは以下の3つとなっています。
【1】環境変化に対応する中小企業
【2】経営課題に立ち向かう小規模事業者
【3】中小企業・小規模事業者を支える支援機関

DXやデジタル化についてどのように取りあげられたかを中心に確認していきます。

(注)出典の記載のない図表は、全て「2024年版中小企業白書・小規模企業白書概要(案)」からの引用となります。

2024年の白書のテーマは?

2024年版中小企業白書・小規模企業白書概要(案)(以下、「概要(案)」と言います。)が発表されました。https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/soukai/038/dl/001-1.pdf

冒頭の総論の部分を確認します。

総論

気になった部分に著者が下線を引いてみました。上記の内容をまとめると、以下のようになります。赤字が、デジタル関連に影響を及ぼしそうなところです。

総論で述べられていたこと

(出典)中小企業白書概要(案)から著者まとめ

大きなテーマとしては、感染症が一段落した後の、変わりゆく環境変化に対応していくことが重要であるとしています。

中小企業にとっては、物価高騰、人手不足が大きな課題になっています。こうした課題を乗り越えるため、必要な価格転嫁を行い、雇用の維持のために持続的賃上げが求められています。それにとどまらず、しっかり投資して生産性を向上させようという流れになっています。

特に”省力化投資を通じた生産性向上”ということで、中小企業省力化投資補助金につながる内容になっています。さらにDXによる事業変革の必要性が説かれており、その変革を支援機関等が支えることが求められています。

細分化された18テーマ

概要(案)では、総論、中小企業の成長、小規模事業者の持続的発展、中小企業・小規模事業者に向けた支援という4つに分類された18のテーマが紹介されています。

18のテーマ

(出典)中小企業白書概要(案)から著者まとめ

この中で、特にデジタル化と関連しそうなテーマは、④の人手不足と、⑥の省力化投資になると考えます。テーマ④と⑥に関連するデータをいくつか見ていきます。

小規模企業ほど高齢化が進んでいる

今さら人手不足の深刻さを強調する必要もないですが、今後さらなる人手不足は確定的な状況にあります。その中でも、特に小規模企業ほど従業員の高齢化は進んでおり、今から対策をしないと、人手不足はさらに加速するでしょう。

雇用者数の割合

人手不足対策で何をするか?

では人手不足対策に事業者はどのように取り組んでいるかというと、正社員登用、パートの雇用、派遣労働者活用がトップ3です。新しくヒトを確保しようというのは当然ですが、新しく採用することが難しいのが大きな悩みです。

一方で、省力化投資に取り組んでいる事業者の割合は低くなっています。その中でも小規模事業者ほど省力化投資に取り組んでいないという結果になっています。

図1-人手不足対応の取組

省力化投資で効果はでるのか?

省力化投資をすればその分効率化でき、人手不足が緩和できることは間違いないでしょう。それだけではなく、省力化により売上高増加の効果も期待されます。

図2-省力化投資

これは因果関係が難しいところですが、売上が上がっているから省力化投資をする余裕があったとも言えるでしょう。一方で、省力化投資することが業績に良い影響をもたらしているとも言えます。いずれにせよ、中小企業も省力化に対する投資をすべき時期だと言えるでしょう。

生産性はどの程度上げる必要があるか?

では、省力化をしてどの程度生産性を上げる必要があるのでしょうか。以下の図表では、日本が欧米と同等の成長を実現するためには、これからの30年で3.5倍の生産性の向上が必要だとしています。失われた30年で、ほぼ横ばいだった生産性をこれほど高めていかないと、競争力を失ってしまうという危機感が現れています。

図1-就業者数の減少と国際競争に必要な生産性向上の試算

ソフトウェアにもっと投資しよう

生産性を高める投資が求められていますが、どうしても日本はソフトウェアよりハードウェアの投資割合が高いと言われます。以下の図表では、企業の投資のうちソフトウェアへの投資割合を示しています。直近で上昇しているものの、中小企業は大企業に比べてソフトウェアへの投資割合がかなり低くなっています。
IT導入補助金等を活用して、クラウドサービスなどのソフトウェア投資が求められていると言えます。

図4-ソフトウエア投資比率の推移

余談ですが、著者の会社ではソフトウェア投資比率は70%以上ありました。多くのクラウドサービスを契約しているためです。もちろん業種により最適なソフトウェア投資比率は変わってくると思いますが、今まで以上にソフトウェアに投資が求められていることは間違いありません。

支援機関の課題

最後に、デジタル支援に限った話ではありませんが、支援機関が事業者に対して支援を行う際の課題として、支援に携わる人員(支援者)と支援ノウハウの不足が挙げられています。この傾向は、デジタル化支援ではさらに高いと考えられます。

増員が困難なケースが多いのは支援機関も同じですから、支援機関の支援者がさらにノウハウを身につけ、ソフトウェア投資をする等してデジタル化を進めていくことが求められているのではないでしょうか。

図3-事業者に対して支援を行う際の課題(上位3つ)

まとめ

本記事では、2024年版中小企業白書・小規模企業白書概要(案)から、デジタル化に関する話題を確認しました。

2018年に打ち出された生産性革命、2021年の感染症に対応するための事業継続の視点では、デジタル化に関する内容に多くのページが割かれてきました。

2024年版では、デジタル化に関する情報は多くありません。すでにある程度のデジタル化は進み、もう次の段階(DX)へ進む時期であると言えます。

一方で、多くの小規模事業者や支援者のデジタル化が遅れているのは、以前ご紹介した「DX支援ガイダンスが経済産業省から発表されました〜支援者側がまずDXを実現しよう!」のとおりです。https://ittools.smrj.go.jp/info/feature/ldbn8o0000001cot.php

支援者の立場としては、自らのデジタル化を進めつつ、小規模事業者へのデジタル化伴走支援が引き続き求められています。