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特集

顧客リストをフル活用する!メール配信データ活用の手法

  • 2021年7月7日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 眞本崇之
  • 顧客リスト活用
  • メール配信データ活用
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見込み顧客・既存顧客との関係性強化に必要な販売促進ツールには、HP、ダイレクトメール、チラシ、メール、SNS、電話、など様々あります。
今回は、顧客リストを有効に活用する手段として、電子媒体による配信に焦点をあて、データ分析、データ活用方法をまとめてみます。







※当記事は、個別アプリに限定した表現ではなく、また、メールマガジン、各種SNSなども含め、幅広い取り組みでも流用できる内容としています。そこで、「メール」という表現に統一してお伝えします。

顧客リスト活用手法「メールマーケティング」

顧客リスト活用の目的の1つに、顧客の関係性強化が挙げられ、現代では、「メールマーケティング」と呼ばれる手法があります。

顧客リストに対して、紙媒体の販売促進(例えば、チラシを送る、手で配る、など)では、もちろん顧客・状況によって有効な手段ではありますが、コストや手間がかかります。1件84円で送る場合、1万件送るには84万円の費用がかかります。また郵送の場合、翌日や翌々日に届くといったタイムラグが発生します。自分たちで街頭配布やポストへ投函する場合には、それだけの労力がかかりますし、配布できる範囲は限定的です。

一方で、メール配信では、1件送るのも1万件送るのも、コストも手間もほとんど一緒です。
メール配信によって購買意欲を高めていき、最終的に個別対応で売り切るといったやり方ができるようになります。
そのため、1人1人を個別対応しきれないほどの顧客リストがある場合には、一括配信が有効になります。

メールマーケティングに必要なデータ

メール配信のやり方として、パソコンに標準搭載されているEメールソフトで配信(一括配信の場合にBCCで配信)するやり方があります。最も手軽で、使い慣れたやり方です。

しかし、Eメールソフトによる配信には、大きなデメリットがあります。
それは配信データが取れず、分析・活用ができないという点です。

配信データとは、メールが届いたか?読んでもらえたか?興味を持ってもらえたか?購入や問い合わせしてもらえたか?という記録のことです。
メールを送ったあと、「なんとなく問い合わせが増えた」、「注文が増えた気がする」、という状態では、効果測定ができているとは言えません。

問い合わせや注文が増えたのであればよいですが、効果が見られない場合が圧倒的に多いと思います。
・メールを見てもらえていないのかもしれない。
・メールは見てくれているが、内容に興味をもってもらえていないのかもしれない。
・そもそもメールが届いていないのかもしれない。(迷惑メールになってしまっているかもしれない)
・HPはたくさん見てもらうことができているが、HPがわかりにくいのかもしれない。

一般的なメールソフトでBCC一括送信するようなEメールでは、上記のように「・・・かもしれない」という状況となり、改善方法を正しく判断することができません。

データ活用のためのアプリ導入

改善を検討するにあたり、状況を把握するには以下のようなデータが必要になります。
・到達率・・・ちゃんと届いているのか?がわかる
・開封率・・・メールの中身を見てくれているのか?がわかる
・クリック率・・・URLリンクをクリックしたか?(興味や購入意欲があるか?)がわかる
・成約(コンバージョン)率・・・問い合わせや購入など目的を達成したか?がわかる

まずは、配信状況を把握する、データが取れるアプリの導入をご検討ください。
(1)SNS
(2)メルマガ配信スタンド(メルマガ配信システム、メルマガ配信サービスなど呼び名は様々)
(3)マーケティング・オートメーション(MA)
(4)顧客管理システム等に付属されているメール配信機能
※本記事では、個別アプリをおすすめする目的はありませんので、詳細は省略します。

メール配信に関連するデータの読み方

※配信アプリによって、取得できるデータ、計算方法が異なる場合があります。

・配信数
当該メールを送った数です。
100人に送るよりも10000人に送ると効果が増える可能性があります。しかし、まったく興味のない人にたくさん送っても意味がありません。商品やサービスに興味のある、見込みのある人達を多く集めることが、売上に直結する可能性を高めることになります。

・有効配信数
当該メールを送ったメールが正常に送られた人数のことを有効配信数と言います。

・配信成功率(=有効配信数 ÷ 配信数)
送信したメールのうち、メール送信が成功した割合です。
メールアドレス間違い、相手の受信ボックスがいっぱいなどの理由でメールが届かない場合に、配信成功率が下がります。

・到達率(=有効配信数 ÷ 配信した人数)
送信したメールのうち、相手の受信ボックスに届けられた割合です。
迷惑メールとして判断されフィルタリングやブロックされた場合に、到達率が下がります。

・開封率(=メールを開封した人数 ÷ 有効配信数)
相手の受信ボックスに届いたメールのうち、メールが開封された割合です。
一般的なメールマガジンの開封率は15〜25%と言われています。メールマガジンの読者の興味・関心が高い状態である場合には、開封率がさらに高くなります。反面、開封率が平均以下である場合には、興味・関心が低い顧客ばかりであるリストであることが考えられるため、顧客リストの集め方を見直す必要があります。

・クリック率(=メール内リンクをクリックした人数 ÷ 有効配信数)
相手の受信ボックスに届いたメールのうち、送信したメール内に記載したリンクをクリックした人の割合です。
一般的なクリック率は1〜3%程度と言われています。

・反応率(=メール内リンクをクリックした人数 ÷ メールを開封した人の人数)
メールを開封した人のうち、送信したメール内に記載したリンクをクリックした人の割合です。
興味を持たせる内容であったか、クリックさせる誘導ができているか、といったメール本文の質を評価するデータとなります。

データ活用の手順とポイント

定期的なメール配信を行い、配信をしたら必ず効果測定を行います。
効果測定で重視すべきことは、メール配信によりコンテンツに興味を持ってもらい、その後、商品購入などに繋がる行動を取ってもらえたかどうかです。

・開封率の改善
まず配信したメールを開封してもらえたかを確認することが重要となります。
開封率が低い場合は、メールタイトルを変更して興味付けさせることや、見込み顧客が目にしやすい曜日や時間帯に配信時間を変更することも、開封率の改善に効果があります。

・反応率(クリック率)の改善
続いて、反応率(クリック率)をチェックします。
反応率が低いということは、メールを開封しても、目的のページを見てもらっていなければ、誘導がうまくいっていない、ということです。
興味付けさせるか、魅力的な文章表現や特典をつける、といった対応が必要になります。

・見込み顧客のランク付け
見込み顧客のうち、誰を優先すべきかがわかれば、見込み顧客別に、優先的なアプローチする手段や方法(広告媒体等)を変えることもできます。
メール配信の反応を見ていくと、見込み顧客の目処をたてることができます。
配信したメールの購読率が高い人やクリック回数の多い人、サイトの滞在時間が長い人(※使用するアプリによっては、クリックされたページの滞在時間を把握できます)は、商品・サービスに興味を持っていることが明らかですから、顧客になる可能性が高くなります。

・個別アプローチの実施
このように見込み顧客にランクをつけることで、興味のある人に向けて、自社の商品やサービスを売るための直接的なアプローチを行います。

例えば、今すぐにでも買ってもらえそうな人には、商品サンプルを送るような個別アプローチをする
価格ページを見て離脱してしまった人には、体験版のご案内や特別キャンペーンのご案内を送る
Q&Aのページを見た人には、体験会・相談会やセミナーをご案内する
といったことが考えられます。

データを活用した積極的な情報発信を!

こうしたメール配信は、見込み顧客とコミュニケーションを活性化させるには有効な手段です。
そして、メール配信を上手に活用するには、データによる効果測定が必須となります。
まずは、メール配信データを使えるためのアプリの導入を進め、導入後は配信の効果測定とデータを見ながら配信する内容や取り組みの改善に努めていきましょう。

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