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特集

政府統計などのオープンデータを活用しよう 【データ分析④】

  • 2025年2月28日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー  村上知也
  • オープンデータ
  • データ分析
オープンデータを活用しよう

今回は既存のインターネット上にある統計データを見ていきます。

事業計画の作成などの際には、このような外部データの活用も求められます。それぞれのサイトでどのようなデータが見られるか確認してみましょう。

政府統計〜e-stat

政府は以前からオープンデータの推進に取り組んでおり、その一環として、さまざまなデータが無償で公開されているサイトが「e-Stat」です。
e-Stat 政府の統計総合窓口 
一昔前まで、行政が公開するデータの多くはPDF形式でした。PDFは閲覧しやすいものの、データの活用が困難でした。ところが、「e-Stat」の登場により、データはCSVなどの再利用可能な形式で提供されるようになりました。さらに、データベース形式やAPI経由での利用も可能です。

その結果、人口、産業、経済、教育など、多岐にわたる分野の統計データを検索し、活用できるようになっています。

例えばキーワード検索で「ラーメン」と検索してみます。

統計でみる日本

すると、ラーメンに関するデータが一覧で出力されます。実際はいろいろなデータが表示されるのでどれが自分にとって必要なデータなのかは確認していく必要があります。

今回は「消費者物価統計調査」を確認してみます。

データセットをラーメンで検索

DB(データベース)で表示してみると、以下のように、年ごとに市町村単位の中華そば(外食)のデータが表示されました。年ごと、地域ごとにラーメンの平均価格が変動しているのが確認できました。

統計データの表示

生成AIを使ってグラフを作ってみる

グラフ表示も可能ですが、データが大量にあるため認識が難しいグラフになってしまいます。そんな時は、CSVでダウンロードして、自身でエクセルのグラフを作るのも一手です。今回は2022年の「中華そば(外食)調査品目の月別価格及び年平均価格 - 都道府県庁所在市及び人口15万以上の市」をダウンロードしました。

そして、せっかくなので生成AIを利用してグラフを作ってみました。ChatGPTに以下のように依頼をしました。

「市区町村ごとのラーメンの価格データがあります。地図に色でプロットするPythonコードを書いてください。価格の高い地域は赤色、安い地域は青色でお願いします。」

コードはGoogle Colaboratoryに貼り付けて実行ボタンを押しただけです。
 

ラーメンの単価の地方分布

このデータから分かることの1つとして、関東圏の方がラーメンの単価は安いという結果でした。推測ですが、フランチャイズなど単価の安い中華料理屋・ラーメン屋が関東に多いからではないかと考えます。

ぜひ一度、気になるデータを政府統計で探して分析してみてください。

商圏分析  ~ j-StatMap

続いて、政府統計の一つである商圏分析ツール「j-StatMap」について見ていきます。

jSTAT MAP

最初にお伝えしておくと、「j-StatMap」には、皆さんが想像するような細かなデータは含まれていません。例えば、「このエリアで年収500万円以上の人が多い地域を表示してください」といった分析はできません。ただし、市販の有料サービスであれば、そのような詳細なデータを取得することが可能です。

有料の商圏分析ツールを使って支援している事例記事を以下に記載します。
◇【インタビュー】商圏分析ツールを使ってエリアマーケティングを支援~横須賀商工会議所の取り組み

 それでは、j-StatMapでは何ができるのでしょうか?以下の流れで確認します。

①自社の顧客ターゲットを考える
 例えば顧客ターゲットを50歳前後のお客様と想定します。

②自社の顧客データを確認する
 自社の顧客データを整理し、年齢や過去の売上を一覧表にします。

③既存の顧客情報を地図に表示してみる
 一覧表にしたデータを読み込んで地図に表示します。

地図上に顧客住所を展開

④既存顧客の商圏を表示してみる(本社からの距離)
 自社の所在地から顧客データの商圏を設定して円で囲ってみました。
 

地図上に顧客住所を展開

⑤国勢調査の商圏の人口動態を表示してみる
 このエリアで自社の顧客ターゲットの人口動態を併せて表示しています。
 今回は、「45〜49歳の男性」のデータを表示してみました。

地図上に顧客住所を展開

このように、自社顧客の位置と、その地域におけるターゲット層の多い場所が、色分けによって可視化されるようになりました。

例えばこの例では、江戸川区、江東区、新宿区のエリアを重点的に開拓先として検討するのが良いと判断ができます。

このように、自社の顧客データと国勢調査データを地図上で同時に閲覧することで、新たな発見があるのではないでしょうか?

まとめ

無料でさまざまなデータが政府統計として公表されているため、まだ利用したことのない方はぜひ使ってみてください。興味深いデータが数多く見つかるはずです。

ただし、顧客の年収データや商品別の売上データなど詳細なデータまでが提供されているわけではありません。公開されているデータの中から興味のあるデータを探して活用してみてください。