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特集

店舗開発や販売戦略に活用できる商圏分析システム

  • 2022年11月18日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 坂本ゆみか
  • 商圏分析
  • 店舗開発
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商圏分析システムは、人口や世帯数、消費動向、地理データなどのさまざまな統計情報をもとに企業の戦略策定やエリアマーケティング活動などを支援するシステムです。
新規出店計画を立案する際や既存店の販売戦略を企画する際には、商圏内の人口動態や経済動向、競合の存在など、地域の特性を把握することが大切です。
そこで今回の特集では、商圏分析ツールについてご紹介します。

商圏分析システムの活用とメリット

商圏分析システムを活用する主な場面とメリットを解説します。

立地選定や店舗設計前の情報収集

実店舗の新規出店やリニューアルを検討する際には、対象地域の商圏分析がとても重要です。人口の流出入や消費性向データなどを把握することで、来店客数や売上高の予測、店舗デザイン・品揃え計画などに役立てることができます。人口構成や競合店の状況は常に変化するため、定期的な調査・分析を行うことで、経営戦略を見直し、退店(撤退)リスクの低減につなげることができます。

広告宣伝や販売促進施策の立案・検証

商圏分析システムの統計データと自社の会員情報・POSデータなどを照合することで、顧客分布のギャップや掘り起しが必要な時季などを把握することができます。集客力や商圏内シェアを高めるためには、地域特性や顧客特性に適したプロモーション施策が求められるため、ターゲットを絞り込んでチラシの配布地域を検討したり、DMの内容を改善したりすることが効果的です。

商圏分析システムの選定方法

商圏分析システムには、無償で利用できるものと業種に特化して詳しいレポート作成などができる有料のものがあります。自社で調査・分析したいデータや必要な機能の有無、操作性などを確認して活用を検討しましょう。

無料で利用できる商圏分析システムの例

(1)地図で見る統計(jSTAT MAP)

https://www.e-stat.go.jp/gis/gislp/

jSTAT MAPは、e-Statで提供している地理情報システムをもとに、都道府県、市区町村、小地域、メッシュ統計の結果を地図に表示することができるシステムです。本システムは、総務省統計局が整備し、独立行政法人統計センターが運用管理しています。

<地図で見る統計(jSTAT MAP)の主な機能>

  • プロット作成機能
  • エリア作成機能
  • 統計グラム作成機能
  • レポート作成機能
  • (ログインありの場合)データ登録機能・リッチレポート作成機能

(参考)ここからアプリ特集記事「jSTAT MAPを使いこなして商圏の分析をしよう

(2)地域経済分析システム「RESAS」

https://resas.go.jp/

RESAS(リーサス:Regional Economy Society Analyzing System)は、産業構造や人口動態、人の流れなど官民ビッグデータを集約して可視化する地域経済分析システムです。2015年4月より提供が開始され、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が運営しています。2022年6月現在、下記を含めて83メニューが提供されています。

<地域経済分析システム「RESAS」の主な機能(メニュー)>

  • 人口マップ(人口構成、人口増減、人口の社会増減、新卒者就職・進学、将来人口推計等)
  • 地域経済循環マップ(地域経済循環図、生産分析、分配分析、支出分析等)
  • 産業構造マップ(全産業の構造、稼ぐ力分析、企業数、事業所数、従業者数、付加価値額等)
  • 企業活動マップ(創業比率、黒字赤字企業比率、海外への企業進出動向、研究開発費の比較等)
  • 消費マップ(消費の傾向、外国人消費の比較、キャッシュレス加盟店数等)
  • 観光マップ(目的地分析、宿泊施設、外国人訪問分析、外国人滞在分析等)

有料の商圏分析システムは、月額数千円で比較的安価に利用できる製品から月額十数万円程度かかる製品などがあり、料金設定の幅が広いのが特徴です。GPSによる位置情報を活用したものや高度な統計解析機能などを備えているものなど多様なため、商圏分析の目的や予算と照らして検討してみましょう。