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特集

デジタル関連の資格を取ろう

  • 2025年8月21日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー  村上知也
  • デジタル
  • 資格

どの分野でも「資格を取れば仕事がうまくできるようになるのか?」と聞かれれば、それはケースバイケースだと言えます。ただし、デジタル分野に関しては、特に苦手意識のある人ほど資格取得に取り組む価値が高いと感じます。

デジタル分野は英語やカタカナ用語が多く、「言葉の意味がよくわからず、なんとなく苦手」という方も少なくありません。そんな方こそ、デジタル分野の資格を通じて、最低限の用語を理解し、情報リテラシーを高めていくことが重要です。

また、さらに本格的に学びたいという人にとっても、デジタル分野では段階的かつ体系的な資格制度が整っているため、ステップアップしながら学習を進めることができます。
                               ぜひチャレンジしてみましょう。

IT業界では資格取得が以前から盛ん!〜まずはITパスポート試験

デジタル系の国家資格はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)によって体系的に提供されています。

(出典)IPA「試験区分一覧」より引用
なにはともあれデジタルについて学びたい場合は、ITを利活用する立場として、「ITパスポート試験」を取得するのが良いでしょう。全社会人にとって、役立つ知識が得られる資格だと思います。

ITパスポート試験は、ITだけではなく、幅広い知識が問われます。経営戦略や財務、法務を含めた①ストラテジ系、システム開発やプロジェクトマネジメントなどの②マネジメント系、そして情報技術全般の基礎知識を問う③テクノロジ系の3つの分野から構成されます。

ITパスポートについては以前の記事もご参照ください。
【特集】ITパスポートの試験範囲が変わる!〜今日的テーマはなにか!?

さらにデジタル知識を身につけていくには

もっとITを深く学びたい、あるいは実務で活用したいと考える人にとっては、ITパスポートだけでは物足りなさを感じるかもしれません。そうした場合、次のステップとして「基本情報技術者試験(FE)」があり、さらにその上位として「応用情報技術者試験(AP)」があります。

少し私自身の話をさせていただくと、私は社会人1年目で「情報処理技術者試験2種(現在のFE)」を取得し、2年目には「情報処理技術者試験1種(現在のAP)」を取得しました。その後、ネットワーク関連の部署に配属されたこともあり、3年目には「ネットワークスペシャリスト試験(NW)」に合格しました。自分のキャリアや配属先に合わせて段階的に資格を取得していくことで、学んでいる実感が得られ、自分の成長を実感できたのは大きなモチベーションになりました。

ちなみに、社会人11年目には「中小企業診断士試験」に合格しました。これは、おそらくITよりも経営への関心が高まったことが背景にあったと思います。

それであっても私のベースとなるデジタル知識はたくさんのデジタル資格を勉強することで体系的に整理され、十数年たった今でも役立っていると感じています。

デジタル系の資格の分類

国家資格以外にも、ITベンダー系や各種団体が発行する資格は多数あります。
私自身もネットワーク関連の部署に在籍していた際には、ネットワーク機器メーカーであるCisco社の資格を取得しました。また、ERPの開発部署に異動してからは、ERP関連の資格も取得しました。
 
プログラミングを学ぶ場合には、以下のような資格があります。
・「Javaプログラミング能力認定試験」
・「Pythonエンジニア認定試験」

多くの人にとって「本格的にプログラムを組める」ことは必須ではないかもしれません。しかし、どの言語でもよいので一度学んでおくことは、IT部門との連携やシステム発注を行う際に非常に役立ちます。また、論理的思考力を養うという意味でも価値があります。
近年、子ども向けのプログラミング教室が人気なのも、こうした効果が期待されているからかもしれません。

また、データ分析やAI関連の資格も注目されています。代表的な資格は以下の通りです。
・「統計検定(2級・準1級など)」
・「G検定(ジェネラリスト検定)」
・「データサイエンティスト検定」

AIを学ぶうえで、統計学の知識は欠かせません。多少なりとも数学的な素養は求められますが、数学者になる必要はありません。こうした勉強を通じて、数字を扱う力を養うことができ、これはどんなビジネス分野においても有用なスキルと言えるでしょう。

他にも、Webやデジタルマーケティング系の資格も存在します。

・「ウェブ解析士」
・「Google認定資格(GAIQ、広告関連)」
・「Webクリエイター能力認定試験」

これらの資格は、企業内でWebやEC関連業務を任される可能性がある方にとっては、事前に学んでおくと役立つ知識です。ただし、変化のスピードが早い分野でもあるため、将来的な資格の実用性には注意が必要かもしれません。

さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の資格にも注目が集まっています。
・「DX検定」
・「ITストラテジスト試験」

ITストラテジスト試験は、ITの知識だけでなく企業戦略に関する理解も求められるため、非常に価値のある資格だと感じています。

なお、生成AIに分野別で主要な資格を整理してもらい、Excelにまとめました。このように分野ごとに資格を把握しておくと、自分のキャリアや関心に応じた学習計画を立てやすくなります。


まとめ

今や、デジタルに関わる仕事かどうかにかかわらず、すべての人にデジタルリテラシーが求められる時代となっています。

また、リスキリング(学び直し)を通じてデジタル分野に踏み出す際の「最初の一歩」として、資格取得は非常に有効ではないでしょうか。

「デジタルは苦手だな」と感じている方こそ、ぜひ一度受験してみることをおすすめします。学ぶ過程で、思っていたより理解できる・楽しいと感じることもあるかもしれません。