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特集

ITパスポートの試験範囲が変わる!〜今日的テーマはなにか!?

  • 2024年2月1日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • デジタル
  • 資格
ITパスポート試験の範囲が変わる

「リスキリング」という言葉をよく見かけます。働き方が変化する中で、今後新しく発生する業務に役立つスキルや知識を習得することを目的に、勉強する取り組みのことです。
何を学ぶべきかは、企業や個人によって異なりますが、多くの人がデジタル知識の習得に関心を持っているのではないでしょうか?デジタル試験の入門として挙げられるのは「ITパスポート試験」でしょう。今年の10月からは新しい試験要綱に基づく試験が開始されます。どのような範囲が変更されたのか、紹介していきます。

IT業界では資格取得が以前から盛ん!

私が初めて情報処理試験受けたのは大学生の時でした。大学時代は、ハードもソフトも扱う研究室だったので、余裕で合格するかと思いきや落ちてしまった苦い経験があります。

それでも会社に入ると、目標管理制度の中で、自己啓発のため資格取得をせざるを得ない雰囲気があり、毎年1つ2つの資格を受けていました。

当時、ITパスポート試験はまだ無く、基本情報処理2種や1種から取得して、高度情報処理試験ではネットワークスペシャリストを取得しました。その後はITベンダ系の資格に向かい、ネットワークのCiscoやデータベースのOracleの資格を取ったり、当時従事していたERPのベンダ資格を取ったりしていました。

IT資格が増えたので、次は士業だと思い、中小企業診断士試験の沼に5年間もハマってしまいましたが、新入社員の頃から10年間でたくさん資格の勉強をしたものだと思います。

これは私だけの話ではなく、多くの同僚も資格試験の勉強をしていました。

IT業界以外の企業の社員がITパスポート試験を受け始めている

近年はデジタル分野の重要性が高まっており、IT業界以外の企業が社員にITパスポート試験を取得することを勧めています。また、高校生や大学生のうちに受験しておこうという機運も高まっています。

ニトリ、全社員の8割にIT国家資格 25年までに (日本経済新聞 2023/7/7)

「DXを自分事としてとっつきやすく」、大林組が社員向け研修で学びを促す工夫(日経クロステック 2023/01/.25)

GMOメディア 高校生向けITパスポート対策講座の無償提供を24年度も実施(月間私塾界 2023/12/15)

これもITパスポート試験が、単にテクノロジ系の範囲だけの資格ではなく、ストラテジ系やマネジメント系の範囲も含まれるので、企業としても社員に勧めやすいのではないでしょうか?

もちろん、この試験だけでデジタルの知識が全て充足されるわけではありませんが、薄く広くという視点では多くの会社員・学生のデジタルリテラシー向上にはもってこいの内容だと言えます。

ITパスポート試験の範囲

出典:情報処理技術者試験情報処理安全確保支援士試験 試験要項Ver.5.3

ITパスポート試験が変わります

ITパスポート試験の試験要綱が更新されて、今年の10月からの試験が新しくなります。

2024年10月の試験から
試験要綱

試験要綱に新しく追加されたキーワードが掲載されていましたので、分野ごとに抜き出してみました。
図表では見えにくいと思いますので、エクセルファイル自体をダウンロードできるように掲載しておきます。

キーワード①
キーワード②
キーワード③

それでは、どのようなキーワードが追加、変化したのか確認します。

例えば、「ITリテラシー」という言葉は削除されて、「デジタルリテラシー」というキーワードになりました。今後は、ITというよりデジタルという言葉に重みが置かれるのかもしれませんね。

そのうち、試験名もデジタルパスポート試験に変わるのかもしれませんね。

他にも、「ダイバーシティ」が削除されて、「DE&I」という聞き慣れないキーワードになりました。益々、ダイバーシティは必要な世の中になるでしょうに、なぜ削除されたのだろうと思いましたが、「DE&I」の方が広範囲に渡る概念になるようです。ちょうど、J-Net21にも以下のような記事が出ていました。時代の変化とともに、私達も学ぶ範囲やキーワードを変えていかねばなりません。

J-Net21ビジネスQ&A 2023/11/10
「DE&Iと、ダイバーシティ経営の違いについて教えてください。」

キーワードの変更が多かった分野は?

ITパスポート試験の中分類ごとに、追加キーワードが多かった分野を整理しました。

ITパスポート試験で追加キーワードが多い分野はどこだ!?

(※「試験要綱」を元に筆者作成)

なお、キーワードの追加が多かったから出題量が増えるとは限りませんが、重点的に勉強しないといけない範囲と言えるでしょう。

マネジメント系ではほとんど変化はありませんでした。一方で、ストラテジ系はほぼ全ての分野で多くのキーワードが追加されました。GXやハラスメント、電子通貨や自動運転レベルなど、今どきのキーワードが増えています。インボイス制度といったキーワードも増えており、まさに社会制度が変わると試験範囲も変わってきます。

一方で、テクノロジ系は濃淡差がついています。基礎理論やアルゴリズムは変わらず推移しているものの、ネットワークやセキュリティなどは進化とともに多くのキーワードが追加されているので、注力して勉強すべき分野であると言えるでしょう。

まとめ

デジタルに関与する仕事か否かに関わらず、デジタルリテラシーはすべての人に求められる時代になっています。

また、リスキリングでデジタル分野に踏み出す最初の一歩としては、最適な資格ではないでしょうか。

デジタルは苦手だなと感じている人こそ、受験してみてはいかがでしょうか?