ビジネスや生活に欠かせなくなった画像認識AI
- 2023年7月6日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 坂本ゆみか
- AI
- 画像認識
AI(人工知能)を活用した画像認識が注目を集めています。画像認識は、画像に映っている人やモノを検出・認識する技術で、近年その精度が向上したことにより、さまざまな分野での導入が進んでいます。そこで今回の特集では、ビジネスや生活のあらゆるシーンに浸透しはじめている画像認識AIについてご紹介します。
画像認識AIの種類
画像認識技術は、扱う画像データによりいくつかの種類に分けられています。代表的な画像認識技術は以下の3つです。
・物体認識(物体検知)
物体認識とは、画像や動画などに映っている特定の物体を検知・分類するものです。物体の位置や種類、数などを認識します。身近な例では、自動運転における歩行者の検知、標識の識別などに利用されています。
・顔認識
顔認識とは、人の顔の画像データから、目や鼻・口などのパーツやそれぞれの位置などの目立つ特徴を抽出・分析する技術です。データベースに登録された顔写真と照合し、一致率の判定を行う「顔認証」もこの技術を用いており、入退室管理などに利用されています。
・文字認識
文字認識は、画像に映っている文字や数字を識別する技術です。紙に書かれた手書き文字や印刷された文字を判別します。最近では、翻訳技術と組み合わせて、認識した文字や文章を異なる言語に変換・表示するシステムなどが登場しています。
画像認識AIのビジネス活用例
次に画像認識AIのビジネス活用について事例をご紹介します。画像認識の最も身近な活用例としてバーコードや2次元コードがありますが、技術進化を背景にさまざまな産業での活用が期待されています。
・画像認識を活用したAIレジ
スーパーやコンビニなどの小売業で画像認識技術を応用したレジシステムの導入が進んでいます。
「AIレジ」「スマートレジ」などと呼ばれており、レジの上に商品を置くと価格情報が参照され、会計に進むことができるようになっています。カメラで物体認識をしているため、バーコードなどのタグを付ける必要がなく、パン屋さんでの活用例もあります。
・良品と不良品を仕分ける外観検査
製造業で行われる外観検査は、製品や部品の傷、汚れ、ゆがみなどの有無を確認し、不良品が市場へ流出することを防いでいます。検査員(人)の目視による検査は、個人の能力差や人材確保・育成の点で課題がありますが、カメラと画像認識技術を用いて自動化することで検査工程の省人化やヒューマンエラーの低減に役立っています。
・AIによるファッションコーディネート提案
アパレル業界でも画像認識AIの活用が広がっています。例えば、ユーザーが持っている服の画像をもとに着回しのバリエーションや新しいアイテムと組み合わせたコーディネート提案などを行うサービスが登場しています。また、ソーシャルメディアやECサイトなどに掲載されている大量の画像データを解析することで、需要予測やトレンド分析などを行い、商品開発や生産計画に活用されています。
画像認識AIの課題
画像認識AIの実用化が進められ、システム開発の市場も拡大している一方で、実際の導入にあたっては、次のような問題・課題があります。
・AIに学習させるデータの整備(収集・蓄積など)
・AIに関する知識・ノウハウを持った人材の確保
・社内におけるAIについての理解不足
・システム導入や運用にかかるコスト負担など
これらの課題に対しては、学習用データの取引サービスや流通基盤の構築、AI人材と企業のマッチング支援、補助金・助成制度の拡充など、官民が連携してAI技術の実装促進に向けた取り組みが行われています。画像認識AIは、人手不足解消や技術継承など、中小企業が抱えるさまざまな課題解決にも役立つことが期待されており、経済産業省による中小企業向けの「AI導入ガイドブック」も公表されています。ぜひ参考にしてAIの自社導入・活用をご検討ください。