一元管理や自動登録で膨大な手作業から解放 ~物件登録・賃貸管理システム
- 2023年7月5日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 並木博
- 物件登録・賃貸管理システム
- 不動産業
従来の賃貸物件の管理業務は、仲介業務・管理業務ともに入居者の募集から契約、入金管理、物件管理、退去まで様々な手続きや作業があり、手書きやFAXなどの紙の台帳・資料、表計算ソフトなどが使われてきました。物件登録・賃貸管理システムは、そのような多岐にわたる情報や業務を一元管理するシステムです。
物件登録・賃貸管理システムの主流はクラウド型
少し前まではパソコンにインストールするタイプ(オンプレミス型)のパッケージソフトが主流でしたが、現在では様々なベンダーから月額数千円から数万円のクラウド型システムが提供されています。
・オンプレミス型
メリット :保守・管理を自社で行うため月次のコストを抑えられる
デメリット:買い切りで自社のパソコンなどにインストールして使用するため
法改正やアップデートなどは自社で対応する必要がある
・クラウド型
メリット :使用料金は月々の支払い(年払いもあり)のため初期費用を抑えられる
自動的にアップデートされるため常に最新版を使用できる
デメリット:インターネット経由で使用するため、ネット回線への接続が必要
物件登録・賃貸管理システムの主な機能
様々な機能を持ったシステムが多数リリースされていますが、その中からいくつかピックアップしてご紹介いたします。
物件登録:システムに物件情報を登録すると自社HPや不動産ポータルサイトへ自動的に登録される機能。
間取り図作成機能:簡単な操作で物件の間取り図を作成できる機能。
広告出稿:物件の広告を不動産ポータルサイトに合わせて簡単に出稿できる機能。
WEB接客:オンラインでの内見や重説を行える機能。
条件検索:顧客が希望する条件に該当する物件を検索する機能。
物件管理:物件の点検・修繕時期や内容、入居者からのクレームなどへの対応状況や進捗を
登録・管理する機能。
入金確認:家賃の入金を自動的に確認する機能。
契約・更新管理:契約時や更新時に必要な書類の作成機能。更新管理にはリマインド機能で
更新日を知らせることも。
請求書作成:水道、電気の検針情報から料金を計算し請求書を作成する機能。
物件登録・賃貸管理システムの導入メリット
・作業時間の短縮
仲介で扱っている賃貸物件の空き状況を管理会社に電話やFAXで確認する、逆に自社の物件の空き状況の問い合わせに対応する、入居者からの入金を1件ずつ確認する、契約時や退去時のスケジュールをカレンダーを見ながら電話で対応する・・・等々、従来では様々な業務を紙や表計算ソフトなどで管理しながら行われてきました。物件登録・賃貸管理システムはそれらの業務をシステム上で一元管理できるため作業時間が大幅に削減できます。
・露出機会の増加
不動産ポータルサイトへの物件情報の掲載や広告の出稿を簡単に行うことができるため、少ない手間で多くの物件を露出することができるようになります。
・訴求力の向上
360度カメラや動画など、通常の写真による紹介より訴求力の高いコンテンツで物件を紹介でき契約率を高めることができます。また、どのように掲載すれば反響や契約率が高まるかというノウハウを提供してくれるサービスもあります。
・ミスの防止
物件情報を手入力やコピペを行わずに一括で掲載・反映させるため、誤字や記入漏れを防ぐことができます。更新時期のリマインド機能を使えば更新の対応漏れなどのトラブルを防ぐこともできます。
選び方のポイント
上記でクラウド型が主流と書きましたが「新しい主流だからクラウド型が良い」とは一概に言えず、それぞれ特徴があるため自社の業務や規模と照らし合わせて検討し選択することが大切です。また、対応できる業務の範囲が「仲介と賃貸管理の両方に対応」と「賃貸管理に特化」の2つに分けられるので、自社の業務の範囲に合うシステムを選びましょう。
法改正への対応やニーズの変化への対応などのアップデートの頻度も確認が必要です。
また、導入時および運用中のサポートの提供は、ITに強い従業員がいない企業では特に重要な確認項目です。初期導入時の設定やデータ移行の支援、アップデート時の新機能への質問対応など、できれば電話で対応してもらえるようなところが良いでしょう。
法改正、ニーズの変化への対応、人手不足など、様々な理由により1人あたりの業務量は増加してきています。物件登録・賃貸管理システムは手間を減らし、正確性を高め、売上を伸ばすことや、顧客や従業員の満足度も高めることが期待できるので、「手作業で毎日大変!!」「いくら時間があっても足りない」と感じている不動産業の方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。