バーチャル技術で物件のイメージを確認!「VR/AR内見・内覧システム」
- 2023年3月22日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 並木博
- VR/AR内見
- 不動産業
VR/AR内見・内覧システムは、コロナ禍で利用する企業が急激に増えたシステムのひとつです。
どちらもバーチャル技術を活用し、実際には利用者のいる場所に無いものを実際に有るかのように表示することで利用時のイメージをシミュレーションすることができます。
VR/AR内見・内覧システムとは
VR内見システムは、360度カメラなどで撮影した画像をもとに仮想空間に作られた物件を、VRゴーグルなどを装着して内見を行うシステムです。VRゴーグルを装着して利用すると、実際は遠隔地に居たとしても、物件の中に居るような映像を見ることができます。
AR内見システムは、実際の物件の中で、タブレット等でカメラを通した映像に対し、任意で家具の3D-CGを重ねて表示し、家具や設備を設置した際のイメージを掴むことができるシステムです。
VR/AR内見・内覧システムのメリット
VR内見システムのメリットは、下記の3つが考えられます。
メリット(1)業務効率のアップ
通常はリアルで物件や管理会社へ足を運んでいた業務を、店舗や事務所内で、リモートで行えるようになるため、従業員が付き添いのために現地まで行くことなく複数の物件を紹介でき、効率化につなげることが期待できます。また、移動時間が無いので対応可能な件数を増やす事ができます。
メリット(2)成約率のアップ
VRで予め内見しておくことでより多くの物件から絞り込むことができ、リアルで内見した際の成約率を上げる効果が期待できます。
メリット(3)集客率のアップ
特に遠方から物件を探している人には、移動が必要無いVR内見は時間や費用の面で魅力的です。VR内見を行っている事をPRすることで遠方や忙しくて時間が取れない人の集客に繋がることが期待できます。また、物件の管理会社の定休日に左右されずに内見できることも機会ロスを減らし集客率を上げる効果があります。
対してVR内見システムのデメリットは、以下のような点が考えられます。
デメリット(1)細かい点は確認が難しい
材質の質感や小さな傷、日差しの入り具合や気温、設備や建具の建付けなど、細かな点は再現が難しいため分からない部分が出てしまいます。
デメリット(2)物件周辺の確認ができない
物件の外観や共有部分の管理状態、近くのスーパーやコンビニ、周辺の賑わいなど、物件の外の部分について確認することは難しいです。
AR内見システムのメリットは、下記の4つが考えられます。
メリット(1)現実+バーチャルでイメージを確認
現実の物件の映像に対しバーチャルの家具を配置した映像を提供し、実際に物件を使用したときのイメージを確認することができます。
メリット(2)物件の内見だけでなくリノベーションでも使える
現実の物件の映像に対し、壁紙や床、キッチン等の変更をバーチャルで行うことで改装・リノベーションの際のイメージ確認にも使う事ができます。
メリット(3)現地で五感を使って確認利用者本人は現地にいるのでVRでは分からなかった細かな質感や小さな傷、設備等も確認することができます。
メリット(4)家具や設備のECサイトでも購入率アップ
バーチャルで家具や設備を置いて見ることができ利用時のイメージを掴めるため、家具や設備のECサイトで利用した場合にも購入率アップの効果が期待できます。
対してAR内見システムのデメリットは、以下のような点が考えられます。
デメリット(1)通常の内見と同じ制約がある
実際に物件に入る必要があるため、物件が入居中の場合は通常の内見と同じく実施が難しいです。その他、物件へ足を運ぶ時間がかかること、物件の管理会社の定休日を考慮することなど、通常の内見と同じ制約があります。
デメリット(2)スマートフォンでは画面が小さい
スマートフォンを使うと手軽に利用できますが、画面が小さいため家具が大きい場合や部屋が狭い場合などではイメージが掴みにくい傾向があります。
導入時に必要なもの
VR内見システムではVRゴーグルや360度カメラなどが必要です。AR内見システムではタブレットやスマートフォン、またはARグラスが必要となります。
選定のポイント
近年ではVR内見システムでもバーチャルの家具を配置できるというような、AR内見システムのような使い方ができるシステムも出てきました。VRとARにはどちらにもメリット・デメリットがあるので、自社で実現したいサービスの内容によって、まずは「物件に足を運ぶ」または「物件に足を運ばない」のどちらかを選ぶと良いでしょう。
実際に物件に入らなくても内見できる、実際に家具を設置しなくても利用時のイメージを確認できる、というようなバーチャル技術を使った情報の提供は、時間や距離そして金銭的な制約がある潜在顧客の掘り起こしの効果が期待できます。自社の扱っている物件の種類や顧客層のニーズに合わせ、上手に使って新規顧客の獲得につなげてください。