施術系業界向け「電子カルテシステム」で顧客満足度のさらなる向上を実現
- 2023年7月5日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 山中弘重
- 電子カルテ
- 顧客カルテ
従来の紙カルテにかわり、顧客情報を電子的に記入・管理するための仕組みが電子カルテシステムです。医療現場を中心に高い普及率を誇る電子カルテシステムですが、理美容院・整体院・リラクゼーション(マッサージ)サロン・ネイルサロン・エステサロンといった施術系業界においても導入メリットが高く、急速に普及が進んでいます。今回は、施術系業界で年々普及が進む電子カルテシステムについてご紹介します。
電子カルテシステムの主な機能と利用メリット
電子カルテシステムの機能について、従来の紙カルテ同様に氏名や住所といったお客様の基本情報、登録日・来店日、施術内容・施術回数、お客様の要望等に関する入力・管理機能があります。紙カルテの場合、これらの情報は原則手書き文字で記入する形となりますが、電子カルテの場合、文字情報の入力に加えて、施術前後の様子を撮影した写真や動画を顧客カルテに紐づけて登録・管理することができるシステムがあります。
またメイン機能である顧客カルテ機能のほかに、予約・受付機能、レジ・売上管理機能、お知らせ配信機能、外部システム連携機能等を備えたシステムがあります。このようなシステムは施術系業界で必要とされる機能を一式搭載することで、業界特化の一体型システムとして高い完成度を実現しています。
電子カルテシステムの利用メリットついて、①ペーパーレスの推進、②施術系業務の効率化、③施術系情報の共有合理化、④顧客満足度の向上 の4点が挙げられます。以下、利用メリットついて概要を示します。
電子カルテシステムの利用メリット
①ペーパーレスの推進
従来の紙カルテを電子カルテに置き換えることでペーパーレス化を実現できます。用紙コストの削減に加え、紙カルテの物理的な保管スペースを大幅に削減できます。
②施術系業務の効率化
キーワード検索等により、紙カルテと比べて該当の顧客カルテを素早く探し出すことができます。さらに、条件を指定して対象を絞った上で複数の顧客カルテを簡単に抽出することができます。例えば、特定の顧客に対して一斉メール配信等を行う際に有効活用できます。また紙カルテの場合、すべて手書きで記入するため、誤字・脱字が生じたり読み難い文字になったりする場合があります。この点、電子カルテであればテキスト入力により読み難い文字になることはありません。予め用意された選択式のメニューから内容を入力できる場合もあり、顧客カルテ記入の際の手間や時間を軽減し、情報の正確性が向上します。
③施術系情報の共有合理化
クラウドサービスの場合、PCやタブレット端末等からいつでもどこでも顧客カルテを入力・閲覧できます。特に複数拠点で施術サービスを展開する事業者の場合、拠点間で顧客カルテを合理的に共有することができます。
④顧客満足度の向上
電子カルテには、文字情報に加えて写真や動画等の視覚的な情報も一緒に紐付けて管理できます。例えば美容院の場合、髪型やカラーに関する施術前後の写真と施術時のポイント等を顧客カルテに登録しておけば、次回、施術写真等をお客様に見せながらカウンセリングをすることができます。お客様との意思疎通がより図りやすくなり、顧客満足度の向上につながります。
電子カルテシステムの利用料金
電子カルテシステムはクラウドサービスが大半であり、無料版から有料版まで様々なサービスがあります。有料版しか用意されていないサービスであっても、大半は無料のお試し期間が用意されており、一通り機能を試用した上で本導入を検討できます。なお無料版では、搭載機能に一部制限があったりデータの保存容量に制限があったりします。そのため継続して利用するにあたり、通常は有料版の導入を検討することになります。
有料版の利用料金は、月額約2,000円のサービスから月額10,000円以上のサービスまで様々なサービスが存在します。利用料金の高いサービスは概ね多くの機能に対応しています。例えば、多店舗を展開する事業者をターゲットとしたサービスの場合、テナント管理や外部システム連携といった複数店舗を効率良く管理する上で役立つ機能にも対応しています。
電子カルテシステムの選び方
現在、施術系業界において汎用的に利用可能な電子カルテシステムが複数存在します。しかし、例えば美容院とエステサロンで求められる機能が全く同じということはありません。そのため、まずは自店のサービス内容により適した機能を備えたサービスを選定することが重要です。例えば、顧客カルテの入力項目は、自店のサービス内容に応じて必要とされる項目が異なります。そのため、入力項目を確認したり実際に試用したりして最適なサービスを選定する必要があります。
施術系業界向け電子カルテの場合、写真や動画等の視覚的な情報を登録できる機能を活用することで、既に示したように顧客満足度の向上につながる可能性があります。そのため、このような機能についても、自店において使い勝手の良いものを選定することが重要です。
その他、操作性の面で入力や更新がしやすいかどうか、顧客の個人情報を管理するため、アクセス権限やデータバックアップ等、セキュリティ面が充実しているかどうかについても考慮して選定することをお勧めします。