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お客様と社会の課題に応える美容店をめざし、ICTの活用で業務の効率化、省力化を積極的に推進

  • 2020年03月06日
  • 株式会社TICK-TOCK
  • 理容・美容業
  • 名刺管理
  • 予約管理(理容・美容業)
  • POS(汎用)
  • グループウェア
  • 近畿

日本国内および米国で7店舗の美容室を経営する株式会社TICK-TOCK。代表取締役の牛尾早百合氏は、25歳で兵庫県姫路市内にて独立開業して以来、新たなカット技法の開発に取り組んできた。そして「ステップボーンカット(小顔補正立体カット)」は、世界初の革新的技法として世界で高く評価され、同技法の認定美容師は今や1,000人以上に達しているという。一方、美容室の経営に尽力し、早くからICT(情報通信技術)を活用して業務の効率化、省力化を進めてきた。今後は「ステップボーンカット」の普及を通じて、SDGs(持続的な開発目標)を見すえた「人と、地球に優しい美容」を追求していきたいと夢をふくらませている。

 およそ35年前、兵庫県姫路市内にて美容室の1号店を開業しました。当初から「お客様をより良く見せる髪型は何か」ということを研究し続けています。米国への視察旅行などを通じて、さまざまな人種の顔や骨格、髪質を観察したことから、従来主流とされてきたカット技法ではなく、日本人の骨格に合ったヘアカットがあるべきだと考えました。

 その結果、生み出したのが「ステップボーンカット」です。日本人の頭蓋骨の形状に合わせて小顔に見えるように開発したのが大きな特長といえます。その後特許を取得し、一般社団法人ステップボーンカット協会を立ち上げ、技法の正しい普及に向けた活動を展開してきました。現在、国内外の約600店舗で「ステップボーンカット」が採用されており、認定美容師は1,000名を超えています。
 こうした取り組みの背景には、価値創造を通じてお客様の課題に応えるとともに、美容師の地位向上を図りたいという願いがあります。そして、美容業界の持続的な成長に貢献していきたいのです。

【課題】美容師の社会的地位向上につながる経営をめざしたい

 日本国内の美容業界をみると、美容師の数は約53万人、美容室の数は約25万店に達しています。コンビニエンスストアの数が約5万5,000店舗ですから、実に5倍近い美容室が存在することになります。一方で、美容師の待遇は必ずしも十分とはいえず、ベテランになっても単価を上げるのが難しい状況です。
 私としては、美容業界を取り巻く環境を改善し、美容師の社会的地位を高めることが持続的な成長に欠かせないと考えています。そして、世界最高水準にある日本の美容技術にふさわしい美容室の経営をめざせるように「ステップボーンカット」の普及に努めています。
 特に経営の効率化、収益性の向上という観点において、ICTの活用は欠かせない課題です。当社においては、業務に役立つシステムやアプリは積極的に用いるという方針のもと、さまざまなものを取り入れています。

【導入】電子カルテアプリやネット予約システムで業務の効率化を図る

 修業時代から業務の効率化を常に考えつつ、行動してきました。そのため、ICTの活用も自然と行っています。社内にはICT化を推進するマーケティングチームを設けているほか、各店舗にICT担当を選任して活動を行っています。
 特に重宝しているのが、名刺管理ソフトの「メイシー」です。日々、多数の方々と名刺を交換する機会があるため、その迅速なデータ化は重要です。「メイシー」の場合、交換した名刺をスマートフォンのカメラで読み取ってデータ化できます。これをもとに電話をかけたり、会社の地図を表示したりと役立っています。また、社内でのデータの共有も簡単なのでとても便利です。
 美容室の営業面においては、約2年前からは電子カルテアプリ「美歴(びれき)」を導入し、お客様のカルテを作成しています。これによってお客様の満足度向上を図っているほか、スタッフの品質向上、価値向上を進めているところです。
 一方、ネット予約システムについては「coming-soon(カミングスーン)」を導入しています。これはお客様からの予約や売上管理を担っています。検索サイトの「HOT PEPPER Beauty(ホットペッパービューティー)」とも連携しており、予約業務の効率化に役立っています。

 さらに、各店舗のスタッフとの情報共有では、「Google Suite(グーグル・スイート)」を活用しています。具体的には、スプレッドシートを用いてキャンペーンなどの計数管理を行っているほか、ドキュメントによって会議の議事録など文書の共有を行っています。さらに、業務連絡は「LINE@(ラインアットマーク)」を活用して、情報の効率的な共有を図っています。
 キャッシュレス決済についても、「Air(エア)レジ」や「PayPay(ペイペイ)」などを導入し、お客様の利便性の向上に努めています。

【効果】顧客満足度向上を可能にし、サービス単価や来店率の向上につなげていく

 電子カルテや予約システムなどは、美容室における業務の効率化に大きく役立っています。従来、お客様のカルテは紙ベースで手書きで行っていました。これではカルテの作成に時間がかかる上、たまったカルテの中から特定のお客様を探し出すのにも手間がかかります。こうした業務の効率化、省力化をICTを通じて図ることで、美容師が一人ひとりのお客様と丁寧に向き合うことで、お客様の満足度の向上につながり、結果的にサービス単価や来店率の向上につながっていきます。
 また、社内のマーケティングチームでは、「facebook(フェイスブック)」や「Instagram(インスタグラム)」などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用したキャンペーン告知を進めています。組織力を発揮して情報を発信することで、広告コストを抑えつつ来店促進を可能にしています。今年からは新たに「YouTube(ユーチューブ)動画」による情報配信も手がけており、ブランド価値の向上をさらに進めていく考えです。

【展望】「人と、地球に優しい美容」をコンセプトに理想の経営を追求していく

 今春には東京・南青山に新規出店を行うほか、3月にはニューヨークの「The Beauty Experience NY」にてプレゼンテーションを行う予定です。活動の幅がますます広がる中で、業務の効率化は必須であり、今後もICTの活用は重要な課題といえます。
 一方で、「ステップボーンカット」の普及に向けた取り組みを強化していく考えです。このカットを用いることで、お客様が「小顔」になる利点があるとともに、生産性が著しく向上します。これにより、美容業界における働き方改革を実現できる技術だといえます。

 さらには、「ステップボーンカット」はヘアカット後に切った髪が髪の中に残らない、薬剤の使用削減につながるといった効果も期待できます。これによって「人と、地球に優しい美容」をコンセプトにSDGsの実現をめざしてまいります。

社名:株式会社TICK-TOCK
HP:https://www.tick-tock.co.jp/

代表取締役:牛尾早百合 氏
主な事業:美容室の経営、コスメ商品の開発、「ステップボーンカット」の普及活動
所在地:兵庫県神戸市中央区播磨町49 神戸旧居留地平和ビル 507
創業:1985(昭和60)年 設立:2000(平成12)年