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特集

データ活用方法のご紹介(3) ~コンピテンシー分析

  • 2021年12月21日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー 清水康裕
  • データ活用
  • コンピテンシー分析
データ活用コンピテンシー分析のイメージ画像

コンピテンシーとは、成果を出している成績上位者の行動特性を分析して、可視化することで、組織全体に浸透させ、サービルレベルをアップする手法です。

テーマ

今回紹介するのはコンピテンシー分析です。
コンピテンシーとは、安定的に良い成果を出している従業員に共通して見られる行動特性のことを指します。従業員の行動や考え方、技術、基礎能力などの情報を収集し、どのような行動が高い成果につながるのかを分析します。
この分析結果を人事評価に取り入れたり、従業員の行動指針にしたりすることで、組織全体のサービスレベルを高めます。

課題

今回のテーマに該当する事例は不動産賃貸業の営業マンに関するものです。
A不動産では、10人の営業担当が仕事に従事しています。10人のモチベーションを上げるため、案件の獲得件数は壁に張り出し、毎月成績に応じて報奨金を支給しています。営業日報も収集し、だれもが情報を確認できるようにしています。
それにもかかわらず、毎月のトップセールスマンは3名が独占する状況が続いています。社長は営業職全体としてレベルアップを図り、全員が安定的に営業活動を成功させたいと考えています。

状況整理

A社は人手不足を補うため、原則として営業1人で何人ものお客様に接します。物件案内など、外回りの仕事も多く、直行直帰により営業活動自体が不透明になる傾向にあります。
そのような事態を解消するため、営業日報の提出を義務付けています。

IT課題整理

営業日報から好業績者の行動特性を把握しようとしたところ、日報が自由テキストであるため、気細粒度がまちまちで、営業担当を横軸で比較できないという問題が発覚しました。また、営業成績の良い従業員ほど、日報作成を簡素化しており、状況が把握できないことがわかりました。
そこで、定量分析、定性分析共にできるように営業日報の見直しを行い、入力作業の省力化のため日報のIT化を行いました。IT化することによって、日報を電子媒体で集められるようになり、かつ、スマートフォンからも入力できる利便性から、日報の提出率も高まるという効果がありました。

データ分析

3か月間日報データを収集したうえで、データ分析を行ったところ、好業績者の行動特性(コンピテンシー)が浮かび上がってきました。

主な特徴

  • 午前と午後の時間帯の利用方法が明確(時間管理の徹底による効率化)
  • 既存顧客への丁寧な対応(クレーム含む、迅速かつ短時間での対応)
  • 新規顧客市場への関与(社外ネットワークの維持、拡大)

分析結果活用

今回確認できた好業績者の行動特性は、営業チェックリストとして1週間の振り返りを営業会議で共有することとしました。運用しながら継続してデータを蓄積し、市況に応じて改定しながら、営業職のコンピテンシーモデルとして、人事評価制度を策定したいと考えています。これにより、成果と経過のバランスを考慮した、自社営業の行動指針に展開する考えです。

コンピテンシーモデルは、厚生労働省の「モデル評価シート・モデルカリキュラム 一覧表」も参考になります。各職種ごとに細分化されていますので、ぜひ一度ご覧ください。

モデル評価シート・モデルカリキュラム一覧表

 

(モデル評価シートの例)

(評価シートを活用した育成シートの例)

 

出展:厚生労働省 職業能力評価シート(事務系職種)

IT支援力アップ ミニ講座では、データ分析の基本について分かりやすく紹介する動画を公開しています。ぜひ参考にしてください。

  • IT支援力アップミニ講座データ分析の基本のイメージ画像
    データ分析の基本

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