データ活用方法のご紹介（1） ～POSデータ活用（POSシステムとは）
- 2021年12月17日
- 中小機構 中小企業支援アドバイザー 清水康裕
- データ活用
- POSシステム
POSシステムを活用すると、商品の金額を手打ちしなくて良くなるため、作業ミスを防止し、業務を大幅に効率化できます。
さらに、POSデータを有効活用すれば、客観的にお客様の動向を把握でき、商品仕入れの検討や、店舗レイアウトの検討など、様々な販売促進計画の参考になります。
売り場データを活用しよう
今回のテーマはデータ分析です。
スーパーやコンビニ、ドラッグストア等で商品を購入すると、商品のバーコードを読み取って支払いをします。この仕組みをPOSシステムといいます。
今では日常的になったこのシステムですが、小売業界に浸透した背景としては、（1）商品の金額を覚えていなくてもレジを担当できる、（2）誰がレジを担当しても金額の打ち間違いや釣銭の払い間違いが発生しづらい、という業務の標準化、効率化ができるという側面が大きな要因ではないでしょうか？しかし、POSシステムの活用方法はこれだけにとどまりません。データの使い方によっては売上や利益を大きく伸ばすことが可能です。
ここでは、POSデータを活用して店舗レイアウトを設計しているドラッグストアの事例を紹介します。
一般的にドラッグストアは多くの商品を店舗に並べています。陳列する商品には特売品のように、お客様を引き付ける役割（入店を促すための利益率の低い格安商品）、販売強化する役割（利益率の高い主力商品）、それらの中間の役割のように様々な目的の商品があります。今回紹介するドラッグストアでは、どうすれば主力商品を手に取ってもらえるかが課題でした。そのドラッグストアでは、店長が自分の記憶を頼りに店舗レイアウトを決めていますが、今一つ根拠に乏しいことが悩みでした。
そこで、よりお客様の動向を把握し、販売促進に活かすことを目的としてPOSシステムに蓄積されたデータを分析することにしました。
データ分析のメリットは以下が挙げられます。
（1）店舗全体の売上データから傾向を把握できる
（2）多店舗展開している場合、店舗ごとの傾向を比較できる
（3）データに基づき店員に販売計画を説明できるため、納得性が高い
トレンド分析による需要予測
最初に実施したのはトレンド分析です。これは各商品が前年同時期にどの程度購入されていたかを確認し、今年の売上遷移と比較し、今後の売上を予測するために活用します。どのような商品が売れ始めたら連動して売れる商品は何か、どの商品の販売が落ち始めたら次に伸びるのはどの商品か、といったタイミングを見計らうことができます。ベテラン店員、店長の肌感覚をデータに置き換えることで、多くの店員が自発的にレイアウト変更準備に着手できるようになりました。トレンド分析の留意事項は、過去との比較になるため、定番品にしか活用できないことが挙げられます。
この資料から、前年度と差分がでた理由（天候、イベント、他社の動向など）を振り返ることで、自社製品の売上に係る変動要素を把握し、予見的に対応することが可能となります。
集合分析による店舗レイアウトの検討
次に店舗特性を確認するために集合分析を行いました。POSシステムでは、データに販売記録だけでなく、いつ（日時）、どのような人が（男女、年代）、何を（商品）、どの程度（量）購入したかを確認できます。このようなデータを分析することをアソシエーション分析といいます。有名なのが、おむつのそばにビールを置いておくと、購買率が高まるというものがあります。
アソシエーション分析を行うことで、朝、昼、夕の訪問者の属性の違い、購入する商品の組み合わせの違いが明確になります。どのような属性の訪問者を主要顧客とするかを明確にすると、どのような商品を特売にして訪問を促し、どのように主力商品をレイアウトして販売していくか、商品陳列に戦略性が出てきます。
こちらのドラッグストアでは、店長の一存で決めていたレイアウト変更を改め、週次ミーティングでデータ分析内容を根拠としてレイアウト案を提示し、実行するようになりました。それにより、販売機会を逃さず店舗運営ができるとともに、情報開示により店員の意識改革にもつながり、お客様からも高評価をいただきました。
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