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特集

デジタル化はもはやインフラ(共通基盤)である!〜2022年版中小企業白書でのデジタル活用(1)

  • 2022年7月8日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • 中小企業白書
  • デジタル化
2022年版中小企業白書でのデジタル活用(1)のサムネイル画像

2022年の中小企業白書が発表されています。
近年は、常にデジタルに関しての記載量が増えています。
今回も第3章は、「共通基盤としての取引適正化とデジタル化」ということで、デジタルについて多数触れられていますので、その内容を見ていきます。

中小企業白書とデジタルの歴史を振り返る

中小企業白書2022年において、デジタルはどのように掲載されていたか?のサムネイル画像
中小企業白書2022年において、
デジタルはどのように掲載されていたか?

ここ12年間の中小企業白書の中で、どのようにIT化やデジタル化が扱われてきたかを紹介します。

中小企業白書では、第1部で前年の中小企業の動向データが提示され、第2部で今後の方向性が提示されます。この方向性に従って、各種中小企業施策が立案されていきます。

歴史を振り返ると、2013年に第4章のタイトルとして「情報技術の活用」が登場し、情報技術の活用が呼びかけられました。さらに2016年に第2章が「中小企業におけるITの利活用」となり、生産性の向上が強く謳われ始めました。また、2018年になり、深刻化する人手不足をITでなんとかしよう!という提言になりました。

            【過去の中小企業白書内でのデジタル化の記載内容】

そしてコロナ禍を迎え、2021年には、「事業継続力と競争力を高めるデジタル化」という章立てになり、デジタルを活用していないと事業が続かない!という提言でした。確かに、緊急事態宣言が発令されて、非対面型が求められる中、デジタルの対応は必須のものになったと言えるでしょう。

さらに2022年は、「共通基盤としてのデジタル化」となりました。つまりデジタルは電気や水と同じくインフラであり、事業をする上では、使うのが当然という提言です。

中小企業白書を振り返ると、デジタルの役割がどんどん大きくなってくるのが伝わってきますね。

2022年の中小企業白書の概要〜取引適正化とデジタル化

それでは、2022年の中小企業白書の2章のタイトルの一部である「共通基盤としての取引適正化とデジタル化」の内容について確認します。

白書の概要では以下のようにまとめられています。 (以下引用)

“中小企業・小規模事業者の事業継続、成長を支えるインフラ(共通基盤)として、取引適正化やデジタル化、伴走支援に着目。取引適正化については、コスト変動に対する価格転嫁の状況や販売先との交渉機会を設けることの重要性などを示す。デジタル化については、感染症下における進展状況やデジタル化の進展に応じて効果がより実感できることなどを示す。”

デジタル化の進展に応じて効果が実感できることを示す、と記載されていますので、実際にどういったデータが提示されているのかを確認します。

以降の図表は中小企業白書2022年から引用したものです。なお図表番号は白書に記載されているものです。

取引適正化とデジタル化の動向をデータから確認する

最初は、「感染症下での販売先数の変化の状況別に見た、取引先との接触頻度」の図表です。

これは当たり前の結果と言えますが、販売先数が増加した、つまり顧客が増えた企業は、接触頻度が増加した割合が高くなっています。

緊急事態宣言などで、対面の接触を控える風潮の中、接触頻度が増えているということは、リモート商談など、デジタルを活用したコミュニケーションをうまく活用して営業活動したことが伺えます。

 

企業間取引におけるデジタル化の状況

次に、「企業間取引におけるデジタル化の状況」のデータを確認します。

リモート商談の対応状況を見ると、2020-21年で大きく割合が伸びています。取引先との接触頻度を高めるため、この2年間でWeb会議システム等を導入した企業が多かったのでしょう。

電子受発注の対応状況は、コロナ禍以前から4割程度の企業が対応済みであり、2020年以降も少しずつ着実に増加しています。

その結果、2022年になると、リモート商談も電子受発注も5割前後の企業で行われていることになります。

 

注意しないといけないのは、このデータでは、「商談の5割がリモートで行われている」、「企業の受発注の5割が電子受発注で行われている」というわけではありません。あくまで、リモート商談に対応できる企業が5割存在し、一部の受発注を電子化できた企業が5割存在したということです。

企業間取引におけるデジタル化に対応したことによる効果

とはいえ、企業間取引をデジタル化した企業は以下の図表のように、効果を実感しています。リモート商談での直接的な効果といえば、出張コストが下がったことです。

著者自身もコロナ前と比べると6割程度の出張が減り、オンラインでの対応が増えています。私自身の旅費交通費が下がるメリットもあれば、取引先が負担する旅費分の費用を抑える効果もあったでしょう。

さらに、「遠方の取引先との交渉が可能になった」という回答も多いです。以前であれば、遠方まで行く出張費や移動時間があるため、開拓できなかった遠方の取引先でも、移動コスト、時間コストが掛からないのであれば、受注できるケースもあるでしょう。リモート対応することは、コストを抑えるだけでなく、売上アップにも貢献していると言えます。

 

電子受発注のメリットとしては、生産性が向上したという回答が多いです。電話やFAX、メール受注などは受注後に自社の受注システムに登録し直していますが、電子受発注になれば、受注処理が自動化されます。請求書や領収書などを送付する手間もなくなります。そのため、生産性が向上したのでしょう。

さらに業務の定型化、マニュアル化が可能になったという回答割合も多いです。以前までは、各自の営業担当がバラバラに受注処理をしていたものを、電子受発注化することで、皆が同じ業務フローで受注処理をすることになり、業務が定型化できたと考えられます。

まとめ

本記事では、過去の中小企業白書のデジタル化についての提言の歴史を振り返った上で、2022年のテーマである取引のデジタル化の状況について確認しました。この分野のデジタル化は今後一層進展することが予想されます。

次回の記事では、引き続き2022年の中小企業白書の中から、中小企業におけるデジタル化の動向を紹介していきます。

出典:2022年版「中小企業白書」全文

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