顧客から友だちへ、LINE公式アカウント
- 2021年10月14日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 高見康一
今日、マスマーケティングの時代からワントゥワンマーケティングの時代へと移り変わりつつあります。そんな時代の変化に小規模事業者が対応するための方法として、今や社会インフラと化したアプリ「LINE」を利用した対応方法を紹介します。
個人でのコミュニケーションでよく利用されているアプリ「LINE」。今回は「ビジネス」で利用し、顧客とより一層コミュニケーションを図るためのツールとしてご紹介します。
LINE公式アカウントとは
「LINE公式アカウント」とは、「LINE」で家族や友だちとコミュニケーションを取るのと同じように、企業やお店が「顧客」とコミュニケーションを取るためのサービスです。「LINE」は個人間でメッセージを送り合う事が出来ますが、「LINE公式アカウント」も同様に「お店」と「顧客」とでメッセージを送り合う事が出来ます。それに加えて「LINE公式アカウント」は「お店」と「顧客」のやり取りだからこそ必要・便利な機能も備えています。
LINE公式アカウントでできること
「LINE公式アカウント」の機能はたくさんありますが、主要な機能は3つです。
(1)メッセージ配信
「LINE公式アカウント」では、友達追加をしてくれた方にメッセージを送ることが出来ます。通常のテキストメッセージはもちろん、画像や音声、動画やLINEスタンプも送ることが出来ます。
(2)LINEチャット
「LINE公式アカウント」では、顧客との個別のやり取りも可能です。個人で利用するメッセンジャーのように顧客とメッセージのやり取りが出来ます。もちろんトーク履歴は保存されているので、過去のやり取りを見直すこともできます。
(3)クーポン配信
「LINE公式アカウント」では、友達追加をしてくれた方にクーポンを配布することが出来ます。一斉配信やアンケート回答のお礼、抽選の景品など様々な形で配布することができます。
使用回数も「1回限り」か「何回でも利用」かを選択できます。
LINE公式アカウントの良いところ
「LINE公式アカウント」の良さは、なんといっても「LINE」であることです。
メッセンジャーアプリの「LINE」は、日本において、2020年時点で8千万人以上が利用している といわれており(以下画像参照)、その存在は「社会インフラ」と言っても過言ではありません。つまり、日本人向けに事業を行う上では、ほとんどの顧客が使い方を最初から知っているアプリという言う事が出来ます。故に利用率は高く、 幅広い層の方々に、手間を取らせることなく、自社・自店とのコミュニケーションを楽しんでもらうことができます。
来店・問い合わせのきっかけを作ろう
事業活動に取り組む上では、どんな活動でも「目的」を持って取り組むべきだと私は考えています。事業活動にはコストが発生します。コストを払ってどのような「目的」を果たすか、その天秤を意識し活動していくことが事業活動の根幹となります。「LINE公式アカウント」の運用に取り組む際には、まずは「来店・問い合わせのきっかけを作る」ことを目的にすると良いかと思います。皆さんは消費者・購買者の立場になった場合、どのようなタイミングで「来店・問い合わせ」を行うでしょうか。
「自分が欲しいと思っていたものを見つけた」「その商品・サービスが今だけお得」「空いている」「気分が乗る」・・・
色々あるかと思いますが、ここに挙げた「想い」を想起させる仕組みが「LINE公式アカウント」には揃っています。
「メッセージで新商品の案内をする」「限定クーポンを配布する」「店の来客状況を案内する」「見栄えの良い写真や動画を送る」・・・
メッセージやクーポン配信機能などを活用すれば顧客に「来店・問い合わせしたい」と思わせるきっかけを作ることができます。
満足度を高めてますます好きになってもらおう
チャット機能を活用すれば「満足度を高める」取り組みも可能です。一昔前「チャット」は馴染みの薄いコミュニケーション手段でしたが、今や「チャット」は一般的なコミュニケーション手段になっています。若者を中心にむしろ「チャットの方がコミュニケーションを取りやすい」という方も増えています。「LINE公式アカウント」は「LINE」だけあって「チャット」機能は充実しています。そして何よりもたくさんの人が使い慣れています。電話・メールだけでなく「LINE」で問い合わせができることで、そのお店・企業に安心感・親近感を感じる人も多いのではないでしょうか。またチャットはトーク履歴が簡単に参照できるため、過去のやり取りを踏まえた細やかな対応も可能になります。
情報の蓄積・分析・活用も
「LINE公式アカウント」では過去の発信した情報やクーポンを蓄積することができます。またそれぞれの反応率を確認することもできます。それにより「いつ」「誰に」「どんな」情報を「どのように」発信し、その「結果」がどうだったかを振り返ることができます。またチャット機能ではトーク履歴を蓄積することができます。それにより「どんな方から」「どんな問い合わせ」があって「どのように対応した」か、そしてそれが結果「どうなった」かを振り返ることができます。このように情報を蓄積・分析していくことでより効果的な「来店・問い合わせを促す」「満足度を上げる」取り組み方を模索することができます。「やって終わり」「感覚」ではない販促活動が可能なのは嬉しいポイントですね。
いち消費者として「LINE公式アカウント」はよく利用しています。やはり「LINE」でつながると親近感が増すと個人的には感じています。「LINE公式アカウントのメッセージ開封率はメルマガの数倍」なんて話を聞いたことがありますが、個人の実感としてはあっているような気がします。一方で、元々「気に入っている」店・企業ではないと友達追加する気には中々ならないという面もあります。半分プライベートな感覚のあるアプリだからでしょうか。スタンプやクーポン目的で追加する時もたまにありますが、すぐにブロックしてしまいます。「もともと気に入ってくれている」お客様に「益々気に入ってもらう」のに向いているアプリなのかなと個人的には感じます。
※令和3年4月に以下ガイドラインが総務省より発せられました。利用検討の際は以下の資料も参考にされると良いかと思います。
政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用 状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の 考え方(ガイドライン)について(PDF)
以下の特集記事も参考にどうぞ