ITプラットフォームへ移動
特集

SNSのどれを使ったらいいの?と聞かれたときの対応

  • 2021年10月5日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也

さまざまなSNSが登場し、どういった場合にどのSNSを使っていくかは悩ましいものです。事業者の方からもそういった質問が多くされます。
本記事では、新規・既存客向けへの対応など、SNSの使い分けについて解説していきます。

1.主なSNS

今回は、Facebook、Instagram、LINE、Twitterの4つの使い所を整理していきたいと思います。
SNSの位置づけをどのように分類するかはさまざまな軸があります。匿名中心で幅広く拡散力も強いゾーンに位置するものあれば、知人の中で広がり、大きく拡散はしないが、着実に浸透できる位置のものもあります。

右上の第一象限に行くほど拡散力が強いです。Twitterは匿名利用が多く、投稿がバズると幅広い層に急速に拡散されることがあります。ただし面白かったり、批判的に炎上するものも多く、単なる自社の商品紹介が大きく拡散される可能性は低いです。
Instagramはタグと呼ばれるキーワード検索で情報が見つけられますので、特定のタグで上位に表示される期間が長いと、多くの人に見てもらえるチャンスがあります。ただし写真の質が大事になります。
一方で、Facebookは実名で知人中心のため、大きく情報が拡散されることは難しいです。その分、情報の信頼感は高く、知り合い同士の中で着実に広がっていきます。
また、LINEは基本的に個人間のやり取りになりますが、LINE公式アカウントはつながっている人にはメルマガのようにメッセージを送ることができ、1:1で情報のやり取りができます。

2.使い分けのポイント

もちろん広く拡散されるのが良いのでしょうが、始めたばかりのフォロワーの少ないアカウントの情報が拡散される可能性は大きくありません。
そこで、4つのSNSの発信のポイントを簡単にまとめていきます。

(1)LINE公式アカウントについて 〜既存顧客への情報発信なら

新規の顧客を獲得するよりは、既存のお客様の頻度を上げるほうがハードルは低いです。まずは既存のお客さまに情報を届ける手段としてLINE公式が挙げられます。店頭にQRコードを貼って、来店客が読み込んで「友だち」になってくれると、継続的にLINEのメッセージが送付できます。もちろん、役に立たない情報を多数送っていると、すぐに「ブロック」され、こちらのメッセージを受け取らないよう設定をされてしまいます。チラシがゴミ箱にすぐ捨てられてしまうのと同様です。
お客様にとって役立つ情報発信を心がける必要があります。ディスカウントクーポンなどには活用しやすい仕組みです。特に、雨の日クーポンなど、即時性が求められる内容であれば、既存のお客様の来店頻度を高めるのに効果が期待できます。
さらに1:1メッセージでお客様からの個別の問合せや、予約の依頼などの対応ができます。
LINE公式アカウントについては、以下の記事もご参考ください。

特集記事:顧客から友だちへ、LINE公式アカウント

(2)Facebookについて ~人と人との繋がりの中で発信する

Facebookは、もともと学校などでの顔写真と名前の名簿という意味あいで名付けられました。そのためお店が商品の情報ばかり発信していても反響は得られません。それよりも社長や社員が顔を出して、製造や仕入れの話をしている方が、コメントもつきやすいです。SNSらしく人と人のつながりを意識した発信をしていきましょう。
たまたま行った飲食店が美味しくても、その内容をFacebookに投稿することは、私はほとんどありません。しかし、知り合いの店長さんのお店に行ったときは、店長さんと一緒にFacebookに発信することがあります。Facebookでは“人とのつながり”を意識した投稿を増やしてみましょう。

(3)Instagram ~映える写真

Instagramは他のSNSと違って文字情報があまり目立ちません。そのため、高い品質の写真を投稿する必要があります。
さらに写真を見つけてもらうためには、検索されるための「#(ハッシュタグ)」にキーワードを入れておく必要があります。例えば #虎ノ門ランチ のハッシュタグであれば3万件の投稿があり、 #虎ノ門イタリアン であれば、100件以上の投稿があります(2021年10月時点)。お店であれば、地名+業態ハッシュタグは抑えておきたいです。ぜひ、自店に関係するハッシュタグは検索してみて、ライバルがどんな投稿をしているか確認してみましょう。
なお、インスタに映える写真がなくても、文字のバナー写真でメッセージを伝える投稿や、動画を発信しているアカウントも増えています。当店は見せるような写真がない、といった事業者の方でもチャンスはあると言えます。

(4)Twitter ~コミュニティを見つける、つくる

Twitterはつぶやきの量が他のSNSより多く、伝えたい投稿が幅広く伝わるかと言うと難しい面もあります。一方で、他のSNSよりフォローされるハードルは低いと言えます。そのため、自分がお客様としたいアカウントを見つけてフォローしていくことで、投稿が見てもらえる可能性があります。

しかし、単にフォローだけしても効果は少ないでしょう。予め、ターゲットとなるお客様が興味を持つような投稿を蓄積して、「お、このアカウント役に立つな!」と思わせることで、フォローしてもらえる準備をしておきましょう。

3.発信のポイント

ここまで各SNSの特徴を記載してきました。すべてのSNSについて言えることですが、自社・自分の宣伝投稿のみを繰り返すアカウントでは、集客につながらないでしょう。もちろん、商品やサービスを知ってもらいたいからSNSを実施するのですから、宣伝するのは構わないでしょう。ただ、それだけにならないようにしたいです。
例えば、仕入れや製造のシーンの発信など、準備や・裏方などの内部情報を発信したり、来店されたお客様と一緒に写真に写って発信したりすることが考えられます。以下の図表の上半分の発信です。

加えて、上記図表の下半分のような発信もできるといいのではないでしょうか。自分の発信をするだけでなく、近所の他のお店の発信や、地域の情報の発信です。上半分の発信は、あくまで自分のための発信です。一方で下半分の発信は他の人、地域のためのものです。これはまさに口コミになるわけです。

他人のために発信することで自らの情報力を高めるとともに、どうすれば自店が他の人から発信してもらえるのか考えてみましょう。自店の発信内容も重要ですが、さらにSNSで重要なのは、お客様がどんな発信をしてくれるかです。