AI関数が表計算を変える?
- 2026年2月5日
- 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
- AI
- AI関数
生成AIは非常に便利なツールですが、それだけでは仕事が完結しないという方も多いのではないでしょうか。実際には、Excelなどの表計算ソフトを使って日々の業務を行っているケースも多く見受けられます。これまでは、AIと表計算ソフトはそれぞれ別のものとして扱われてきました。
しかし近年では、表計算ソフトの中にも徐々にAIが組み込まれるようになってきています。さまざまな計算やデータ処理を行う中で、AIをシームレスに活用できるようになれば、業務のさらなる効率化や精度向上が期待できるのではないでしょうか。
今回は、そうした新しい流れの一つである、表計算ソフトに登場しつつある「AI関数」について紹介します。
生成AIは便利だが・・・
ChatGPTなどの生成AIはとても便利になりました。文章を作成するのはもちろんとして、データ処理などもお願いできます。
以下のように数値データを打ち込めば、集計もしてくれました。そして、エクセルに出力することもできます。

これは一見便利に見えますが、実際にやってみると少し面倒です。データをChatGPTに貼り付けて、またエクセルに戻って作業をすることになります。より効率的に行うには、エクセルなどの表計算ソフトの中でAIがスムーズに動くことが求められています。
エクセルの中で動くAI
エクセルやGoogleスプレッドシートも徐々にAIが活用できる範囲が広がってきました。エクセルであれば、テーブル形式に対して「テーブルのデータを分析してください」とエクセル内のCopilotに依頼すると分析が始まります。

平均値、最大値、最小値などをまとめて提示したあと、全体傾向なども表示してくれます。

さらにグラフで可視化してとお願いすると、グラフも作ってくれました。

しかし、これくらいではまだまだ大きな業務効率化には繋がらないでしょう。この作業であれば、エクセルが得意な方は自分でやった方がスムーズだと感じるかもしれません。もう少し、エクセルなどの表計算ソフトの中で、AIを活用できないものでしょうか?
アドインを活用する
残念ながら、標準のエクセルの中でAIができることは現時点では多くありません。今後に期待したいところですが、現状でAIをより幅広く活用するには、サードパーティーの外部アドインを利用する方法があります。こうしたアドイン機能を使うことで、AIをエクセルで使える領域が広がります。
例えば、「ChatGPT for Excel」というOfficeアドインをインストールすると、エクセル内でAI関数が利用できるようになります。
ただし、アドイン経由でChatGPTを利用する場合は、無料体験の範囲を超えると課金が必要になるなど、注意すべき点もあります。
なお、「ChatGPT for Excel」はAPPS DO WONDERSが開発元のOfficeアドインです。Microsoftのマーケットプレイスからダウンロードして使うことができます。
アドインをインストールすると以下のような関数がエクセルで使えるようになります。

AI関数を利用する利点は?
関数名だけではイメージしづらいと思いますので、利用シーンを考えてみます。
AI.ASK関数で考えてみましょう。
例えば、お客様からの問い合わせを管理する帳票がある場合、その内容をどのような種類のものかに分類する必要があります。クレームなのか、感謝の声なのか、あるいは質問なのか、といった分類です。
これまでは、問い合わせ内容を読んで人間が判断し、手作業で分類するしか方法がありませんでした。しかし、AI関数が表計算ソフト上で動作することで、こうした分類作業も自動化できるようになりました。たとえば、問い合わせ内容に応じて「クレーム」「感謝」「質問」といったカテゴリに自動で分類してくれます。
このように、これまでは「人間でなければ判断できない」とされていた曖昧な業務についても、AI関数を活用することで処理が可能になり、さらなる業務効率化が期待できます。

分類ができたら、あとはVBAプログラムで、「クレームなら上司へエスカレーションする」などの処理を書くことができるでしょう。
関数やプログラムだけではどうしても全自動化できなかった処理が、AI関数の登場で、自動化できる範囲が大きく広がりそうです。
なお、前述の通り、エクセルの標準機能では実現できませんが、GoogleのスプレッドシートではすでにAI関数が登場しています。(有料の料金プランの契約が必要)
まとめ
表計算ソフトは非常に便利なツールです。数式を入力したり、関数を組み込んだり、さらにはマクロプログラムを作成して処理を自動化することで、業務の効率化を図ることができます。
ただし、これまではあくまでも論理的な処理に限られていました。関数で定義されたとおりに処理を行うか、自分で数式を組み立てて対応できる範囲内での活用にとどまっていました。
ここにAI関数が加わったことで、これまで対応が難しかった曖昧な処理やファジーな判断にも対応できるようになりました。「この部分は人間が見て判断しないと処理できないな」と感じていたような業務も、表計算ソフト上で処理できるようになったのです。その結果、業務効率化はさらに加速すると期待されています。


