AIエージェントは業務を自動化してくれるのか?
- 2026年1月20日
- 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
- AI
- AIエージェント
AIエージェントを活用することで、多くの業務が全自動化され、生産性がさらに向上するのではないかと期待されています。
一方で、本当にそこまで自動化が可能なのかといった疑問の声も上がっています。
本記事では、いくつかのAIエージェントを実際に使ってみて、業務がどのように変化していくのかを考察してみたいと思います。
生成AIに様々なサービスが登場している
AIに関するキーワードの中には、初めて聞くような言葉も多く見られます。2024年には「RAG」が、そして2025年には「AIエージェント」が話題になっていました。
実際に、Googleトレンドでそれぞれの検索量を確認してみました。

2022年末にChatGPTが登場しましたが、当初はインターネット上のテキストやイラストを生成する機能に注目が集まりました。しかし、2024年になると、社内データを活用して学習できる「RAG」に関心が高まり、さらに2025年には、社内業務をより自動化できるということで「AIエージェント」が話題になりました。
本題であるAIエージェントの説明に入る前に、まずはRAGについて簡単に確認していきます。
RAGとは
RAGとは、「検索拡張生成(Retrieval-Augmented Generation)」と訳されている技術です。社内にある資料をAIに読み込ませることで、社員はその内容についてチャットボットを通じて質問できるようになります。
企業の中では、他の人に確認しないとわからないことが多くあると思います。特に総務部や情報システム部の皆さんは、社員からの質問対応に追われ、日々忙殺されているケースも少なくありません。RAGを活用することで、社員がまずAIに質問を投げかけるようになり、社内での問い合わせ対応の負担を軽減できるため、非常に期待されている技術です。

本格的に導入するにはコストがかかりますが、GoogleのNotebookLMサービスを使うと、簡易的なRAGが体験できますので、白書や補助金の要領等の公表資料を読み込ませる等して一度是非試してみてください。
AIエージェントとは
続いて、AIエージェントについて説明します。
これまでのアプリケーションは、人間が「このボタンを押して」「次にこの文字を入力して」などと、細かく操作手順を指示することで動作していました。
それに対して、AIエージェントは、指示を受けなくても自律的に判断し、タスクを実行するAIのことを指します。ChatGPTのように「質問に答える」だけでなく、目的を理解したうえで、自ら調べ、考え、必要な作業を継続的に行うことができます。

(出典)図表はNapkinAIで生成
なお、Googleでは、AIエージェントを以下のように定義しています。AI エージェントは、AI を使用してユーザーの代わりに目標を追求し、タスクを完了させるソフトウェアシステムです。推論、計画、メモリーが可能であることが示されており、意思決定、学習、適応を行うレベルの自律性を備えています。
(出典:GoogleCloud)https://cloud.google.com/discover/what-are-ai-agents
やはり、AIエージェントは推論しながら動作できるため、人間が細かく指示を出さなくても自律的に仕事を進めてくれるツールであると言えるでしょう。
これまでも業務の効率化を目的として、さまざまな自動化の取り組みが行われてきました。たとえば、Excelマクロを使って複数の書類を組み合わせたり、集計作業を自動化したりすることが行われてきました。
さらに、RPA(Robotic Process Automation)を活用することで、Excelの操作にとどまらず、パソコン上のさまざまな作業を連携させて自動化することも進められてきたと思います。
しかし、ExcelマクロやRPAを使うには、事前のプログラミングや細かな設定が必要であり、誰もが気軽に自動化を実現できたとは言い難いのが実状です。
AIエージェントが普及すれば、日本語で作業を依頼するだけで、細かな手順はAIが自律的に判断して実行してくれるようになり、業務の効率化が飛躍的に進むことが期待されています。

AIエージェントのサービスを使ってみる
それでは、AIエージェントサービスを少し試してみたいと思います。
どこまでの範囲がAIエージェントサービスに含まれるのかは、判断が難しいところです。たとえば、「Dify」や「n8n」などが代表的なツールとして挙げられますが、これらはAIエージェント単体の製品というよりも、AI機能を組み込んだワークフロー自動化ツールという位置づけになるでしょう。
そこで今回はOpenAI社が提供している「ChatGPT Agent」とGoogleの「Workspace Studio」を試してみます。
ChatGPT Agent
ChatGPTAgentは現状(2025年12月時点)では、有料プランでのみ提供されています。エージェントモードを選ぶと色々利用例を提示してくれています。

(提示された利用例)
・Etsy(ハンドメイドなどのネットショップ)で日本の手拭いを3枚購入する
・コペンハーゲンの最高のベーカリー一覧を Google マップ上に作成します
・Uber Reserveで新宿から成田まで事前予約する
・楽天市場で当日配送の◯◯のSSDを購入する
・WHO の医療専門家密度データを専門別に取得する
商品の購入を自動で行ってくれるのは便利に感じる反面、万が一誤って購入されてしまうと困るため、今回は次のような情報収集をお願いしてみました。
「日本全国のよろず支援拠点について、各拠点の名称・住所・直近の支援事例の件名を、拠点ごとに1件ずつ取得し、スプレッドシートに出力してください。」

お願いしてから、27分待つと一覧でデータがスプレッドシートに出力されました。

拠点名や住所、支援事例の件名を、複数のページから取得して一覧化して、エクセルファイルとしてダウンロードすることができました。
GoogleWorkspace Studio
次にGoogleを試してみます。GoogleのWorkspaceはGoogleのグループウェアです。そのため、Googleカレンダーやフォーム、スプレッドシートやチャットと連動してAIエージェントを動かすことができます。
以下のような内容を考えて設定をしてみました。
問い合わせフォームに問い合わせが来たら、チャットに内容を通知します。そして、その問い合わせ内容をGeminiに送付して問い合わせへの返信文案を作成してください。作成された返信文案をチャットに通知してください。
ここでは細かな設定画面は省略しますが、既存の問い合わせフォームを紐づけ、Geminiであらかじめ登録しておいたプロンプトを呼び出して、チャットに返信してもらいます。

そうすると、以下のように問い合わせフォームに問い合わせが来ると、問い合わせ内容と、返信文案がチャットに通知されました。

まとめ
今回は、実際にAIエージェントを動かしてみました。
グループウェアの中で、問い合わせ対応業務にAIが入り、間をつないでくれるのはとても便利だと感じました。
しかし、今回の利用シーンでは、やや物足りなさを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その理由は、通常の業務の中でAIエージェントが本格的に活用されるためには、社内システムとの連携が求められるからです。たとえば、会計・顧客管理・在庫管理などのシステムと連動し、さらに外部サービスとも統合され、一気通貫で業務を自動化できるようになれば、業務効率は飛躍的に向上する可能性があります。
ただし、基幹システムや外部サービスと連携してAIエージェントを活用するには、まず業務上の役割や作業内容を明確にし、適切な権限設定やセキュリティ対策を講じたうえで導入することが必要です。そのため、実際に導入を進める際には、従来のシステム導入と同様に、段階的かつ慎重に取り組む必要があると考えています。


