ネットのデータを分析しよう 【データ分析③】
- 2025年2月28日
- 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
- アクセス解析
- データ分析

本連載の第1回で述べた通り、経営に関するデータを見ていくためには見える化をして、あらかじめどのようなデータを取得していくかを決めていく必要がありました。
しかし、ネットのデータは話が別です。設定さえしておけば、いろんなデータが自動的に蓄積されて、分析に活用できます。
本記事では、地図や、Webサイト、EC、SNSや動画といったインターネットツールでどのようなデータを見ていくべきか解説します。
地図のデータも見よう
店舗で一番に整えるべき集客ツールは「Google Map」になります。地図の管理ツールがGoogleビジネスプロフィールで、初期登録さえできれば、後は自動でデータが蓄積されています。
Google Mapのパフォーマンスのページを確認すると、スマホでどのようなキーワードで検索して、自社が表示されたのかが確認できます。

さらに、地図上で自社までの道案内(ルート検索)が何回されたかも把握できます。このお店の場合は、5ヶ月で671回でした。道案内をしたということは来店された可能性が高く、地図集客の成果となる数値と言えるでしょう。

Webサイトの分析にはGoogle Analyticsを活用しよう
ネットで最も重要なデータ分析ツールと言えば「Google Analytics」です。ホームページやネットショップを運営している事業者にとっては必須のツールと言えます。
しかし、Google Analyticsは2年前に「Google Analytics 4(GA4)」に大きくバージョンアップしました。そのため、どこを見たら良いのかわからないと相談されるケースが増えました。まず確認すべきポイントとして、以下の4つは見ておきましょう。

(1)どれくらい来た?
まずは何人が来て何ページ見られたかを確認しておきましょう。前月や前年同月と比較して変化量を見ていくとよいでしょう。
(2)どうやって来訪?
自社のサイトへどんな手段で来訪したか確認しましょう。検索して来たのか、どこか他のサイトから参照してきたのか、その中でもSNSから来たのかなど来訪手段が確認できます。
(3)どこに来た?
そして人気ページランキングも見ておきましょう。どのページが何回見られたか確認できます。例えば、私のホームページであれば人気ランキングの6位がトップページでした。通常はトップページの来訪者が一番多いでしょうが、私のサイトでは、トップページ以外にたくさん集客できているページが多いことがわかります。
(4)検索されたキーワード
そしてホームページで一番気になるのは、どんなキーワードで検索して来訪したかではないでしょうか?顧客の検索キーワードの上位を把握することができます。 ※なお検索キーワードはGoogle Search Consoleの設定も必要です。
探索レポートでより細かな顧客の動きを把握しよう
アクセス数が増えてくるとさらにいろんなことが知りたくなります。そんな際には、Google Analyticsの探索レポートを使って詳細に分析することができます。
少し難しくなりますが、以下のような項目を指定することで細かな顧客の動きが把握できます。例えば、40代女性(セグメント)のうち、スマホで新規来訪(ディメンジョン)して、30秒以上滞在(指標)した人数を出力できます。

こういった機能が活用できれば、ネットショップの場合でも、例えば「今月、Instagram経由で新規顧客の購入額」をスムーズに出力することができます。
他にも、あるページを閲覧したユーザが次にどのページを閲覧したかという動線を確認することも可能です。

Webサイトのアクセス数が少ないうちはアクセス解析をしても、あまり見るべき点はないかもしれません。しかし、将来に備えて、データを見られる仕組みだけは準備しておきましょう。
SNSのインサイト分析
WebやECだけではなくInstagramなどのSNSインサイト分析の重要性も高まっています。InstagramはBusiness Suiteでインサイトが確認できます。投稿や動画ごとにリアクションの数や、リーチ、再生数などが確認できます。
重要なのはリーチをした人の何%がリアクションをしてくれたかです。リアクションとは、「いいね!」や、「コメント」、「保存」や「DM」の件数です。何人にリーチされるかはInstagramのアルゴリズムが決定します。そのため、リアクションの割合が高い投稿は、良い投稿だとみなされて、今後のリーチが伸びる可能性があります。どの投稿がユーザから評価されたのか、定期的に確認しておきましょう。

また、リーチした数のうち、フォローしてくれている人(フォロワー)と、フォロワー以外の数も把握できます。まだSNSでつながっていない新規の顧客にどれだけアプローチできたか把握できるわけです。なお、新規の顧客に情報を届けるにはショート動画(リール)の活用が重要になっています。

動画もAnalytics
YouTube動画もAnalyticsを確認できます。アップロードした動画がどこまで再生されたか、再生維持率を確認できます。再生回数も大事ですが、維持率も非常に重要な指標と言えるでしょう。
以下の例では、最初の30秒を見たのは全体の視聴数の66%で、最後まで見てくれたのは33%となっています。このデータはたった3分の動画におけるデータですが、こんなに早く離脱してしまうんだということが分かります。データとして知るとショックですが、動画の前半で離脱が多いようなら、動画冒頭のつかみを見直すなど目を背けず対応することが求められます。

まとめ
ネットのツールはデータが取りやすいため、まずはチェックする癖をつけることから始めてみましょう。アクセス数が少ないときにはデータを見ると心が折れそうになりますが、改善していくことでより経営にも反映されていくことでしょう。