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特集

商品を適切に顧客へ届けるためのMDシステム

  • 2023年3月13日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 坂本ゆみか
  • 商品管理
  • マーチャンダイジング

MD(マーチャンダイジング)とは、一般的に「商品政策」や「商品計画」と呼ばれており、消費者が求める商品を適切な数量と価格、タイミングで流通させる一連の活動を表します。
MDは、マーケティング戦略の概念に含まれ、商品管理や販売促進などの領域とも重なります。主に小売業や消費財メーカーにおいて、売上や利益を最大化させるための取り組みとしてMDがあります。
そこで今回の特集では、MDシステムについてご紹介します。

MDの種類

MDには、いくつかの種類・考え方があります。ここでは、代表的なインストアマーチャンダイジング(ISM)、ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)を解説します。

インストアマーチャンダイジング

インストアマーチャンダイジングは、小売業の店内で実施されるMDのことで、販売の現場にフォーカスしています。In Store Merchandisingの頭文字から「ISM(イズム)」と呼ばれることがあります。

インストアマーチャンダイジングには、フロアのレイアウトや商品陳列、棚割りをどのように設計・計画し、導線を最適化するかのスペースマネジメントと、顧客の需要を喚起させるような価格設定(例、特売・タイムセール)やPOPの掲示、実演販売の実施などを行うインストアプロモーションなどがあります。

ビジュアルマーチャンダイジング

ビジュアルマーチャンダイジングは、商品を視覚的に訴求するMDのことです。Visual Merchandisingの表記から「VMD」または「VD」と表記されることがあります。ビジュアルマーチャンダイジングも主に小売業の店内で実施されることからインストアマーチャンダイジングの一手法として位置付けられています。

ビジュアルマーチャンダイジングの目的は、顧客が立ち寄りやすく、見やすく、選びやすい売り場づくりを行うことです。主な取り組みとして、企業のブランドやお店のコンセプトなどを視覚的に表現し、顧客の注目・興味を引いて店内へ誘導させるようなビジュアルプレゼンテーションがあります。ショーウィンドウやマネキンの活用などがその一例です。また、特定の商品を顧客の目にとまりやすい場所(例、什器の上や壁面上部)に展開し、各商品群や各コーナーについて顧客へわかりやすく伝えるためのポイント・オブ・セールス・プレゼンテーションという取り組みなどがあります。

MDシステムの主な機能と効果

次にMD業務をトータルに支援するMDシステムの主な機能とその効果について解説します。

商品管理機能による商品情報の一元管理

商品を個別に管理し、品揃えや販売計画などに役立てるためには、商品のカテゴリ、ブランド、素材、色、サイズなどの情報を正確に登録・更新することが求められます。流通業では、カテゴリの追加や変更、価格変更、廃番処理なども随時行われるため、商品マスタでの情報管理を適切に行うことが必要です。システムによる商品管理機能で本部や店舗間の情報共有や連絡指示が効率的に行えます。

在庫管理機能による在庫適正化と業務省力化

リアルタイムに入出庫データや在庫理論値が把握でき、店舗別や倉庫別の在庫情報を管理することができます。在庫管理を適正に行うことで、過剰在庫や品切れを防いだり、倉庫間移動の指示を適切に行えたりするようになります。また、在庫管理に関連した自動発注機能により、発注時のミス防止や業務の省力化・効率化が図れます。

データ分析機能による売上シミュレーションや需要予測の精度向上

部門別や店舗別、時間帯別の売上実績・トレンドの抽出、販促活動の効果検証などの分析が容易になります。分析データをもとに棚割りの改善や品揃え計画の立案を行ったり、売上シミュレーションをもとに適切な意思決定を行ったりすることで、売上拡大や機会損失の低減に役立ちます。

MDシステム選定時の留意点

MDシステムの導入・選定にあたっては、自社が取り扱う商品カテゴリやアイテム数、MDサイクルに適した製品を選ぶことが大切です。次のような点にも留意して製品の比較検討をしてみましょう。

  • 自社の業務フローと標準機能の適合度合い
  • 業界特有の商習慣への対応やシステムの柔軟性・拡張性の範囲
  • データ登録や抽出時の操作性、自社に適した分析機能の有無
  • 初期システム構築費用、月額料金など

また、既存システムとのデータ連携やサポート体制の有無なども確認して製品選定を進めてください。MDシステムをうまく活用して、顧客の購買意欲を高めるとともに売上・利益の拡大につなげていきましょう。