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特集

乳幼児・高齢者の命を守る「見守りシステム」

  • 2022年11月22日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 山本一郎
  • 見守り
  • 介護・保育業
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保育や介護の現場では、スタッフの人手不足も相まって、乳幼児や高齢者をケアするための労力が増大しています。
そのような中、IT・デジタルで命や身体に関わる事故を防ぐことはできるのでしょうか。
今回は、そのような課題を解決する見守りシステムをご紹介します。

見守りシステムの特徴

見守りシステムが活用される現場は大きく分けて2つ挙げられます。

介護現場における見守りシステム

介護現場では、利用者が1人で起立できるか、歩行中に転倒しないかを注意したり、食事中に誤嚥しないか見守ったりする必要があります。しかし、常に利用者の横にいて見守り続けるということは困難です。そこで、スタッフが見守り困難な状況でも、利用者が危険な状態にあることを検知したり、利用者が危険な状態になるのを予防したりするために見守りシステムが活用されています。

これまでの見守りシステムは、マットセンサーやシートセンサー等、利用者が離床してセンサーを踏んだ時に通知するものや、タグ(ID)センサーを付けた利用者が、受信器が設置された特定の場所に近づくと通知するという仕組みが主流となっていました。その通知先はナースコール中継器等の専用受信器でした。

最近の見守りシステムは、カメラ映像、人感センサーやバイタルセンサーから得られた情報を、AIを活用して単なる離床だけでなく、様々な状況を自動認識して、利用者に応じた通知ができるようになっています。タブレットやスマートフォンに通知ができるので、同時に画像等の情報も取得できます。単なる通知だけでなく、センサーから蓄積された情報により、問題が発生した場合の原因・背景を仮説検証でき、各利用者の体調管理や行動管理に活かせます。

【介護現場向け見守りシステムの例】
利用するセンサーの種類:バイタルセンサー、人感センサー、温度センサー、ドアセンサー
センサー設置場所:ベッドフレーム横・裏、部屋の出入口、トイレ
取得可能なデータ:モニタリング、心拍数、呼吸数、離床状況、トイレ利用状況
通知先:パソコン、スマートフォン、タブレット
初期費用:数万円(1部屋あたり)
月額費用:3,000円程度(1部屋あたり)

保育現場における見守りシステム

保育園でのお昼寝中、乳幼児突然死症候群(SIDS)等から子供を守るために大切なのが午睡チェックです。午睡チェックは、0歳児は5分に1回、1~2歳児は10分に1回行われ、保育士さん達が1人ずつ記入していくとのこと。子どもたち1人1人の午睡チェックを行うことは、保育士不足の保育園にとってはかなりの負担となっているのではないでしょうか。
この負担を軽減するのに有効なのが見守りシステムです。保育園向けの見守りシステムには以下のようなタイプがあります。

  • 体動センサーをおむつ等に取り付けて、うつぶせ寝を検知
  • カメラで撮影した乳幼児の姿勢をAIによりチェックし、うつ伏せを正確に検知

どちらも通知先はタブレットやスマートフォンなので、専用端末を購入する必要はありません。午睡データも記録されるので、監査対応(午睡チェック表)や園児の体調ケアにも活用できる製品もあります。

【保育現場向け見守りシステムの例】
利用する機器:見守りカメラ、通知ランプ
通知先:通知ランプ、パソコン、タブレットPC
初期費用:要見積
月額費用:15,000円~(機器代、利用料、サポートサービス含む)

導入におけるポイント

見守りシステムの導入にあたっては、目的を明確化する必要があります。
大切なのは利用者である高齢者・乳幼児の命を守り、事故を防ぐことです。介護現場では、見守りシステムにより、利用者の事故報告書件数が減少し、転倒や転落を予防できた等の効果が挙げられています。保育現場でもSIDSを防止でき、保育士の業務負荷・精神的ストレス軽減にも繋がっています。

では、導入時に留意すべきポイントはなんでしょうか。

ハード面の整備(特に通信環境、利用端末)

インターネット接続を前提とする製品が多いため、ネットワーク環境(Wi-Fi)が整備されていない施設では新たに整備する必要があります。すでに導入済みの施設でも場所によって接続できない場合や、十分な速度が確保できないこともあるので、設置予定場所のネットワーク環境は必ず確認してください。

また、異常時の通知先がタブレットやスマートフォンとなる製品が多いため、スタッフ数に合わせた台数を準備する必要があります。セキュリティの観点からスタッフ個人のタブレット・スマートフォンを利用することはせず、必ず会社で準備するようにしてください。

ソフト面の整備(利用目的の理解・徹底、研修)

見守りシステムの導入の際は、スタッフへの説明会や研修会を開催して、システム導入の目的や効果、操作方法、運用方法、使用上の留意事項などを周知・徹底する必要があります。

導入の進め方は会社全体への一斉導入を目指すのではなく、施設ごと・フロアごと・ある条件で絞った対象者ごと等、段階的に導入するようにします。その際に出た課題・改善点を解決した上で、全体への導入を進めるとよいでしょう。

マニュアルについては、見守りシステムの操作マニュアルだけでなく、見守りシステム導入により業務がどう変更されるのかを示した運用マニュアルが必要です。