Windows 10 サポート終了〜中小企業はどのように対応していく?
- 2025年10月16日
- 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
- セキュリティ

Windows10のサポートが、2025年10月14日に終了しました。
サポート終了後も当面はWindowsのシステムは動作するでしょう。
しかし、今後は、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、時間とともにサイバーリスクが高まります。Windows11へのアップデートなどの対応策を至急実施していくことが求められます。
10/14でサポートが終了しました
日本におけるWindows OSのシェアは、Windows 11が51.8%で過半数を超えている一方、Windows10も44.9%と依然として高い割合を占めています。(出典:2025年8月 StatCounter調査)
そのような中、マイクロソフトは2025年10月14日をもって、Windows10の延長サポートを終了しました。サポートが終了しても、パソコンが使えなくなるわけではありません。当面の間は、これまで通り動作し続けるでしょう。
ただし、この日以降、Windows10を利用しているパソコンにはセキュリティ更新プログラムが配布されなくなります。つまり、新たなウイルスやサイバー攻撃の脅威にさらされた場合、防御する手段がなくなるということです。
見た目上はこれまでと変わらず使えていたとしても、時間の経過とともにセキュリティ対応ができなくなっていきます。自宅に例えると、気づかないうちに「2階の窓の鍵が壊れた」「裏口のドアの鍵が壊れた」「正面玄関の鍵が壊れた」といったことが次々に起こるような状態です。
サポートが切れてしまうとどうなるのか?
サポートが終了したOSを使い続けると、いくつかの大きなリスクが発生します。まず挙げられるのは、セキュリティリスクです。これまでマイクロソフトは、新たな脅威が発見されるたびに修正パッチを配布してきましたが、サポートが終了した後は、徐々に無防備な状態になってしまいます。
また、攻撃者はサポートが切れたOSを優先的に狙う傾向があります。そのため、ウイルス感染や不正アクセスといった被害を受けやすくなるでしょう。さらに、そのようなセキュリティリスクが原因で、取引先の要件や法律に違反してしまう可能性もあります。たとえば、取引先が「最新のOSを使用していること」を条件にしている場合、取引の継続に影響が出るかもしれません。
また、セキュリティの脆弱性を突かれて情報漏えいが発生した場合には、個人情報保護法に抵触するおそれもあります。

先日訪問した企業ではWindowsXPがいまだ動いていました。ただ、昔に作った生産ラインの管理システムがWindowsXPでしか動かないため、パソコンのハードは更新しつつも、エミュレータソフトを入れて動かしていました。エミュレータソフトとは、本来特定のハードウェアやOS上で動作するソフトウェアを、異なる環境で仮想的に実行させるためのソフトです。
もちろんネットには繋がず専用端末化させていました。システム延命のためには仕方なく古いOSを使うケースもありますが、その場合はインターネットに繋がない、USBメモリも使わないなどの最低限の対策は求められることになります。
対応策はどうする?
個人で利用している場合は、まずWindows11へのアップデートを検討してください。ただし、アップデートを行うためには、お使いのパソコンがハードウェア要件を満たしている必要があります。マイクロソフトが提供している「PC正常性チェック」アプリを利用して、対応しているか確認しておきましょう。
ハードウェアが対応していない場合にWindows11を利用するには、新しいパソコンを購入する必要があります。これは予算との相談になるかと思います。
また、2025年9月末にマイクロソフトから「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」が発表されました。これは有料のサービスですが、1年間にわたりセキュリティパッチが配布されるため、一定期間は安全に利用を続ける猶予があります。なお、1台あたりの費用は61ドルとなっています。
中小企業がとるべき具体的な対応策
では、中小企業はどのように対応すべきでしょうか。第一に必要なのは、「移行計画を立てること」です。いきなり全社的に買い替えるのは負担が大きいため、まずは社内にあるPCの現状を把握し、どの端末がWindows 11に対応できるかを確認することから始めましょう。対応していない古いパソコンは、買い替えを検討する必要があります。
次に考えるべきは「コスト対策」です。新しいパソコンを一度に導入するのは大きな出費ですが、パソコンの入れ替えにそのまま活用できる補助金制度は多くありません。導入台数が多い場合は、リース契約やサブスクリプション契約を利用する企業も増えています。
また、古いPCであっても、ChromeOS Flexなど別のOSに切り替えるという選択肢もあります。ブラウザ上で業務が完結する環境、たとえばメールの送受信やOneDrive上でのエクセルやワードの簡単な編集程度であれば、十分に対応できるでしょう。
一方で、セキュリティ面の対応も重要です。どうしてもWindows10を残さざるを得ない場合は、インターネットに接続しない専用環境で利用するか、ウイルス対策ソフトやUTM機器を導入して多層防御を強化する必要があります。
なお、UTM機器とは、ファイアウォールやアンチウイルス、ウェブフィルタリングなど、複数のセキュリティ機能を一つの機器に統合して提供し、企業ネットワークを包括的に保護するセキュリティ製品です。
事業者に声掛けしよう
この時期に事業者との面談を行う経営指導員の皆さまは、ぜひ声を掛けてあげてください。
「10月14日でWindows 10のサポートが終了しましたが、対応はお済みですか?」
基本的には、新しいパソコンへ切り替えるべきタイミングだと思われます。
ただし、予算の都合もあり、すぐに更新できない場合もあるでしょう。そのようなときは、この記事をお見せいただき、少しでも早く対応を進めていただけるようお伝えいただければ幸いです。
まとめ
Windows10のサポートが終了しましたので、何の対応もせずに使い続けることは、事業継続の観点から不適切と言えます。該当するパソコンをお持ちの事業者の方は、本記事で紹介した対策を実施していただきたいと思います。
機械設備などについては、購入時点で「何年使用するか」「どのタイミングで更新するか」といった設備計画を立てられると思います。
それはパソコンでも同様です。計画を立てずに使い続けてしまうと、今回のようにサポートが終了してから慌てて対応することになってしまいます。
筆者は、自身が使用するパソコンについては2年周期で買い替えることに決めています。毎日長時間にわたって使用しているため、2年で十分に元が取れると考え、壊れる前に更新するようにしています。
事業者の皆さまの場合は、パソコンの利用頻度や用途はそれぞれ異なるでしょう。自社の利用形態に合った計画を立て、計画的な更新を心がけていきましょう。