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特集

ただ飛ぶだけじゃない。ドローンは様々な産業で活用が期待される

  • 2022年11月15日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 並木博
  • ドローン
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近年のドローンの普及で、テレビやインターネットなどのメディアで対象物や風景を空撮した映像を目にする機会が増えてきました。
ドローンは単に空を飛んで空撮を行うだけでなく、様々な産業への活用が始まっており、これからの活躍が期待されている技術でもあります。
今回の特集では、ドローンとは何か、ドローンを取り巻く環境の変化などをご説明します。

ドローンとは

遠隔操作や自動制御によって飛行できる、無人の小型航空機のことをドローンと呼びます。現在の意味合いでドローンという言葉が使われるようになったのは2010年頃からです。2015年には航空法第2条22項に定義されましたが、実際には掌に乗るほどの小型軽量なものや水中や陸上で使用するものもドローンと呼ぶ場合があり、もう少し曖昧に使われています。

近年では、趣味や娯楽で使用される小型軽量な「トイドローン」と呼ばれるものも手軽に入手可能となり、飛ばすことが出来るようになりました。

一方、ビジネス用途のドローンは幅広い分野で開発が進み、荷物を運べるほどの大型のものや、人間が何日もかけて行っていた業務を数分でこなすような革新的な機能を有するものなど、様々なドローンが存在します。

一般的な意味でのドローン

概ね縦横100mm~400mm程度、重量50g~1000g程度の4つのローター(プロペラ)を持った姿のもので、通常、ドローンと聞いたら思い浮かべるのがこのタイプではないでしょうか。カメラを装備し空撮が行えるものが多く、ジンバル(映像のブレや揺れを低減するための装置)を装備したものは、個人利用のものからプロ仕様まで幅広いラインナップが存在します。価格も数万円から購入できるようになったため、今日では空撮映像が非常に身近なものとなりました。

中小企業では自社の社屋や工場、物件などを撮影したり、観光業では近隣観光地を紹介する動画を撮影し、PRするための動画へ活用している企業もあります。ドローンによる空撮を行う業者も数多く存在し、数十分の撮影を数万円程度から依頼することもできます。

ドローンの資格・免許について

自動車やバイクの運転には運転免許が必要ですよね。従来、ドローンを飛行させる際に免許は必要無かったのですが、航空法の改正により2022年12月から国家資格の取得が必要となることが決まりました。機体については、登録および登録記号を機体に表示することが既に義務化されています。

ドローンを飛行させるには、操縦技術はもちろん、ドローンに関する様々な法律(航空法、小型無人機等飛行禁止法、電波法、道路交通法、民法、都道府県が制定する条例など)の把握・知識が必要不可欠であるため、民間の認定資格が複数存在しており、業務利用される場合は多くの方が取得しています。

産業用・商業用ドローン

人が分け入ることが難しい山林、車の通行を止めることが難しい幹線道路、高所や水上が主な現場となる橋脚、広大な面積に対し作業できる人員が少ない農地など、過酷で危険が伴うような現場であっても無人で空中からアプローチできるため、作業員の安全を確保しつつ「見る」「測る」といった作業を行う事ができます。また、災害発生時には捜索・救援活動にも使用されています。

<ドローンはこんなことに利用され始めています>

  • メディア、撮影:空撮
  • 農業:農薬散布、肥料散布
  • 建設:点検、測量

活用が期待される分野

法律やインフラなどの課題が残るためまだ試験段階ではあるものの、様々な分野での期待が高まっています。例えば下記のような利用の検討・実験が始まっています。

<ドローン利用の検討や実験が始まっている分野>

  • 農業:生育状況確認、日照時間や気温等のデータ収集、害獣対策
  • 物流:荷物の配達(自律航行)
  • 建築:水中構造物の点検
  • 広告:飛行による宣伝

ドローンの活用は急速に広がっており、ドローンを取り巻く環境も大きく変わってきています。空を飛ぶ(飛ばすことができる)というだけでとても夢のある話ですが、法律や安全に気を付ける必要がある分野でもあるため、常に最新の情報を確認しつつ活用を検討しましょう。