いまさら聞けない、POSシステムを導入すると仕事はどうかわる?
- 2022年10月25日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 清水康裕
- POS
今や、巷で当たり前のように普及しつつあるPOSシステム。
電子マネーの市場拡大や、コロナ禍で現金授受を避ける傾向も相まって、多くの小売業、飲食業に採用されています。
しかし、その機能は一部活用に限定されている場合が多く見受けられます。
そこで今回は、POSシステムが活用できる機能を簡単に紹介いたします。
【導入の満足度が高いPOSシステム】
早速ですが、こちらのグラフを見てください。
POSシステムは、導入したアプリケーション(以下、アプリと称す)の中でも満足度トップとの結果が出ています。導入した多くの方が満足するということは、それだけ、導入効果がすぐに表れやすい、つまり、導入前に考えていた業務イメージをそのまま体現できるアプリと考えられます。
【POSシステムは三方良し】
では、POSシステムの導入後の業務イメージとはどのようなものでしょうか。
飲食店であれば、ホールスタッフがお客様から受けた注文を、間違いなく厨房のスタッフに伝達できることがあげられます。そして、会計時にお客様をお待たせすることなく、正確な金額を提示することができます。会計の効率化は、飲食店だけでなく、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の小売店も同様です。商品のバーコードをスキャンするだけで購入金額を計算できるため、入力間違い(誤入力、記憶違い等)を防止できます。
こう考えると、店舗スタッフの負荷軽減、お客様の待ち時間の解消に寄与していることがわかります。それだけではなく、蓄積した購入履歴は販売促進のための経営分析に活用することができます。POSシステムはスタッフ、お客様、経営者それぞれに利便を提供する、「三方良し」のシステムなのです。
次は、スタッフ、消費者、経営者それぞれのメリットを見ていきます。
【スタッフのメリット】
現場のスタッフにとってのメリットは以下があります。
(1)簡単な操作
POSシステムには、旧式のレジスターのように複雑なボタン配置や特殊な操作がありません。特に最近ではフランチャイズ飲食店を中心に、モバイル端末を使用した注文管理システムが普及しており、より直観性を高めています。
また、コロナ禍で、端末操作自体をお客様作業にシフトする動きもあり、スタッフの作業負荷軽減にもつながっています。例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのセルフレジ、ファミリーレストランや回転寿司のオーダーエントリーシステム等です。
ただし、客席ごとの端末をおくには初期費用が必要となることに加え、端末のメンテナンス費用(主に修理費用、最終的には老朽化による端末刷新対応)を考慮する必要があります。
(2)教育の負担軽減
商品ごとの単価を把握する必要が無く、バーコードを打ち込むだけで合計金額まで算出し、お釣りの計算、支払いも自動であるため、システム操作のための教育を行わなくてもレジスターの操作が可能です。
会計に関する教育を短縮し、店舗運営や接客、商品説明等の教育時間を多くすることができるため、商売繁盛に繋がるスタッフの対応力を強化できます。
(3)仕入れ業務の効率化
POSでは商品ごとに販売状況を管理するので、仕入れ数と販売数から在庫状況を把握することができます。商品在庫を把握したうえで注文処理を行うことが可能になります。
もちろん、実際の在庫と理論上の在庫は食い違う(紛失、廃棄等)ので、定期的に在庫の棚卸しを行い、実際の在庫数に理論上の在庫を合わせておく必要がありますが、日々の業務を正確かつ効率的に推進することができます。
【消費者(お客様)のメリット】
(1)明朗会計
商品の金額が管理されて、打ち間違いがないこと、また会計時のレジスターも現金を入れたら釣銭がトレイに出てくるものが多いため、釣銭間違いもなく安心です。小売業の場合、消費者は商品が2度読みされていないかをチェックしているだけで、トラブル発生の可能性は低く抑えられます。
(2)待ち時間のストレス解消
商品をスキャンして自動集計されるので、だれが実施しても処理時間が大きく変わることはありません。スムーズになった会計処理ですが、今でも夕方のスーパーマーケットではレジ待ち行列ができます。
これは、買い物客の購入点数が多い場合や、決裁方法が多様化(現金、商品券、クレジットカード、電子マネー)して、消費者自身が支払処理に時間を要する場合があることが主な原因と考えられます。
【経営者のメリット】
(1)リアルタイムで状況把握
店舗の売上をリアルタイムで確認することができるので、状況に応じて臨時の販売促進キャンペーンを実行する、商品の配置を変えて様子を見ることなどが可能です。複数店舗を運営している場合は、売上の状況から、盛況店の顧客導線やPOP(商品説明)をその他の店舗の参考にすることで改善が見込めます。
(2)集計データを経営分析
過去の集計データと比較して、季節ものの仕入れ時期の参考にする、前年同月比の売上を検証するといった従来の分析に加えて、「ABC分析により、売れ筋商品を見極める」、「集合分析により、セットで買ってもらいやすい商品を近くに陳列する(生鮮食品と鍋のスープ等)」といった店舗レイアウト検討に役立てること等が可能です。
ABC分析と集合分析について、以下に簡単に説明します。
<ABC分析>
商品を販売金額によって3つにグルーピングし、売れ筋、死筋を把握し、今後の商品仕入れを検討します。
<集合分析>
顧客の併売状況から、販売機会を探ります。顧客の購買行動による商品陳列方法や、レシピの紹介等、販売促進に繋げます。
しかし、POSデータを経営資源として活用しているケースはまだ多くなく、発展途上というのが現状です。
以下のグラフは、総務省のデータ活用状況に関するものですが、中小企業のPOSデータ活用は進んでいないのが実情です。
POSシステムは、上記以外にもRFM分析(上位客の絞り込み)が備わっているものも存在します。この機能を利用することで、上位客に特別なキャンペーンをお知らせする、同じような属性のお知り合いを期待して、お友達紹介キャンペーンをお知らせするといった販売促進が可能です。
POSシステムに蓄積されたデータを経営資源として活用することで、スタッフ、消費者の「二方良し」から、経営者を巻き込んだ「三方良し」への発展をご検討してみてはいかがでしょうか。
【ここからアプリに掲載されているPOSシステム】
ここからアプリにも多くのPOSシステムが掲載されています。ここからアプリでPOSシステムを検索する方法を紹介します。
それぞれの個性を確認の上、導入をぜひご検討ください。
<ここからアプリでのPOSシステム検索手順>
(1)以下のサイトにアクセスします。
https://ittools.smrj.go.jp/
(2)アプリ検索をクリック
(3)アプリを絞り込む画面に遷移したら、右の窓にPOSと登録し、虫メガネを押下
(4)掲載されているPOS関連アプリを一覧表示するので、気になるアプリを押下
(5)アプリの個別内容を確認。詳細を確認するにはメーカーホームページを押下